08_A__02_02 第8話 Aパート 分割 2 / 2
第8話 Aパート 分割 2 / 2
【 第8話 概要 】
サブタイトル:どっちがどっちだ?
OP曲前:ハルとショージの思い出。小学生の頃、ハルが手品をショージに見せ、眠らせない。
Aパート:タイ、スラー、レガート、付点。タイで小節を跨ると、浮気者や未練者になる。連符と『月の光』の誤り。牡丹餅とお萩。物体の過去の動きから未来予想が外れる。
CM明け:音楽の先生。自宅でメロン。ラップでくるんだ種を揉んで、妻に「好きだよ」。または、トロール将軍が「ゴメンネ」を教える。トロール将軍の妻が妊娠で「おめでとー!」の叫び。
Bパート:シャッフル、3連符、付点8分音符と16分音符。装飾音符は音価の計算はしない、同時か直前か直後か。3人下校時、ステラの芸術、蟻釣り、パズルの話。ハル自宅、ペットボトルのブローボトルがピィー。
Cパート:ショージがステラの自宅へ。ショージがハプニングを装い、ステラにキスし、胸を触る。ステラの背中(素肌)に氷の蔓植物が、ステラの体を這い、刺される。
予告:トイレのスリッパが温かくて、ミッツはヤッ子と女子トークで盛り上がり、みんなが止まってギロリと睨み合う。それより、ステラ、逃げろ!
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ハル「ふうん」『月の光』(ドビュッシー)で3連符を探す。3小節目を指す。「あれ? ここ、「2」とあるけど、2連符の意味?」
ミッツ「そう、2連符。音価を半分にするから、付点16分音符を使ってもいいけれど、気分で2連符にしたかったのかな?」背景に「付点16分音符」の吹き出しが出る。後でショージの指摘まで、この噴き出しは表示されたまま。
ハル。ちょっと考え込む。不安そうに「ここって、8分音符が3つ分だよね。市販されている楽譜だから、間違いは無いと思うけど」
ミッツ「間違いなんて無いでしょう」
ショージ。出しゃばる。「楽典の初心者のハル君と、まだまだ楽典に未熟なミッツ君に、僕が教えてあげよう」黒板に8分音符3つと、音価を表す長方形3つを書く。
まだ、さっきのミッツの「付点16分音符」の吹き出しが出たまま。
ショージ「これを、連符じゃなく2分割するなら」中央の長方形の真ん中を、点線で区切る。
ショージ「ミッツ君、さっき君は「付点16分音符」と言ったね。しかし、本当は付点8分音符だ。わかったかい、ミッツ君」
ショージ。ミッツを指す。「犯人は、君だ!」
ミッツ。呆れたように「はいはい、わかりました、付点8分音符でしたね」
ヤッ子。微笑んでいる。
ショージ「そして、ギュウ詰めだから、この3つの長方形に2つの音符をギュウ詰めするなら……、あれ? ギュウ詰めだから……、おかしい、そんなバカな、バんなそカな」
ヤッ子「そう、この楽譜は、誤っている。ギュウ詰めなら、4分音符で2連符にするべきだ」音楽室に落雷。シルエットになったヤッ子を、竜巻が包み、後ろの髪を吸い上げる。
ショージ。くずおれる。「市販の楽譜なのに……」
ヤッ子、嵐が速やかに消える。「……という解釈もあるが、あれこれ資料を見ると、明確に誤りだとか、明確に正しいだとか、よくわからないんだ。このような話を決着させるのは、私にはできない、荷が重い」
ヤッ子「どの段階で、この表記が始まったのかは知らないが、複数の出版社で、この表記だ」書棚から、別な出版社の『月の光』を出し、ステラに渡す。
ヤッ子「ネットでこの曲の楽譜を探すと、古そうな楽譜でも、その形で書いてある。私の興味は、ここまでだ」
ヤッ子「もしかすると、視聴者からも、正しさの考察がブログなどで出て来るかも知れないな。予測だが、その考察でも、複数の正しさがあるだろう」
