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ステラの箱庭  作者: Arisa
フェリシアは冒険者になる
14/57

199807201000[AOI-SIDE STORY]

本編とは時間軸が異なります。

SIDE:ゆい


これは僕らが小学校3年の夏休みの初めごろの蒼村のお話。


僕とトオルがちょうど村の重要文化財の「竜の祠」の前を通った時のこと。


「なんかほこらに誰かいないか?」

「気になるわね」

まさかと思い見に行った。僕らよりちょっと年上の女の人?がいるではないか。

祠を覗き込む。

「隠れちゃったね」

「多分ただの見間違いかもしれないと思うの」

そう納得して祠を離れた時。

「あーごめんごめん。久しぶりに祠から出たからのう。」

「わ!人が出た!」

僕らは驚いた。


「驚かしてすまんの。我はりゅうと申す。お主らは」


「は、初めまして、僕はゆい」

「私が透よ。」

「よろしくのう」

透は疑問に思ったようで。

「久しぶりに祠から出たと言うけど、いつくらい前なの」

「うーん55年前かの。まあ我は不死身なのじゃからな」

どうやら人間じゃないのは確か。

「どのくらい不死身かというと、まあ我はこの地球で4000年近く生きているのじゃ」

まさかの4000年。こうなると伝説級だ。そして透が

「あの、これほど長生きする種族といえばエルフがあるの。でもエルフは伝説の生き物だと言われているけど」

と言ったが、

「いやいや断じて我はエルフではないのじゃ。本当は竜なのじゃ」

そうなのだ。エルフではない。彼女は人間の姿をしているのだ。

そして本当の姿が竜とは。


なぜ、「竜の祠」に竜が存在することが世間に知られていないのか。

「いや、本当はここに本当に竜がいることを秘密にして欲しいんじゃ」

「なんでなの?」

「それはじゃな。教えない。じゃが、その昔、我を捕まえようとする愚か者がいたのは確かじゃ」




僕らはこの夏休み中、りゅうと自然の中で遊んでいい思い出を作った。

相澤ひなたも僕と同じ蒼村の小学校の同級生だった。

ひなたは、最初はりゅうを怖がっていたんだけど、なんだかんだで楽しくなったようだ。


りゅうが竜の姿になって空を飛んだりもした。もちろん人目のつかないところで。

本当の姿はもっととてつもなく大きいものらしいが。


で、8月の終わりを境に、りゅうの姿を見ることはなかった。

多分竜の祠で眠ってしまったんだろう。

村全体がダムにより沈むこともあり、きっともうりゅうには会えないだろう。

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