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神様と紡ぐ物語  作者: かーたろう
第二章
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第36話 日常と学校と

お待たせいたしました。

さて、和範と真理子が学校に付いたついでに、半年前とは決定的に変わった二人の学生生活についても少し語ろう。

 半年前に比べて色々な部分が女性らしく成長した事もあり、今の真理子は間違いなく元からの容姿の美しさもあいまって絶世の美女と断言できる。

 かつては全然無かった男子からの支持は今やうなぎのぼりで、学園でも一、二を争うほどだ。そのくせ、以前のような凛々しさもあるため女子からの熱烈な支持も健在、いや、柔らかさが加わった事で新たな支持層の開拓まで達成していた。

 つまり、真理子は男女双方を合わせた人気では紛れも無く学園No1と言ってよく、取巻き達…いや、もはやあれは親衛隊とでも言うような連中が真理子の周りに男女問わず侍ろうと虎視眈々としている。 奴らの目的は、真理子の周りに少しでも長くいる事と、奴等にとっては最大の怨敵である人物を真理子に近付かせない事だ。

 ここまで言えばその怨敵が誰なのか想像がつくだろう。そう、奴らが目の敵にしている怨敵とは、真理子と付き合っている(事になっている)相馬和範であった。

 元々真理子と共に行動し始めた当初から、女子連中からの受けは悪かった。だが、別段危害を加えるような事もなく、睨むような視線を向けられたり、そこはかとなく嫌味を言ったりする程度だった。 ところが、真理子が日々女性として美しくなっていくに連れて新たに真理子の支持者が加わった。

 そして、数が増えるに伴い過激な連中が台頭していった。それが今の親衛隊の幹部達だ。彼等の行動は、過激の一言に尽きるだろう。そして、それはすぐに証明される事になる…





二人の登校時間は遅刻するか否かというほどの微妙な時間帯になった。少し急いで歩く。そして、階段を上りきって、


「では、主様。 私はここで一端失礼させてもらいます。」

「ああ、今日も一日頑張ろうな。」


クラスが違う為に階段の終わりで真理子と別れる和範。そして、幾分か歩いた後、後ろからろくでもない気配を察知する。


「キェェエエエエエエーーーーー!!!!!」


そう、突然に怪鳥の如き雄叫びが上がったかと思うと、ガタイの良い男子学生が和範に向けて飛び蹴りを浴びせてくる。

 だが、普通の人間ならまだしも一般人の実力などより遥か上位にある和範には当然通じない。

 ヒョイ、と軽く横に避けると、その横を男子学生が通り越してゆき……

 ドンッ!ゴロゴロゴロゴロ、ガンッ!

 そして、気絶へと至る。

 起こった出来事としては、着地に失敗して床に身体を打ち付け、回転しながらそのまま床を転がり、最後は壁にぶつかって、後に気絶、という流れだ。無論こんなコントが自然に起きるわけが無く、避わしざまに和範が相手に回転運動を加えたせいで起こったがゆえの珍事だ。

 これが今の学校生活の朝の日常的な風景だ。真理子が傍から居なくなるや否や、毎回のように起こる出来事に内心で愚痴る。


(まったく、毎朝毎朝と鬱陶しい奴だ。)


そして、その愚痴に対して八重香から返答が返る。


(今日は、飛び蹴りか……段々とやる事が過激になってきておるのう。)

(過激になろうが穏健になろうがどっちでも同じだ。)


和範はその八重香の言で今までの馬鹿達の行動を思い出し、つい、吐き捨てるように言った。


(そうじゃのう。いい加減こういう実力行使は通じんのだと学んでも良いと思うのじゃがのう…)

(脳みそがミジンコ程度しかないんだろうさ。だから、いつまでたっても成長しない。)

(………お主、言う事がつっけんどんになってきたのう。

 最初の頃はどこか楽しんでおったというのに…)

(最初はちょっとした刺激になって楽しかったさ……でも、こんなのが日常的になると…鬱陶しいだけだ…)

(…まあ、の。

 それにしても今朝は男子空手部の主将か…そういや、昨日は柔道部の副部長だったかの? )

(なんだ、昨日と別人だったのか?)