背景に、予測されるブログの例をいくつか表示する。「気付かなかった」や「それは、これが結論とされている」など。
ショージ「畜生! こうなったら、ハルの恥ずかし話をしてやる!」
ハル「なんでですか」
ミッツ「ハルの初恋の相手は、あたしなんだよ」
ハル「そんなことあるか」
ミッツ「あたしがピアノ発表会で、可愛いドレスを着ていたら、喜んでスカートめくりしたでしょう」
ハル「そんな昔の話を」
ミッツ「しかもねえ、めくって、普通なら逃げて行くのに」回想で、2頭身の小学生のミッツとハル。めくって、ハルが走り去る様子。ミッツが怒っている。
ミッツ「でも、ハルは逃げないで、めくったまま、持ってる」回想で、小学生のハルが、めくって、しっかり中を観察する。
ショージ。手を叩いて笑っている。
ステラ。ヤッ子につかまって、倒れないようにしている。
ヤッ子。呆れた微笑み。
ハル。悔しくて大声で。「クマさんのパンツー!」
ミッツ。笑顔だが、赤くなって汗までかく「小学生の頃の話を、今になってしたって、恥ずかしくないもん」
ショージ。ステラに。「痴話喧嘩よ、やーねー」
ステラ。ヤッ子に。「この線は、スラーですか?」
背景に、「ステラは、タイとスラーの違いを教わっていますが、よく似たレガートなどは教わっていません」を表示する。
ヤッ子「ああ、これな。スラーの仲間で、レガートとかフレーズとかだな」黒板の絵を全部消す。新たに楽譜。同じ音高の2つの音符。違う音高の2つの音符。
ヤッ子「同じ音高ならタイ。これは、さっきの話の通りだ。違う音高ならスラー。星山君、スラーのあると無しを、歌い分けてくれ」
ステラ「歌い分け……ですか。えーっと、スラーが無ければ「ターター」、スラーがあれば「ターラー」ですか」ステラ声を聞いて、ショージが後ろで喜び、小さく拍手。
ヤッ子「その通り。同じ音高の音符を繋げていても、タイではなくレガートの場合もあるぞ」
ミッツ。驚いて「嘘っ」
ヤッ子「タイは音符の玉を繋ぐ、レガートは音符を繋ぐ。と言えば紛らわしいが、こういうことだ」
ヤッ子。黒板に、同じ高さの4分音符が2つのセットを、4セット書く。玉を繋ぐ、下向きのタイ。玉を繋ぐ、上向きのタイ。棒を繋ぐレガート。繋げる線が無い。それぞれに「タイ」「タイ」「レガート」「何も無し」を指し棒で。
ヤッ子「玉と玉を繋ぐタイは、下向きでも上向きでも同じ意味だ」
ヤッ子「再び星山君。この、4つの歌い分けを頼む」
ステラ「はい、「ターーー」「ターーー」「ターラー」「ターター」」
ヤッ子「ありがとう。このように、レガートは「滑らかに」という指示だな」
ハル「音符の、玉を繋ぐのがタイで、棒を繋ぐのがレガートですね。ということは、スラーとレガートも、玉を繋ぐのがスラーで、棒を繋ぐのがレガートですか?」
ヤッ子「考え方は正しい。もう少し正確な表現なら、「棒を繋ぐ」ではなく「音符を繋ぐ」だ」
ハル「え? でも、ええーっと」
ヤッ子「結局は、「玉ではない」を示すために、「棒を繋げる」になる」
ハル「そう、そうです」
ミッツ「レガートと、スタッカートが、一緒なら、音価の「4分の3」で鳴らすのを終えるの意味ですよね」
ヤッ子「一般には、そう言われているが、曲によって、そうではない解釈もある」
ミッツ「あたしは、ピアノの先生から、そのように教わりました」
ヤッ子「ピアノという楽器の特性があるが、「曲によって」と「楽器によって」や、「曲の解釈によって」もある」
ハル「ピアノは、音が出た瞬間は大きな音で、そこから先は、音が小さくなるだけ。バイオリンや、吹奏楽器だったら、鳴らしながらクレシェンドができるんですよね」
ステラ「あ、それ、吹奏楽部で教わりました。トロンボーンでは、音が出た瞬間から、強くして、急に音を止めることもできるって」
