1 聖女が二人?
『おおーーっ! 聖女様だ!』
『ついに成功したのか?!』
聖堂が金色の眩い光に包まれた後、神官たちが歓声を上げる。
しかし、魔法陣の上には人影が二つ。
『なに!? 聖女様が二人!?』
光がおさまると立ちつくす二人の女性を見て、神官たちの喜びとも困惑ともとれる声が響く。
そこへ、
『大神官! 急いで鑑定せよ!
さぁ、聖女はどっちなのだ?!』
煌びやかな衣装に身を包んだ、皇太子リヒャルトが声を張り上げた。
◆◇◆
えぇっと……
私は一体、どこにいるのでしょう?
目の前に立つ女子高生も、私と同じように混乱しているのかと思ったら、
「え、待って!? 異世界召喚とかマジ? キタんだけど!?」
なんか興奮気味に、そんなことをつぶやいてる。
異世界?
ここが?
彼女の言葉に、私はぐるりと部屋を見渡した。
ステンドグラスから光が差し込む明るい部屋の中、私たちの周りには白い服を身にまとった十人くらいの男性と、王子っぽい格好のイケメンが一人。
皆、西洋風の外見だった。
それにしてもさっきからこの人達、やたらと歓声を上げてて騒がしい。
「大神官! 急いで鑑定せよ!
さぁ、聖女はどっちなのだ?!」
王子っぽい人が、大声で叫んだと思ったら、白い服を着た中でも一番年上っぽいおじさんがこっちへ近づいてくる。
そして「失礼いたします」と丁寧にひと声掛けたと思ったら――
「ステータス、強制開示!!」
厳かに告げて、祈るように両手を組んだ。
そしたら、なんだこれ。
女子高生の頭のてっぺんから、光るパネルがふわりと浮かび上がった。
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ステータス:聖女
MP:10015
特記事項:女神アルテミスの加護
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うわ、マジで?
彼女、「聖女」とか書いてあるんだけど?!
しかも女神アルテミスの加護って何なの、すごそう!
とか、呑気に思っていると、
「おおー!! やはり手前の方が聖女様か!!」
「ささ、聖女様! どうぞこちらに!」
なーんて言われて、女子高生は丁重に案内されていく。
ここで、その女子高生が初めて私のほうを振り向いたんだけど、なぜか彼女、派手に「ぷっ」と吹き出したんだよね。
えっ、何? 失礼じゃない?
と思って、私も自分自身の頭上に浮かぶパネルを見上げたら……
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ステータス:***(非処女)
MP:***
特記事項:***
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って、何これ??
いやいやいやいや、待って。
そこ公開する?
そこだけ!?!?
隠すなら全部隠そうよ!
よりによって、なんでそこだけ?!
私が放心してる間に、聖女様と呼ばれた女子高生は、王子らしきイケメンに手を引かれてここを出て行ってしまった。
大神官と呼ばれたおじさんも、続いていなくなる。
部屋に残されたのは、なぜか私を感じ悪く見下す若い男たちだけ。
『汚らわしい』
『何であんなのが聖女様と一緒に……??』
聞こえよがしにそんなことを言ってくる。
そのうち一人が、近づいて来るなり言った。
「……外れだな。来い、アバズレ」
はぁ?
……今、なんて言った?
思わず天井を仰ぐ。
頭上のパネルに一瞬、何か文字が見えた気がした。
――でも、そんなことより。
私は、今。
とんでもなく、ムカついている。




