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屋敷と侍女と時々猫  作者: 予備役赤色
2/4

兄弟

また勢いだけで書きました。つたない部分ばかりですが、お楽しみいただけると幸いです。

さて、今日は珍しくいつもとは違う日になるはずだ。

何故ならこの屋敷に来客がある予定なのだ。誰が来るかというと...


「御主人様。ヘインズ様がお見えになりました。」


もう来たようだ。少し早いが、この屋敷では待っていても退屈なだけなのでありがたい。


「お通ししてくれ。」


私は彼女にそう告げた。


来客はアンドリュー・ヘインズ。私が唯一人兄さんと呼ぶ男だが...実の兄ではない。

転々とした子供時代を過ごした私だが、最後の数年間はヘインズ家に世話になっていた。ヘインズ家の一人息子がアンディ兄さんである。性格は互いに正反対で、兄さんは活発で豪放磊落な人だ。が、不思議と気があった。世話になっているときから兄弟のように過ごしていた。今でもそれは変わらない。


扉を開けて応接室に入った途端、案の定がっしりと抱かれてしまった。兄さんは変わらないなぁと心の中で苦笑する。


「元気だったか弟よ!」

「ええ。兄さんこそ変わりないようで何よりです。少し日に焼けましたか?」

「まぁ地中海に行けば嫌でも焼けるさ。だが、海も女性も奇麗だったぞ!」

「それは何よりです。しかし軍務でしょう?女性との出会いなんてあったんです?」

「仕事だろうが何だろうが女性と出会う機会をつくるのが男というものだ。」

「実に兄さんらしいです。」


兄さんは海軍に所属している。人当たりがいいのと持ち前の元気さでそれなりに出世街道に乗っているようだ。とはいえ、弟としては昨今のキナ臭い情勢を鑑みるに少々不安になる。


「そういえば昇進されたとか。おめでとうございます。」

「ありがとう。ただまぁ、おかげで仕事が増えて女性と過ごせる時間が減ってしまった...」

「それはなんとも...しかし、あまり無茶をしないでくださいね。最近は大陸がキナ臭いですし。兄さんがいなくなったらおじさんもおばさんも悲しみます。」

「なに、戦争が起きても俺は出ないだろう。近く陸上勤務になる予定だしな。多少は出航するかもしれんが...まぁ程度問題だな。」


その後は大陸情勢や兵器の話なんかを聞かせてもらった。


「そういえば...この屋敷はお前だけか?」

「そうですね。後は兄さんを出迎えて、先ほど紅茶を持ってきた侍女だけです。」

「ふぅむ...そうか...いや、楽しそうだな。」

「確かに気楽ではありますが...そんなに楽しそうに見えます?」

「それはお前、こんな屋敷で侍女と二人きりとなればめくるめく楽しい生活を送っているだろうと...」

「兄さん...僕をなんだと思ってるんです...そんなことしてませんよ...」

「なに!?そういうの一切ないのか?」

「僕は兄さんみたいに女性とどうこうする手練手管なんてないんですから当然でしょう。」

「これは迂闊だった....弟に女性との適切な付き合い方を教えておかなかったのは、兄の俺の責任だ...」

「や、別に兄さんの責任では、」

「よし、弟よ。いい機会だ。きちんと教えておこう。まず女性とは...」


と、幸いにも(?)女性経験の豊富な兄さんから恋愛指南を受けることができた。これなら彼女との関係もなにか上手い方向に持って行けたりするだろうか...

浅ましくそう考えながら、紅茶を飲んだ。ほんの少しだけ、渋い気がした。





アンディ兄さんの乗艦が沈んだと電報が来たのは、それから3日後のことだった。

ショック要因がありましたね...続きもだいぶ方向性はできているので早めに上げます。また週末になるとは思いますが...しばしお待ちを。

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