ショージ「ステラちゃん、素敵! よく勉強している。いい子、いい子」
ミッツ。ショージが、ステラの頭を撫でようと、手を伸ばしたので、とっさに割り込む。
ステラ「楔型なら音価の4分の1、スタッカートなら音価の半分、スタッカートとテヌートなら音価の4分の3。スタッカートとレガートも、音価の4分の3。とはいえ、その違いを演奏で実現するのは、難しいって」
背景に、いくつかの記号を組み合わせたものを表示する。
ミッツ。ステラに。「音を鳴らす続ける時間と、音の強さも工夫して、「滑らかに」を表現するよね」
ステラ「はい。トロンボーンなら、音色も気を付けます」
ハル。ミッツとステラの会話を、顔の向きを変えながら、聞いている。ハルにとって、演奏表現は、守備範囲外なので。
ヤッ子「レガートは、スラーをたくさんの音符に広げたような書き方もある」背景に、棒が上向きで同じ高さの4分音符が4つを、2セット。レガートを、音符の下(玉の側)の例と、音符の上(棒の側)の例。
ヤッ子「ただし、この書き方は、フレーズと同じ。フレーズとは、句読点のようなもので、「ここまでが、ひとつの区切り」の意味だ」
ヤッ子「私はピアノ演奏が中心だから、フレーズの区切りは強弱で表現することが多い」
背景に楽譜。横長に6小節で、同じ高さの音符が並んでいる。2小節ずつのフレーズが3つ。フレーズに合わせて五線をグラデーションで塗りつぶす。フレーズの両端が薄い色、フレーズの中央が濃い色。
薄い色に指し棒で「フレーズの始まりと終わりは、弱く」、濃い色に指し棒で「フレーズの中央は強く」と記す。
ヤッ子「ピアノの、ソロの演奏では、このような表現をすることがあるが、これは「フレーズの表現方法の一つ」だ」
ハル「逆の、始まりと終わりが強くて、途中が弱い演奏って、あるんですか?」
ミッツ「それは、無いと思うよ」
ショージ。ミッツの物真似で。「それは、無いと思うよ」
ステラ「あっても、おかしくないと思います」
ヤッ子「星山君」
ステラ「はい」
ヤッ子「星山君は、美術や、何かの創作は、経験があるのか?」
ステラ「はい、あります。メルヘンの小物を作ったり、イラストが好きです」
ヤッ子「そうか。これは、音楽方面を揶揄する意味ではないが、奔放な発想は、美術の方が喜ばれる傾向がある」
背景に「意見には、個人差があります。この意見は、当アニメの登場人物である、ヤッ子の意見です」を表示する。
ヤッ子「例えば、こんな曲があったとする」
ヤッ子。ピアノで、右手で長調の音階を2オクターブ(主音が3回、使われる)、下から上に行き、そのまま続けて上から下に戻る。これを3回繰り返す。下の主音を鳴らす時、左手は主和音を鳴らす。
まずは、これを、強弱の無い、平坦な演奏。
ヤッ子「今のは、フレーズの無い演奏だ」
ヤッ子「始まりと終わりを弱くする演奏を、動きで表すと、こうなる」脇を絞めて、両肘を曲げる。手の平を上向きに、手を握る。そこから、両手を開きながら前に出し、戻って来る。これを繰り返す。
ヤッ子「これを演奏すると、こうなる」フレーズの始まりと終わりが弱い演奏。
ヤッ子「では、早坂君の考案した演奏は、動きで表すと、こうなる」バレーボールを真上に放り、落ちて来たのを受け取る。これを繰り返す。ボールが、天井よりも高く上がっていることを表すために、目でボールを追い、戻るまでの時間も設ける。
ヤッ子「これを演奏すると、こうなる」フレーズの始まりと終わりが強い演奏。
ヤッ子「どのような曲の、どのような場面で、どちらが適しているか、思い付いたら実験するのが面白いな」
ミッツ。ヤッ子に向かって。「クレッシェンドや、デミヌエンドの記号もありますよね」
