物価が高い
「ぶっちゃけた話ですな、この物価高騰の現代の課題を、今、どう解決なさるおつもりですか、総理?」
野党議員が追及する。高久早苗総理大臣は立ち上がり、議席につくと、
「ええ、これは国民の皆さまが以前より議論されている問題でございますが、現在の消費税減税の課題を踏まえてー」
「何とかしろよ、何とか!」
「おい、総理!」
ついに、高久総理がぶち切れた。キリリと目をつり上げて喚くように、
「ええ、何とかしますよ!何とかすればいいんでしょ!」
「ねえ、どうすればいいのよ、何かアドバイスないの?」
もうすがるような気持ちで、高久総理が、ホットラインで、三友財閥の政治部の担当官と電話していた。総理官邸である。
「と、おっしゃられても.............」
と、相手も困惑している。
「まあ、問題は国際的な原油価格の高騰ですからね?その点を総理がどう判断なさるおつもりか...........................」
「その時は、国際的にバックアップしてくれるんでしょうね?どうなのよ?」
「まあ、問題のない範囲ならば.........................」
「原油ねえ...........................」
それから、しばらくして科学技術省主導で、一大国家プロジェクトが打ち上げられた。「原油採掘場探知装置」の開発である。日本の科学者たちが頭を悩ませて、やっと実現し、日本全土で大規模な実験が行われて、その結果、東北地方の山間部が有力候補地として挙げられた。油田の採掘が始まったが、出て来たのは微々たる油田の石油量であった。
これを視察に来た総理は、現場監督のものたちに指示を与えた。
「もっと深く掘りなさい」
さらにボーリングが続き、ある日突然に、採掘場から溢れんばかりの石油が噴き出し始めたのであった。それは、尽きることなく溢れ噴き出ていた。
まさに、日本の勝利の瞬間であった。
再度、視察に来た総理も、油田から噴き出る炎の集まりを見て満足げに笑みを漏らした。
それからが、日本の大騒動であった。日本の原油は質がいいとの定評を得て、国際的に売れに売れた。あっと言う間に、日本は黒字大国となり、世界有数の原油保有国としての確固たる地位を築いていった。
物価は、一気に下がり、日本の株は売れまくった。国民総出で、これを祝い、日本の祝日として大騒ぎとなり、商売人も儲けに拍車がかかった。
しかしである。
ある日突然に、その油田付近から、大量の地底人が湧き出るように現れた。
彼らは、凶暴そのものであった。人を喰い、殺戮の限りを尽くした。これは、誰もが予測しえない大惨事である。
日本中で、人々は逃げ惑い、恐慌の緊急事態となり、国家的緊急対策が始まるのであった.............。
その頃、どこかで三友財閥の関係者たちは、密かに、
「例の、核融合エネルギーの開発を続けてりゃなあ......................」
と、不満そうに愚痴っているのであった.......................。




