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第245話 :泥濘のカルテル 〜国策のブルドーザーと、霞が関の死闘〜

更地となった成田に響き渡る無数のサイレン。

土煙を上げて乗り込んできたのは、窓にスモークを張った黒塗りのハイヤーと、ジュラルミンの盾を構えた**【千葉県警・機動隊】**の車列だった。

機動隊員たちが一斉に展開し、権利書をまとめたブローカーたちを物理的な壁で包囲する。

ハイヤーから降りてきたのは、機動隊を後ろで操る【警視庁公安部のキャリア官僚】と、最高級スーツに身を包んだ【運輸省の局長】だった。

「な、なんだお前ら!? 俺たちは正当な取引で——」

抗議するブローカーに、運輸省の局長は鼻で笑い、一枚の書類を突きつけた。

「……**『千葉県収用委員会』**による、権利取得および明渡しの裁決書だ。

国策(成田空港拡張)のための事業認定を受け、千葉県がこの土地の強制収用を決定した。……今日からここは『国の土地』だ。さっさと退きたまえ」

ブローカーの顔が青ざめる。

「ち、千葉県だと……? ふざけるな、県知事はまだ強行採決には慎重だったはずだ!」

「ええ、最初は渋っていましたよ。地方自治の面子がありますからね」

運輸省の局長が、下劣に口角を上げる。

「だから、我々(国)から少し『指導』してあげたのです。**『もしこの裁決にハンコを押さなければ、千葉県への今後の国庫補助金と、県内の道路整備予算をすべて凍結する』**とね。……地方自治体など、国の予算(兵糧)を絞れば、三日で泣きついて泥仕事(収用)を引き受けるのですよ」

自分たちは一切泥を被らず、予算と権力を盾にして「千葉県」をアゴで使い、合法的に土地を強奪した運輸省!!!

その横で、公安の官僚が薄ら笑いを浮かべる。

「過激派の掃除は君たち民間人にやらせ、法的な汚れ仕事は千葉県にやらせた。我々(国家)は、一番綺麗な果実だけを頂くというわけです」

***

しかし。

その傲慢な勝利宣言を、品川のオフィスでモニター越しに聞いていた五代と【大蔵省のドン】は、氷のように冷たく嗤っていた。

「……見たかね、五代くん。あの運輸省の豚のドヤ顔を。他人の財布(大蔵省の予算)をチラつかせて県を脅し、自分の手柄にしている」

「ええ。ですが、彼らは忘れています。その『千葉県を脅した予算』も、『成田にコンクリートを流すための予算』も、真の決定権はすべて大蔵省の金庫の中にあるということを」

五代が、マルサ(国税)を動かすための、運輸省関連ゼネコンの「裏金リスト」をデスクに滑らせる。

「……豚どもに、本物の『カネと権力』の恐ろしさを教えてやる時が来ましたね」

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