ヤッ子。ミッツから問われたが、ステラが答えたがっているのが見えたので、ステラに促すように。「音の強弱を変える記号だな」
ステラ「横長の、こんな記号ですね」黒板の所に行き、横長の不等号記号を書く。
ハル「見たままの形だね」
ショージ「素敵だよ、ステラちゃん。でも、文字で書くこともあるって、知ってるかい?」
ステラ。自分の不備を指摘されたような気持ちになり、困惑する。「え?」
ハル。ステラを気遣う。「それは聞きたいな。ステラも、いい機会だから、教えてもらおう」
ステラ。少し安心して、ハルに。「はい」
ショージ。黒板に、不等号記号のクレシェンドとデミヌエンドを、左右に並べて書く。
クレシェンドの記号の下に、「crescendo」「cresc.」を書き足す。
デミヌエンドの記号の下に、「decrescendo」「decr.」「diminuendo」「dim.」「デクレシェンド」を書き足す。
ヤッ子「これらを、正確に書けるのは、大したもんだ」
ステラ「そんなに、あるんですか?」
ステラは、吹奏楽部員の中では、自分の音楽の知識が少ないことを気にしている。
ハル「暗記はしなくて、いいと思うよ。いざ、実際に書いてあるのを見た時、調べればいいだけだし」
ステラ「路線図や時刻表と同じ。暗記していなくても、必要な時のために、資料があるんだし」
ハル「暗記していることの利点は2つ。調べる手間が減ることと、暗記しているのを自慢すること」
ショージ。ステラに近寄り。「ステラちゃんのための、資料になる利点もあるよ。いつでも、僕を資料にしてね」
ステラ。ちょっと困惑。
ハル「どれくらいの度合いで、大きくするか、小さくするかを、こうして書くこともあるな」
ハル。ショージの書いた、黒板の不等号記号のクレシェンドとデミヌエンドの、中間と左右に、「ff」「mp」などを書き足す。
ヤッ子「フレーズの区切りでは、音を出す時間を少し短くし、小さな休符が挿入されたような演奏もいいな」
ハル「音価を表す、四角の横幅が、少し痩せて、隙間ができるような?」背景に、ピアノロールを表示する。
ミッツ「それ、ブレスだよ」
ハル「ブレス?」
ミッツ「息継ぎ」黒板の楽譜の、いくつかの箇所にブレスの「V」を書く。
ハル「ああ、ブレスの頭文字の「V」か」
ミッツ「違うよ。ブレスは「B」から始まるから、これは文字の「V」じゃなく、楔(くさび)のような記号」背景に、息継ぎの「BREATH」を表示する。背景に、ハンマーで楔を叩き、木材を割る絵を表示する。
ステラ「本当です。救急救命のABCは、気道と呼吸と循環の順番で、「A」は「エアウエイ」で気道確保、「B」は「ブレス」で人工呼吸。「C」は「サーキュレーション」で血液の循環をする心臓マッサージです」
ステラ「この順番が大切です。気道確保をしないで、人工呼吸してはいけません」
ここでは、命に関わることなので、専門家の監修による文字表記を行う。
ヤッ子「そうだ、ブレスも、表現方法のひとつだ。ただし、楽器によっても異なるし、曲によっても、箇所によっても異なる」
ステラ「トロンボーンも、違いますか?」
ヤッ子「そうだな。どんな工夫がされているのか、様々だな。バイオリンでは、弓の上げ下げの方向を変えるとか、あるんだろうな」
ステラ「スタッカートでも、表現方法は「音価の途中で、鳴らすのを終える」とか「ちょっとしたアクセント」とか「それぞれの音符を明確に」とか、ありますよね」第2話で、メモを誤って「スターカット」と書いた場面を思い出す。
ヤッ子「おおっ、丁寧な演奏を心掛けているのか」
ステラ「はいっ!」
ヤッ子「レガートとフレーズとは、同じ書き方だから、区別できない」背景に、『月の光』の楽譜。レガートの記号を強調。
