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零式艦上戦闘機23型  作者: 通りすがりの野良猫
12/25

停戦の頃の世間の様子

さてどうして停戦になったかのお話

日々戦っていた現場では唐突な印象があった昭和20年8月15日の「停戦」で

はあるが、実質的には「敗戦」であった。

ハワイまで攻めこんだ連合艦隊は機雷封鎖で封殺。

航空隊は少なくとも攻撃力のほとんどを喪失。

陸軍も制海権が奪われて、南洋から大陸に渡る広範囲にポツンポツンと小規模

な部隊が分散しており、本土付近で戦闘が起きている現状ではほとんどの兵力が

遊兵化されている始末。

陸軍航空隊も、善戦はしているものの、本土の要地の防空に悪戦苦戦。

肝心の航空機工場まで爆撃されている現状ではこちらも負けている。


そう日本の軍事力は、機能不全でマヒ状態といえるのである。

そこに付け込んで、ソ連は日ソ不可侵条約を破って満州に進攻してきている。


ここまではドイツのポツダムで英、米と打ち合わせている範囲であるから

まだよかった。

ところが、通信諜報や二重スパイといった情報源が伝えてくる内容はそれどころ

ではない。

戦後おそらく米英が動員を解除する隙に、国際的共産党のネットワークを活用し

どさくさ紛れに勢力拡張を図っているのだ。

アジアでは現在進行形の満州制圧から可能な範囲で南下し、できれば朝鮮半島

全域を確保する。

そして日本列島の北部の諸島をも確保、これには北海道と呼ばれる島も含めて

いる。


またヨーロッパでも共産党による政権奪取で衛星国化する計画を進めている。

この内容は米、英を激怒させたが、イギリスはすでに6年以上の戦争で疲弊

しており、これ以上の戦争はもうできない。


またアメリカはドイツもこいつも逆らうものはぶっ倒してきたが、ヨーロッパ

で戦いが終わり、また太平洋でもチェックメイトがかかる一歩手前で、

これ以上の戦争はもうこりごりであった。


フランスなども国土が最初はドイツ軍により後には連合軍がドンパチしたのでも

うぼろぼろ。植民地だってどうしようか。


そこを狙っての火事場泥棒的なソ連の拡張主義に対して、米英の答えが、敗戦した

日、独の活用である。

ヒトラー亡き後のドイツは再編して西ヨーロッパの防壁として働いてもらう。

そして日本である。


日本へは本来本土進攻でとどめを刺すプランと、爆撃と通商破壊で制圧する二つの

計画があった。

1945年7月の現状では後者のほうが現実的になってきているのであった。


これには表にでない2つの要素も絡んでいたのだ。

一つは、最近のた物理学の進歩で、原子核のもつ潜在的なエネルギーを兵器に応用す

る、「原子爆弾」の開発が進んでおり、極秘の計画が米で進められていたこと。

そしてその最初の実験、トリニティでガジェットと呼ばれる試作爆弾がテストされた

が想定していた出力が出ない結果に終わっていたのだ。


当時これと同じ原理を応用してプルトニウムという元素を使ったファットマンと呼ば

れる爆弾も完成間近であり、ウラニウムを使ったリトルボーイというものも完成間近

になり、すでにテニアンにこれらを搭載可能なように改修したB29が展開済み、日

本各地に演習弾を投下することまで行っていたのである。

だのに、肝心の爆弾のテストが不満足な結果に終わっているのでは危なくて実戦使用

できないし、これでは万が一ソ連がヨーロッパで戦端を開いても使えない。


(この時点での原爆というのはほぼ手作りに近いものであり兵器として量産できる体

制が整うのは戦後であったし、想定通りの出力が観測できたのはビキニ環礁での実験、

クロスロードのエーブルショット、ベーカーショットが最初であった)


それともう一つの要素は、どちらかと言えば容共的なルーズベルト大統領が亡くなっ

たことである。


これらの要因がからみ、ソ連に対抗したいが、戦争継続は御免被る、という状態に米

英がなったとき、当初の目標であった日本の無条件降伏、から大陸に展開している

日本の戦力を活用して、ソ連の拡張を止めようという発想が出てきたのである。


なんのことはない、1904年の日露戦争の現代版である。

これには沖縄戦の長期化、損害の増加などからみて、本土上陸での損害を憂慮する声が

前線の指揮官などから上がってきていることもあわさって現実のものとして

選択されていくのである。


日本はと言えば、先にも述べた通り本来は戦争なんてやってる場合ではない。

資源のない国が日干しにされているのだ。

このままでは豊富な武器に囲まれながら餓死するかもしれない。

ソ連の裏切り(あんな国を信用している時点で終わっているかも)は政治的衝撃でも

ありさすがに戦争継続に限界を感じた政府は(皇室の容認も踏まえて)米英の提示した

条件での「停戦」に合意したのである。


なんせ軍部のいう本土決戦準備は張り子のトラ状態であることは天皇陛下すら感じてお

られる時期で、信用が失われていた時期でもあったのだ。


ただ、この期に及んで、英米との停戦に反対し、あくまでも戦争継続することを主張

する守旧派のクーデタが一部の陸海軍軍人を含めて行われた。


これには彼らが担ぎ出そうとした天皇陛下の強い拒絶から頓挫し、常識的に戦争継続

の無理を悟っていた陸海軍主力の賛同を得ることなくあっさりと鎮圧された。


そしてこのときの反乱を指導した将校、士官は実質的な敗戦を糊塗するべく、格好の

スケープゴートにされ、短期間の軍法会議で裁かれ死刑となった。


そして米英との協定で機体全体を白く塗装して日の丸のみいれた1式陸攻が沖縄に飛

びまずは停戦協定の締結の打ち合わせに入ったのである。









こんな風になればまだ、、、

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