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パーティ〜場違い〜


 3人の少女に言葉によるリンチを受けていた眼鏡を掛けた少女を庇うように間に割って入ったレオナ、そんな彼女を訝しむ6つの視線と困惑の色を隠せない2つの視線を一身に受け、彼女は今日まで培われてきた“強さ”を示す。



「何なんですの?貴女」


「あ、貴女は…?」


「そ、それはこっちの科白です!一人を三人で寄ってたかってなんてあんまりじゃないですか!?」


「はぁ…貴女もあんまり顔を見ない所を見ると下級貴族なのでしょうけど、貴女達は本来この場所に居ることすら相応しくありませんわ!」



 3人の中でリーダー格である桃色の髪をした少女がレオナ達に指を指すが、そんな事では動じない。真に命の危機を体験したレオナにとっては、それは虚栄心しか感じない…言っては何だが、野良犬の遠吠え以下の言動であったからである。



「そうかもしれません、そもそも私は貴族でもなんでもない平民ですから。でも、貴族だから酷い事をして良いなんて理屈はありません!少なくともお姉様はそんなひとじゃないです!」


「へ、平民?!平民風情がウィリアム皇子の婚約者候補ともくされる私に反抗なんて生意気ですわ!!」


 まさか平民が参加しているとは思わなかったのだろう、然も、平民に意見されるとは天地がひっくり返っても有り得ない、とも。逆上した少女はレオナに平手打ちをしようとし、レオナは反射的に目を瞑る。


 が、一向に肌を打たれる衝撃がやって来ない事に目を開くと、そこには出逢った頃から今日に至るまで、彼女に“強さ”を示し続けてきたお姉様(アンナ)が少女の腕を掴んでいた


「っ…「…大丈夫ですか?レオナ、それとそこの方も」…!お姉様!」


「ぁ、貴女は…!」


「理由は存じ上げませんが、私の妹分とそこの方が何か?」


 3人の貴族の令嬢達も、アンナの顔は知っていたのだろう、然も今の今まで殴ろうとしていた少女がアンナの妹分…つまり、縁ある者と聞き3人の内2人は青ざめている。

 が、桃色の髪をした少女だけは尚も矛先を収めようとはしない、寧ろそうする事が正しいとばかりにアンナへと詰め寄る。



「あ、アンナ殿下からも仰って下さいまし!このパーティには下級貴族も平民も相応しくないと!」


「……元々はこのパーティはジャック様、ウィリアム様、エリー様と私達の友好を深める場ではあります」


 アンナは語る、このパーティは両国の友好の証。友好を深める場であると。

 少女はその顔に僅かばかりの笑みを浮かべるが…。


「で、でしたら!「しかし、それはノアでの事件で救助要請に応じた私と、私の妹分達が居たからこそ。真にこの場に相応しくないのは伯爵令嬢である事を盾にし、自分よりも弱い存在を甚振る貴女方の様な存在、だと私は思いますよ、ネビリム嬢」…ッ!?」


「ま、待って下さいまし!?」

「あわわわ…!」


 名前を知られていた事もそうだが、自分自身がこのパーティーに相応しくない存在だと、よりにもよって主賓に言われた事にショックを受け駆け出すネビリムと、その取り巻きの後ろ姿に視線を向けながら肩を竦めるアンナに走る衝撃。



「…やれやれ、ですね「お姉様…!」…と、いきなり抱き着かないでください、受け止めきれなかったらどうするんですか?」


「その時はその時で仲良く頭をごっつんこしましょう!」


「ぁ、あの……」


「…こほん、失礼しました。大丈夫ですか?」


 無邪気に笑う妹分の笑みに静かに微笑むアンナ、そんな2人に申し訳なさげに声を掛ける眼鏡の少女に、アンナはそっと手を伸ばす。


「は、はい…アンナ殿下。それからレオナさんもありがとうございます…!」


「いえ、私は何もしていません。レオナを褒めてあげて下さい」


「わ、私は何もしてないですよぅ~」



 頭を下げる眼鏡の少女に首を横に振りながら、レオナの行動に笑みを浮かべると顔を赤く染めレオナは照れる。

 そんな2人を優しく見詰めながら眼鏡の少女はアンナへと視線を向ける。


「ふふ、仲が良いのですね…、アンナ殿下、一つ質問が」


「なんでしょうか?」


「仮に王族や貴族が間違っていた事をして、民は傷付き、貧困に喘いでいて、貴女だけがそれに対応出来る場合、その時は今みたいに対応するおつもりですか?」


「……勿論、それが私にしか出来ない事なら対応します。でも、私だけ、なんて事はないかと」


「それはどういう意味ですか?」


「例え最初は一人でも、私には信頼出来る従者や友人、そして家族が居ますから…」


「喩え、意見が異なる者が家族でも?」


「はい、覚悟を示せば分かってくださると信じています」


「…そうですか、なら───」


「え!?え!?」

「やっぱり、ユイ様でしたか」



 アンナの答えが一定の基準を満たしたのか、眼鏡の少女は自らに掛けた魔法を解くと、薄桃色の髪を背中まで伸ばした本来の姿へと戻る、その戻った姿を目の前で見ていたレオナは信じられないとばかりに、逆にアンナは魔力の質から最初から気付いていたとばかりに、ぽつりと呟く。



「ふふふ、試すよう事をしてごめんなさい。それから、護ってくれてありがとう、レオナちゃん、アンナ。貴女の覚悟の示し方に私から条件を付けさせて頂きます。それは───」


 そんな2人を尻目に、2人に礼を述べた後、ユイはアンナがこれから取れる行動、そしてその決断が何を齎すのかを語り始めた。

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