ミッツ「あ、あたしもそれ、知りたい」
ヤッ子。『月の光』の、フレーズの範囲が、1小節以内のものと、2小節にわたるものを指す。「これは、「この範囲を滑らかに」なのか「この範囲を1つのまとまりとして考えろ」なのか、区別できない」
ミッツ「そうなんです。どう違うんですか?」
ヤッ子「だから、区別できないんだ。困ったもんだな」
一同、諦めと納得の表情。
ステラ「ジュゴンとマナティみたい。どっちがどっちだか、今もわからない」
ショージ。心の声。「(ジュゴン? マナティ? 怪獣の名前?)」おすぎとピーコを想像する。または、ザ・たっちが登場し、「俺たちは怪獣じゃない、ちょっとちょっと」や、ショージが「片方は、もう片方の幽体離脱したんだろう」など。
ハル「牡丹餅とお萩の違いだったりして」
ミッツ「粒餡と、漉し餡の違い?」背景に、漢字の「お萩」「牡丹餅」「粒餡」「漉し餡」に、ひらがなのフリガナを添える。日常はひらがなを見ることが多く、ここでは漢字の話題なので。
ハル「どっちも同じ。春に食べたら牡丹餅。秋に食べたらお萩」
ショージ「同じものなのに、季節で呼び名が違うのか? ライチョウが、2種類じゃなく、1種類が正しいの話みたいだな」ここでは、2種類か1種類かの、主張の違いの話(誰がどちらを主張したか)には言及しない。
ハル「シメジ婆さんが教えてくれた。ええーっと、黒板に書こうか。「お萩」は、ここに「秋」ってあるから、秋のお萩。反対の春は、「牡丹餅」が「ボタンの餅」だって」黒板に書く。
ミッツ「ハルって、シメジ婆さんから、色々教わってるよね」
ハル「うん。「秋」があるのが「萩(はぎ)」だから、「秋」が無いのが「荻(おぎ)」だって。その時は、小学生だったから、よくわからなかったけど、今では人の名前を読むのに役立っている」黒板に「荻」と、フリガナも書き加える。
▽ 場面変更 ● ── ●
校内のどこかで、雑談。
生徒A「問題です。ある物体の動きを調べました。ある時はこの場所にあり、次の時には、ここにありました。その次の時には、どこにあるでしょうか?」ノートに、Aの点、Bの点を書く。
生徒B「ある時間とは?」
生徒A「1秒後でもいいし、24時間後でもいい。これは、予測が正しいとは限らないという話だから」
生徒B「予測?」
生徒A「過去の経験や、物語から得た知識で、簡単に予測しても、外れることはある。現実は複雑だから。しかし、単純なことなら、予測は当たるだろう。単純なことでも予測が外れるなら、複雑な現実世界で当たらないことは、普通にある」
生徒B「じゃあ、普通に考えたら、ここだな」AからBの、直線の延長線上に、Cの点を書く。
生徒A「絶対か? それ以外の可能性は?」
生徒B「いや、どう考えても、ここしか無いだろう」
生徒A「うん、それも正解。でも、こんな場合もある」A点とB点は、円弧にあり、C点は円弧の延長線上にある。
生徒B「ああ、そういうこともあるな。でも、これって、予測する資料が少ないだけだろう」
生徒A「そうだ。現実世界でも、今、持っている情報では足りないのか、わからない。情報不足と知らずに、予測しても、外れるだろう」
生徒B「理屈はそうだな」少し苦笑。
生徒A「では、この続きの、次の時には、どこか?」
生徒B「そりゃ、ここに決まっている」円弧の延長上に、D点を書く。
生徒A「ところが、こんなこともある」B点に、「D点」と書き加える。
生徒B「何でだよ。そんな動き方は、あり得ない」
生徒A「むふふ。単純なことでもあり得ないんだから、現実では、もっとあり得ない。実はこれは、振り子の錘(おもり)なんだ」円弧の中心点から、ABCが糸でぶら下がっているように書く。
生徒B「ずるい!」
