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屋敷と侍女と時々猫  作者: 予備役赤色
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天井と紅茶

初投稿、初書き物です。筆者の性癖に素直に書きたいことを書き殴ります。平にご容赦を。

感想頂けると嬉しいです。Twitter→@Admiral_Kirov


一応当主の青年と、メイドさんが幸せになる話が書けたらなと思っています。更新が遅いかもしれませんがご容赦ください。


それでもいいよという方、お楽しみいただければ幸いです。

手紙の束を左に押しやる。それが先延ばしという愚かな行為であると分かっていても、だ。

人間というのは度し難い。などと一人ごちていても手紙は減らないのだ。無常。


椅子に背中を預け、天井を眺める。果たしてこの手紙一通一通に返信を書き終わるのは何時間後か。と思いながら上を見続けていると彼女が覗き込んできた。

「御主人様、大丈夫でございますか?」


彼女はメイドである。といってもこの屋敷に住んでいるのは私と彼女、今頃どこかをぶらついているであろう黒猫だけだ。後は月一でくる庭師がいるが...まぁそんなところである。


「ああ、大丈夫だ。少し現実と向き合うのが嫌になっただけさ。」

「お疲れなのでしょう。お紅茶をお持ちいたします。」

「ありがとう。」


彼女はいつでも優しく温かい。こんなうらぶれた屋敷にはおよそ似つかわしくないほどできたメイドだ。彼女は求人をかけたら来てくれたのだが、もっといい働き口もあったろうにとは思う。手放す気は毛頭ないが。


家系が旧貴族であった名残から、私はこの屋敷に住んでいる。両親は幼い頃に共に他界した。親戚を回りながら歳を重ね、もう一人暮らし出来るだろうということでここに戻された。ここにきてようやく落ち着けたといえる。

因みに収入は不労所得だ。資本家として事業に出資したり、土地を貸したりしている。この辺りは両親が残してくれた貴重な財産だ。管理なんかは面倒だが、生きていくための仕事である。


暫くして彼女がポットとカップを載せたトレーを手に戻ってきた。紅茶を注いでくれる。

...香りからして今日はアッサムのようだ。

彼女の所作は全てそつがない。一種の気品と優雅さを感じさせる。特に紅茶を入れる彼女の姿は絵画にしておきたいほどだと私は思う。


「御主人様、お紅茶です。」

「ありがとう。」


礼を述べて受け取ったカップはきちんと温められている。紅茶を美味しく入れるコツを彼女は正しく理解している。それがなにより有り難い。

香りを楽しみながら飲めば、心が落ち着いていくのが分かる。

やはり素晴らしい。彼女の入れる紅茶は、自分で入れるよりもはるかに美味しいと感じる。同じ茶葉、水。入れる手順をさほど変わらないはずだ。こうみえて紅茶にはうるさい方だと自認しているが...なんだかんだ“人に入れてもらう”というのは大きな要素なのかもしれない。


「...?どうかなさいましたか?」

「いや、なんでもない。少し気が抜けていただけだ。」

「あまり根を詰め過ぎないでくださいませ。倒れられても困ります。」

「すまない。分かってはいるのだけれどね。」


危ない。少し気が緩むとすぐに彼女の顔を眺めてしまう。彼女に心の内を気付かれるのも時間の問題かもしれない...



そんなことを思いながら、僕は懲りずに彼女の顔を見てしまう。彼女は少し困ったような顔をしながら微笑んだ。

話はほとんど進んでませんがプロローグみたいなものだと...思います。ハイ。

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