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あなたとみた、あの星空に。  作者: 半崎いお
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もしかして

倒れた馬車に、ガンガンと破壊音が響く

ほど、横倒しになっているせいで

ほぼ壁(床)になんとか齧り付いてるみたいな状態。

この鎖がなければもうちょっと楽だったかもしれないけど

この足ではどうしようもないかもね。

鎖をうまく使って、なんとか逆さ宙吊りにならないで済むように踏ん張っていた



ジョルジェさまの、手。

あの、おおきくて優しい手が、ここにある。

これだけは、なんとか守らなくてはならない。


すぐにでも、ここは破られるだろう

幸いにも、と言うか、不幸にも、というのか

ここの、この馬車は随分と頑丈なようだ。

私が魔法でも使うとでも思っていたのだろうか



そうだよね、

この、ここの、あの人たちは、知らないんだよね

わたしが、あなたたちに、何度も殺されたってことを。

何度も、どころか今回は殺されてすらいない。

ジョルジェさまがいうには、私が現れたと言う記憶すらないはずだ、と。



だから、彼らは、

私がなんの力も持たない、むしろあなたたちより弱い存在であることなんて、全く知らないのだ



ああ、ちょっと外が見えてきたな。

頑丈そうだったけど、人数の力には勝てなかったようだ

外は、真っ暗か。

夜だったんだね


こんな夜に素人の民間人が武器持って、って、自分たちも無事ではいられないでしょうに

気のせいじゃなければ、咳をしている人もちょこちょこいるように思える。



発病が呪いのせいとか考えちゃってんのかなぁ…

てか、たぶんそうだろう。



で、呪いの源を消せば解放される、とかね。

笑えないけど、そうでもしないとどうもならないんだろうね

気持ちが。



私も今そんな感じだわ。

どんどんと、突破口にされた横窓がこじ開けられていく

私から見えるのは、星空。

満点の、星



あの日、ジョルジェさまと見たような、美しい、星空。



傍に力無く落ちる、愛しいあなたのその腕に、ほおを擦り寄せる。

冷たい、冷たいなぁ

あったかくって、ふわふわで、でっかい、ジョルジェさまの手、のはずなんだけどなぁ

なんだか、硬くて、優しくないなぁ

涙が、ボロボロ溢れてきた。

しっとりして、硬くて、

あなたの手は、こんな硬さじゃなかったはずなのに。

一昨日ちょっと切りすぎていた爪

去年、魔物に裂かれた傷跡

まごうことなき、ジョルジュさまの、手



喧騒

怒声


美しい星空



そして、あの人の手と、血の匂い

不器用に切られた爪と、きんのゆびわ

わたしの、ゆびわ



なんとか、それを外せないかと試みる。

片手すらもまともに使える状態じゃないから、口で、試してみる


ジョルジェさまの指を、口に含んだら

つけめたくなっていても、優しいいつもの香りがした

歯が当たってしまっていても、硬くなってしまったそこは、素直に受け入れてしまう

必死に急ぐと、どんどんと、ジョルジェさまが、削れてしまう

血は、でてこない。

でも

あのひとの、にくが

わたしの口の中に


ガリガリと、削るようにしたら、指輪はなんとか、外れてくれた

口の中には、あの人のお肉と、きんのゆびわ。

なんともいえない充足感が、満ちた。

あのひとのあじと

あのひとのわたしのゆびわだ

こんな状況、なのに、笑顔になった自分に気づいた

じょるじぇさまの、おてては、もう、結構ボロボロに、なってしまっていた


そのときだった



「女がいたぞ!!!」

「檻の中に女だ!!!!!」



血走った、民衆の、目。

いいよ、ジョルジェさまと一緒にいられたらこわくないよ



向けられる、何本もの、刃



あのときみたいだ



って


……ちょっと待って。





気づいてしまった。

気づかなければ、良かった




ねえ、まさか

いまわたしがここで死んだとして

また、引き戻されたり、しないよね?

あの、ループからは抜けだせたんだよね、私。



また、あの部屋にすぐに引きずり戻されて

また、すぐに殺されて

また、すぐにもどされて

また、すぐに殺されて

また、すぐにもどされて

また。。。。



抜け出せた、ん

だよね?


次回も日曜日19時です

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