生徒A「しかも、真下がこっち方向なら、B点とD点が、このようにずれることもある」斜め方向に、真下を表す太い矢印。
B点が、振り子の真下ではない場合、A点とB点の距離と、B点とC点の距離が違う。C点は、振り子で折り返した後の場合。
振り子の錘(おもり)が鉄球で、C点の近くに磁石があれば、振り子のスピードは一定ではない。
生徒B「もっと単純に、真上から見たら、直線状に動いても、間隔が違うな」机上で振り子が動く様子と、それを支点から見下ろす様子。机上の紙には、直線の軌道に、間隔が異なる点を、いくつか書く。
生徒C。話に加わる。「こんな動きをするものもあるぞ」筆記体の「e」が斜めになったような軌道を書く。
生徒A「そりゃ、嘘だ」
生徒C「本当だって。これは衛星。惑星がこう進んでいるだろう。惑星の周りで廻っているのが衛星で、惑星に従いながら、こう、移動する」
1つの静止した惑星と、周回する衛星の図を書く。惑星が移動する矢印の輪郭(太い矢印の輪郭)を、やや長く書く。太い矢印に沿って、衛星が周回する軌道を、延びたバネのように書く。
生徒B「おおっ、なるほど」
生徒A「だったら、こんな、筆記体の「e」じゃなく、左右対称になるはずだ」
生徒C「星の動きは、必ずしも真上から見るとは限らない。こうして、机の上では左右対称になっていても、見る人の位置によって、左右対称にはならない」
生徒C。最初は、机の真上から見ていたが、しゃがんで、低い位置から見る。低い位置から見ながら、机の周りを歩く。カメラワークは、生徒Cの目線で動く。
カメラワークは、歩くような上下運動が無くても良い。生徒Cが、レールの上を滑らかに移動する方が、軌道の見え方の説明がわかりやすい。
生徒C「ほら、ここからなら、斜めの軌道に見える」
生徒A。生徒Cの位置から見る。
生徒A「本当だ」
生徒C「知ってるか? 太陽は、昔は惑星だったんだぜ」
生徒A「太陽は恒星だろ?」
生徒C「星の分類の定義が変わったんだ。昔は、星座を作っている星が恒星だった。いつも、その場所にあるから、「つねに」の意味だ」
生徒B「でも、星座だって、季節によって変わるだろ?」
生徒C「見えなくなる季節もあるけど、相対的な場所は変わらない」
生徒B「なるほど」
生徒C「星座の中を旅する星もある。場所が移動するから、惑う星として、惑星。木星、土星、火星とかだな。そこで、季節の話になるが、太陽も、星座の中を旅している」
生徒A「旅してる?」
生徒C「旅をしているから、季節が変わる。今、太陽がどの星座にあるかが、星占いだ」
生徒B「ということは、太陽が蟹座にある時に生まれた人が、星占いの蟹座ってことか?」
生徒C「そう。ただし、占星術が作られた5000年前と比べて、今は季節がずれているけど」
生徒A「なるほど、星座の中を旅するから、太陽は惑星なのか」
生徒C「今は恒星だけどね」
生徒A「「今は」って?」
生徒C「今の定義は、自分で光っている星が恒星、恒星の周りを廻っているのが惑星、惑星に寄り添って、惑星を衛(まも)るようにしているのが衛星。さっきの変な動きは、衛星の動きなんだ。現実世界では、こんな複雑な条件がある」
恒星、惑星、衛星を表す図を書き、指し棒で、それぞれの名と、定義を書く。
生徒B「でもよ、定義をコロコロ変えられると、困るよな」
生徒C「部活動を欠席するのを、「さぼり」と定義するか、「家庭の事情とのダブルブッキング」と定義するかで、部員に対して「やる気が無いなら」と責めるか、「家庭の事情でお疲れ様」とねぎらうか、変わるよな」
生徒B「確かにな。部活動を優先して、どんな理由でも欠席をさぼりと定義する人も、いるよな。家庭の事情があれば、家庭の方も、こっちが優先だろうし。板挟みされる部員も、さぞ、辛いだろう」