(昨日は投げ技を使おうと此方に掴みかかってきたじゃろうが…)

(俺の中では、鬱陶しい奴、という分類で一括りにされているからな…一々見分けるのも面倒だ。)

(ま、確かにその意見には同意をせざるをえんのう。

 じゃが、ここまで襲撃に加わる人数が増えておるのは、朝夕の登下校時や昼の休憩時間を初め至るところで、お主が一々周りを挑発しとるせいでもあると思うがのう。と言うか、お主が挑発なぞせなんだら、これほどの事態にまで悪化する事は無かったと思うがのう。そこいら辺はどうなのじゃ? ん?)


和範の意見に対して八重香は同意するが、釘を差しておく事もまた忘れない。だが、それに返った答えは、


(き、気のせいだ…)


と、心当たりがあるために、話を流そうとするもの。そんな和範の態度に対する八重香の反応は、


(………………(呆))


と、呆れ返ったもの。

 こういう場合八重香は、真理子のように怒ったりはせずに、呆れ返るだけだ。

 だがこういう態度は、怒られるのとはまた違って、なんかこう、居たたまれなさが湧き上がってくる。


(………と、そろそろ我が教室に到着だな。)


視線の先に和範のクラスが遂に現れたのであった。





自分の教室に入る和範。だが、ここでもまた幾つかの問題があった。

 まず、クラスメイトのうちの約三割程度が和範に対して非友好的な視線を向けてくる。中にはどう好意的に見たところで、これから殺す人間(しかもその理由は度を越えた憎しみからとしか思えないような)を見るような目で睨んでいる者すらいる。

 そして次に約六割程度が普通のクラスメイトに接する、といった態度。尤もこれは特に親しくしているわけでは無い。 そして最後の一割弱。これが、和範と親しくしている者達だ。つまり、和範のクラスはこの三つの集団に分かれている。ちなみに、其々の集団の内情は以下のようになる。

 まず、第一の集団。この連中は今更言うまでもあるまい。朝っぱらから飛び蹴りをかましてくれた馬鹿達と同類、とだけ説明しておこう。実際この中の連中に襲撃された事もある。

 次に、第二の集団。この集団の内情は大きく二つに分かれる。一つは、厄介事には関わりたくないと言う本音の者達で、非友好的な中立だ。まあ、現代人が取る行動としては一番妥当な行動であろう。尤も、我が事になると一番頭にくる対応ではあるが…。もう一つは元々和範と親しくなかった者達のうち、特に態度を変化させなかった者達だ。和範に質問されれば普通に返事するし、逆もしかり、だ。まあ、一連の状況を風物詩のように捉えているだけかもしれないが……。ちなみに両者の比率は前者が6、後者が4くらいだ。

 そして最後の第三集団。これは神月高校に入って以来、和範と一番親しかった者達だけで構成されている。元々他者と浅くしか付き合っていなかった和範だから、この連中も自分から離れていくだろうと予測していたが、予測に反し今もなお和範と親しくしている。周りの反応や和範の状況も本気でどうでも良いようだ。これを知った時、八重香からは、『類は友を呼ぶ』という感想を述べられた。実際この連中は和範同様に感覚がどこかずれているのかも知れない。

 ゆえに、和範は前よりも少しだけ親密さをました挨拶を彼等にする


「やあ、おはよう。小山田、松山、富樫。今日も素晴らしい日じゃないか。」


その周りの三分の一ほどの者達の雰囲気を無視しまくった挨拶に三人は苦笑しながら返事を返す。


「おう、おはよう相馬。」

「相変わらず、素適なまでに自身に向けられる悪意を無視しているね?」

「まあ、それでこそ相馬だな…」


その三人の発言に悪戯心を刺激された和範は内心で面白そうに八重香に呟く。


(やっぱ、悪意を向けている連中を無視するのはいけないよな?)

