47、あれから
私の誘拐・殺人未遂事件から半年程経った頃、私は女の子を出産しました。名前は「ルイス」と名付けました。
ルイスはすくすくと育ち、今日10歳の誕生日を迎えます。
私とマキシムは、家族だけで行うルイスの誕生パーティーの準備をしていました。‥‥ですが、今朝から肝心のルイスの姿が見当たらないのです。
マキシムは、ルイスが心配で仕方がない様子です。
「レミー、ルイスがいないが‥どこに行ったか知ってるかい?」
「‥あら、またどこかで泣いているのかしら?ちょっと探して来ますね。」
私はそう言って家を出ると‥家の裏手にまわりました。
シクシク、シクシク、
「ルイス、見ーつけたっ。」
「‥お母さん‥。」
ルイスはとても泣き虫な子でした。いつも近所の子と遊んだ後は、決まってここで一人で泣いていたのです。
「ルイス、今日は家族みんなで誕生パーティーをする日だったでしょ。‥どうしてここで泣いてるの?」
「‥大好きなエイドリアンに、『誕生日おめでとう』って言って欲しかったの。‥だから、エイドリアンに会いに行ったのに‥。
エイドリアンのお家に行ったら、メアリーと手を繋いで遊んでいたの。‥私も入れてって言ったら、邪魔しないでって、怒られちゃった‥。
エイドリアンも、マイクもメアリーの事が大好きみたい。
メアリーは可愛いものね。やせてて、髪も艶々のストレートヘアーだし。‥それに比べて私は‥‥。」
ルイスは‥近所の男の子達がメアリーばかりを構う為、いつも自分は一人ぼっちだったと言うのです。
それに、ルイスの大好きエイドリアンも、どうやらメアリーに夢中な様子でした。
「ルイス、あなたの栗色の巻毛は可愛いわよ。自信を持って伸ばしてみたら?
それに、メアリーみたいにやせてなくてもいいんじゃない?ルイスぐらいの年の女の子は、少しぽっちゃりしているものよ。大人になれば自然に痩せるわ。」
「‥でも、やっぱりメアリーは私よりも可愛いわ。‥私はエイドリアンが好きだから、エイドリアンには、メアリーじゃなくて私を好きになって貰いたいの。」
ルイスは、昔の私のようでした。
私も昔、友達のルビーさんがとても可愛かった為、自分に自信が持てずにいました。なので、ルイスの気持ちは良く分かりました。
ですが、そんな私だって、大好きなマキシムに出会えて恋をして、結婚までできたのです。
ルイスにも、いつかきっと出会うであろう運命の恋人がいるはずなのです。
私はルイスに、一度や二度の失恋に挫けず、最高の恋を探しだして、その手に入れて欲しいと思いました。
「ルイス、エイドリアンがなんだって言うの?あなたはまだ10歳よ。これからもっともっと良い男の人と出会えるチャンスがあるのよ。エイドリアンに拘る必要はないわ。」
「‥でも、エイドリアンは私が初めて好きになった男の子なの。‥やっぱりエイドリアンが良いの。」
「ルイス、初恋はかなわない事が多いものよ。それにね、初恋はかなわなくても‥‥いつかきっと最高の恋ができるわ。お母さんとお父さんみたいにね。」
私がそう言うと、ルイスはようやく顔を上げて私に笑顔を見せてくれました。
「うん、分かった。」
「ルイス、じゃあお家に入りましょう。お父さんが待ってるわ。」
私がそう言うと、ルイスは家の玄関へ走って行きました。
ルイスは玄関の前でピタッと止まると、私の方を振り向いて最高の笑顔で言いました。
「私、いつかきっと最高の恋を見つけるわ!」
end.
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