生徒A「それより、惑星とか恒星とか、どーでもいい。星なんて、ただ散らばっているだけ。「あれが木星だ」とか言われても、興味無いし。それより、第二の地球なら、興味がある。」
第二の地球は、第5話の「スモーキングガン」「見なくてもわかる」の冤罪の話と繋がっている。
生徒C「ああ、地球と同じ軌道上で、太陽の向こう側に、第二の地球があるという、SFの話だな。あれは、無いことが証明されている」
生徒A「どうしてだよ。誰も見ていないんだろう」
生徒C「見なくてもわかる」
生徒A。生徒Bに向かって。「聞いたか。こういう奴が、無実の罪で、人を冤罪に陥れるんだ」
生徒B「何か、理由があるんだろう。聞いてみようぜ」
生徒C「確認方法は、「見る」だけではない」
生徒C「海王星や冥王星は、地球からは、ほとんど見えない。だから、「そこに未知の惑星があるかも」と探すにも、あるか無いかわからないのに、広い夜空を探すのは大変だ」
生徒B「でも、発見されたんだよな」
生徒C「なぜなら、天王星の軌道が、予測とはズレていたんだ。このようにズレるということは、あの辺りに、これくらいの質量の天体があるはずだ。探そう」
生徒A「探したのか?」
生徒C「そう、探したんだ。すると、海王星が見付かった。そして、「ここにある」とわかってから観測すると、今度は海王星の軌道が、予測とはズレていた。すると、冥王星が見付かった」
生徒B「おい、わかっているか? 海王星とか、そんな遠くの話ではなく、第二の地球は、どうなんだ?」
生徒C「もしも、第二の地球があれば、金星や火星の軌道が、ズレるはずだ。実際の金星や火星の軌道が、第二の地球が無いという証明だ」
生徒A「だったらな、第二の地球が、限りなく重力の弱い惑星で、存在が隠れるようなものだったら、どうなんだ?」
生徒C「そんな、とんでもない天体だったら、地球とは違う。「第二の地球」とは呼べない。引力が小さいなら、地球と同じスピードで、地球と同じ軌道を公転することは、できない」
生徒C「引力が小さいなら、そこを宇宙船の拠点にはできないだろう」
▼ CM明け。 ▼── ──▼
CM明けの定型。他の登場人物は知らない、自宅などの場面。
音楽の先生の自宅。
音楽の先生の妻がメロンをテーブルに持って来る。まな板、台所ラップ、包丁、2枚の皿。
まな板にラップを敷き、メロンを4分の1に。1切れずつ食べる。
皿にもラップ。音楽の先生と、音楽の先生の妻が、それぞれ自分のメロンから、スプーンで種をラップの上に。
音楽の先生が、先に食べ終わり、ラップを持ち上げ、ラップ越しに種をもみもみ。
音楽の先生「おい」
音楽の先生の妻「なあに?」
音楽の先生「好きだよ」
音楽の先生の妻。頬を赤らめる。
音楽の先生の夫婦の、この話がわからなかったら、以下のトロール将軍の夫婦の話でも良い。
トロール将軍。広い公園、または、川岸で写生している。絵具で汚れたジャージ。首から笛をぶら下げている。
風景は、遠くの山や、川の対岸のマンションも見えるが、見る方角によっては地平線が見えそう。
トロール将軍の妻。走らず、速足で来る。「あなたっ、おまたせ」服装はいつものジャージではなく、快活でシンプルなデザインのワンピースで、背中側の紐の長さを調節して結び、腰のくびれもある。
季節によっては、エプロンのようなワンピースで、Tシャツでも良い。
トロール将軍と妻は、第12話で、結婚前のキャンプ場でのエビソードがある。
トロール将軍の妻。お弁当が入っているバスケットを、トロール将軍の近くに置く。「食べたくなったら、一緒に食べようね」
トロール将軍の妻。バスケットを開けて、二人分のコーヒーだけ出す。トロール将軍の分は、邪魔にならない場所に置き、一人で飲み始める。妻は、念のため、コーヒー以外が良いかも。