(…ふぅ~…。結局初っ端から連中を挑発するのじゃな、お主は。)

(ははは、もはやこれこそが毎朝の生活習慣、というやつだよ。)

(ふむ、どうせならこの雰囲気が悪い連中が全員で飛び掛ってくるほどの挑発でもしたらどうじゃ?

 朝っぱらからガツン、とやっておけばこの後が少し大人しくなるじゃろうよ。というか、再起不能になるまでやりゃあ良かろうて。)

(ま、そこそこにやっておくよ。)


と、なんだか途中で八重香が投げやり気味になってきたので念話を打ち切り挑発を実行する。


「ふむ、確かに周りを無視するのは良くないな。では、他の皆にも挨拶をしようか。

 やあやあ、馬鹿みたいに雰囲気が暗く、そして悪い一部の皆さん、Good morning!

 大半の人達の雰囲気が、お通夜や墓場や処刑場で似合いそうな雰囲気だね?

 ちなみに俺は、今日も真理子と仲良く連れ立っての登校だったんだぜ。どうだ、羨ましかろうが?」


その和範の発言に、周りの三割のクラスメイト達は楽しげに観戦する気満々だ。そして、ガタガタガタガタガタッ、と席を立つ音が聞こえる。席を立った連中は仇を睨み殺すかのような鋭い目をして和範を睨む。

 だが、そんな連中に和範はかかって来い、とばかりに手でコイコイを行う。それを見た連中は瞬間的に怒りが沸点に達し、怒れる心の命じるままにかかってこようとする。が、彼等の戦闘行動は全てが悪い方向へと動く事になった。何故なら、ガラッ! と、扉が開く音がしたからだ。そして、


「何をしているっ!

 もうホームルームの時間だぞ!

 早く席に着かんかっ!」


担任にして皆の師匠、武倉教師の一喝が着席していない者達に落ちる。和範は当然着席していた。そして、叱責を受けた連中をニヤニヤと嘲笑う。それに再び暴発しかける連中だが、担任の前なので自重したようだった。それを見て武倉教師がぼやく。


「……また、お前が事の発端か、相馬……」

「ははは。まあ師匠、これはいつもの日常風景、と言う事で。」

「……はぁ…。…学校の備品にだけは被害を及ぼさないようにな……」


半ば、諦めたかのような忠告をする武倉教師であった。そして、時間は過ぎ去ってゆく。





そして、昼休み。

 昼食を取る為に弁当を持って真理子とともに屋上へと上がる。

 後ろからゾロゾロと真理子の取り巻きと思しき連中が和範へ殺気や嫉妬の念を浴びせながらついて来るが、和範も真理子も完全に無視して屋上へと歩く。この大名行列が行われるようになった当初は流石に鬱陶しいやら恥ずかしいやらと変な気分だったが、それも次第に慣れてしまった。これによって、二人は人間は慣れる生物だという事を嫌でも実感したのだが、できればこんな事で実感などしたくなかった。

 まあ、それは良いだろう。もう、二人共気にしていないのだから。和範と真理子にとってはそんな雑事よりも主従で過ごす時間の方が貴重だ。

 尤も、これが八重香の言う挑発になってしまっているのだが、周りを気にして止めるような二人でもないし、そもそも八重香もまた真理子と過ごす時間の方を貴重だと見なしている。

 結局彼等への挑発に他ならない、周りから見れば二人きりでの熱々な恋人同士の昼食風景が展開される。

 それに対して涙を流しながら悔しがる馬鹿達。そしてその後、周りにたっぷりと仲の良さを見せ付けて昼休みが終る。

 その後は普通の授業風景が続き、そして、放課後になったのだった。

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