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祝い




 ユイ様、ユリウスの爺さん、そして親父達との話し合いから3ヶ月後、俺は俺と縁を結んだ奴等全員に招待状を出しパーティを開いた。


「本日はお招き頂きありがとうございます、アンナ」


「お招き頂きありがとうございます!お久しぶりです、アンナさま!」


「いえ、此方こそパーティに出席頂きありがとうございます、ルカ、ミラも」



 淡い水色のスーツと淡い赤色のドレスに身を包んだルカとミラに穏やかに微笑み掛ける。この2人には俺とリンが入院した時に世話になったから、こうして来てくれた事が純粋に嬉しい。



「よぉ、来てやったぜアンナ」


「ウィリアム!すみません、アンナ…」


「いえ、お猿さんなウィリアムにしてはまずまずの挨拶ではないでしょうか。ジャックとエリーも大変ですね…ともあれ、今日はお楽しみください」


「んだとこらぁ!!」


「ウィリアムお兄様ったらまたやってる…ごきげんよう、アンナお姉様!」


「ごきげんよう、エリー。今日は楽しんでくださいね?」



 続いてやってきたのはジャックとウィリアム、エリーの3兄妹だ。最早様式美となったウィリアムを茶化し、それに赤面しながら怒るウィリアムを叱るジャックと、それを見て呆れるエリーに微笑みを浮かべる。



「どの料理も美味しそう!参考になるなぁ…」


「未来の三ツ星シェフに気に入って貰えているなら城のシェフも鼻高々ね?」


「あ、あっちもそっちも王族ばかり…俺達まで招待して貰って本当に良かったんですか?」


 勿論、レオナやリオンも呼んでいる。レオナは城のシェフが手掛けた料理に目を輝かせ、リオンは自分が王族に混ざりパーティに参加している事に違和感を抱いている様子だが…俺からしてみれば、このパーティには殆どそれなりの縁を結んだ相手しか呼んでいない、つまり、リオンも俺から見たら、淡いピンク色のドレスに身を包んだレオナと同じくスーツを着こなしたダチ公なんだが…。


 どう言葉を掛けたものかと悩んでいると胸元が少し露出している深紅のドレスに身を包んだシュリが近付きリオンの肩をぽん、と叩く。



「良いんですよ~、だってこれはアンナ様の退院祝いと新事業の設立祝いでもあるんですから~」


「し、シュリさん…その格好…」


「お兄ちゃん、鼻の下が伸びてる~…」


「な、ば、馬鹿にすんなよレオナ!?」



 どうやら上手いこと肩の力を抜いたようだ、…シュリが今、何歳かは兎も角、いたいけな少年に恋心を寄せられているのは理解して…るのか?


 まぁ、この際楽しんでくれるなら何でも良いが。


「ふふ、退院祝いにしては少し間が空いてしまいましたが。シュリの言う通り、今日は皆、楽しんで頂けたら嬉しいです。…それにしても、普段メイド服や和装、執事服に軍服、警察官としての制服姿を見ている分新鮮ですね?」


「リンやシュリは兎も角として、わし等洋装に着飾っても見栄えしなかろうに…」


「レイの姐さんはまだマシっすよ、オレなんて部下に3度見くらいされたんすから」


「貴女の事ですから、その部下を〆ていないか気になりますが…3ヶ月間アンナ様の指導に携わった私達の慰労という側面もあるので無碍には出来ませんよ、ハク」


 何時もは和装に身を包んでいるレイは深い藍色のドレスに、ハクは肩が出ている白いドレス、セイはモスグリーンのドレスを各々思う所はあるように見えるが、それでも各々着こなす辺りパーティ慣れはしているのだろう。


 問題があるとすれば───。



「分かってるっすよ!…というか、リンはどうしたんすか?」


「は、恥ずかしい…矢張り今からでも私は執事服に着替え「「「ダメです(だ)ー!」」」くっ、執拗い!」



「ふふ、リンの事ですから何かと理由を付けて着替えようとする事は分かっていましたからね。良くやりました、エミル、ミモザ、アリス」



 黄色のエレガントドレスで身を覆うリンを各々、カーマイン、ライムグリーン、ターコイズブルーのドレスを身に纏うエミル、ミモザ、アリスが取り押さえる。


 念の為、3人に監視を命じた身としてはリンを監視し続けられた3人を褒めたくもある。


「おう、これくらい大したもんじゃねーよ」

「リンさん、討ち取ったり」

「討ち取ったり、は違うと思うけど…」



「あ、アンナ様…あまり見ないでください、その…似合ってないですから…」


「何を言ってるんですか?レイもハクもセイもシュリも…リンもとても似合っています、綺麗ですよ?」


「…あ、ありがとうございます…」


 扇子で顔を隠すレイ、鼻を擦るハク、澄ました顔だが優しく微笑むセイ、リオンを揶揄いながら右手でピースするシュリ、そして、普段何処に隠してるのかと思う程の豊かに実った胸を恥ずかしかそうに隠すリンに微笑みながら、あと一人、この場に居ない人物を思う。



「後は一人だけですね、来ていないのは…」


「あ、アンナさま。さっきアンナさまの部屋の方に歩いてった深紅色の髪をした姉ちゃんが居たらしいぜ?何かアンナさまと2人きりで話がしたいから探してる、って先輩が言ってた」


「…なるほど、分かりました。ちょっと行ってきますね?」


 エミルが言う人物の特徴と、この場に居ない人物の特徴が一致すると、俺はその人物に逢う為に私室へと歩き出した。

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