近くで、小さな子供が何人か、ゴムボールを投げ合って遊んでいる。
小さな子供。失敗した大声で「あっ!」
ゴムボールが、トロール将軍の手に当たり、筆が絵に当たる。
トロール将軍。ゴムボールを拾う。「ゴメンネって、言うんだよ」小さな子供に向かって、ほとんど見えないくらいに瞼を細めて、笑顔にする。
トロール将軍の妻。近くで微笑んでいる。小さな子供は、優しい笑顔のトロール将軍の妻を見て安心する。
トロール将軍。ゴムボールを、子供に差し出す。「ゴメンネって、言うんだよ」
小さな子供「ゴメンネ」
トロール将軍「うん、偉いね。ちゃんとゴメンネが言えたね」トロール将軍の笑顔は、戦闘で100人もの敵を倒した後の、晴れ晴れした残忍さがあった。
トロール将軍の妻。小さな子供を抱き上げ、あぐらをかき、膝の上に座らせる。「偉いねー。ちゃんとゴメンネが言えたねー」優しく耳を揉む。
子供は、トロール将軍の恐ろしい顔を見て、驚く。差し出されたゴムボールを、震えながら、急いで取る(奪い取る)。
トロール将軍「子供の頃って、失敗が多いよね。わざと悪いことをしたなら叱るけど、失敗してゴメンネって言ったら、叱らないよ」
小さな子供。大声で。「ゴメンネゴメンネゴメンネー!」
小さな子供の母親が走り寄る。「どうも済みません」
トロール将軍「「ゴメンネ」の気持ちが、とても大きいと、何回も「ゴメンネ」って、言いたくなることはあるよ」
トロール将軍「でも、ふざけて何回も「ゴメンネ」って言ったら、「ゴメンネ」が小さくなるよ」
トロール将軍が振り返ると、顔が怖いので、母親も恐怖。
トロール将軍「「ゴメンネ」と「ありがとう」は、ふざけて何回も言ったら、「ゴメンネ」も「ありがとう」も、小さくなるよ」
母親「はい……」
トロール将軍「何度も言うと大きくなるのが、「助けてー!」だよ」
母親「あ、はい、ありがとうございます」
母親。トロール将軍の妻から小さな子供を抱きあげて。「申し訳ありません」
母親。去りながら、心の声。「(猛獣を飼っている、お転婆セレブ?)」
小さな子供。トロール将軍の後頭部の、逆さハートマークの禿を見て、小声で。「ケツハゲ」
親子が去った後。
トロール将軍の妻。トロール将軍を励ます。「頑張ったねー。ちゃんと、笑顔で言えた」トロール将軍の隣に膝立ちして、トロール将軍の背中をさする。
トロール将軍「うん。だって、子供が頑張って、丁寧な言い方をしたら、大人はきっと、聞いてくれるって、信じて欲しいもん。そうじゃない大人もいるけど、きっと、きっと、多くの大人は、聞いてくれるもん」
トロール将軍の妻「うん、そうだね」トロール将軍の肩に、自分の顔(頬や顎)の載せる。
トロール将軍の妻「丁寧な言葉を使うって、相手を大切にするってことだもんね。たくさん、教えたい」
少しの間。
トロール将軍。やっと気付く。「えっ?」妻を見る。
トロール将軍の妻。顔を赤らめる。「相手を大切にするってこと、たくさん教えたい」
トロール将軍の妻。立ち上がる。妊娠したことを示すように、まだ大きくないお腹を、両手で抱えるような位置に。
トロール将軍の妻。大空を見上げて大声。「おめでとー!」このセリフは、「おめで」が早口、「とー!」を長くでも良いし、幸せ一杯な言い方を工夫する。
トロール将軍の妻。高笑いしても良い。
この場所は、広い公園、または川岸なので、エコーは無いはずだが、空までの大気が、祝福するような音響、または、エコー(こだま)が響いても良い。
妻がバスケットから出した飲み物が、「念のため、コーヒー以外が良いかも」というのは、妊娠しているから。
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