第11話 魔女の弟子との出会い
ウィルが目を覚ますと、そこは見たことのない質素な部屋の中だった。
「あ、気が付いた?」
声のした方を見ると、かなり高齢の老婆がウィルの顔を覗き込んでいた。
「ここは?」
「ここは森の魔女の家よ。あなたは魔女の森の端っこに倒れていたの。」
よぼよぼの見た目の割に話し方がやけに幼い感じがして、ウィルは不思議そうに老婆の顔を見た。
「あなたが森の魔女なのか?」
ウィルも母が魔女から貰ったネックレスのことは聞いていた。
ネックレスが母の願いを叶えたのだろう。
「いいえ。私は魔女の弟子でリーナっていうの。先生は半年前に亡くなったわ。」
「魔女が死んだ?でも、魔法が・・・」
「あなたがここへ来るとき、先生の魔力を感じたわ。先生が生前に作った魔道具が発動したんでしょうね。」
「母上は?」
「母上?」
「叔父上(の兵士)に殺されそうになって、母にかばわれた。」
兵士は叔父上が母上は殺すなと命令していたと言ってたけど、母上は大丈夫なのだろうか?
ウィルはその時の状況を思い出し青ざめた。
リーナは叔父に殺されそうになったという子供の話を聞いて涙ぐんだ。
過去の自分と目の前の子供が重なったのだ。
「お母様のことは分からないけど、落ち着くまでここにいたらいいわ。」
こうしてウィルとよぼよぼの魔女の弟子リーナとの二人暮らしが始まったのだ。
※
母やクロードも心配しているだろうし、どうにかして外と連絡を取りたかったが手段も分からないし、下手に町へ出ると叔父の追手に見つかるかもしれない。
リーナのことは信用できそうだと思ったが、叔父に密告される可能性も否定できず本当のことは伝えられずにいた。
リーナとの小屋での生活が始まって数日後、ウィルは期せずして残酷な報告を聞くこととなった。
月に一度、リーナのところに必要物資を届けてくれる孤児院のシスター・エリーが噂話をしていたのだ。
「王様ご一家が全員亡くなられたんですって。それで、王弟殿下が新しい王様になられるそうよ。」
エリーの言葉にリーナも驚いている。
「全員?」
「王様と王妃様は賊に殺されて、レオンハルト王子は行方不明だそうよ。」
「まあ、お気の毒ですね。でも、賊ってその王弟殿下がめちゃくちゃあやしくないですか?」
エリーも苦笑した。
「もちろん、みんな心の中ではそう思っているけど、証拠もないし口に出して言えない状況みたいね。」
エリーの話を聞いても、リーナはその行方不明の王子がウィルであると結びついていないようだ。
名前も違うし、王子とは思えない小汚い恰好だったしな・・・。
しかし、状況は思っていたより悪いようだ。
叔父上がすでに王位についたというなら、今さらウィルが見つかったとしても離宮に幽閉されたり、密かに消されたりされるにちがいない。
リーナとエリーの会話を横で聞きながら、ウィルは茫然とするしかなかった。




