傲慢な少年2
母さんの誕生日、当日
母さんが仕事に出かけたのを見計らって、家を出る
「いいか、昼ぐらいには帰ってくるからそれまでおとなしくまってるんだよ」
「あい!」
元気よくレイナが言うので、しばらく大丈夫だろう
カラキ村のはずれには共同墓地がある、ここに父さんが眠っている
父さんは俺が5才のときに死んだらしい、俺は幼かったためか当時の事はよく覚えていない
いつだったか母さんに聞いた事がある、どうして父さんは死んだのか?と
父さんはわたしたちを守る為に死んでしまったのだと母さんは言った
昔話の英雄みたいだね、と言い笑う母さんに
それでも父さんに生きていて欲しかったと言うと
母さんは泣いていて何か言いかけてやめる、俺は母さんを傷付けてしまったと思った
あのとき"わたしもよ"と言いたかったのではないだろうか?
本当の事はわからないがきっと父さんの事が大事だったのだろう
俺は父さんの墓の上に置いてある弓を手にとり森にむかう
この森で危険な魔獣や幻獣を見たとゆう話は聞いた事がない
だからといって危なくない訳ではない、熊や狼といった獣の目撃例はある、だがなぜか狼に誰かが襲われた事はないのだとゆう
なんでも狼はこの村の守り神だかららしい
もうすぐ見えてくるはずだ
「なつかしいな」
巨大な岩が見えた、その下には赤ん坊1人入れるくらいの穴があいていてそこには透明とてもキレイな水が溢れている
俺とメアリが迷子になったあの日俺たちは腹の底に響くような鳴き声を聞いて怖くなった
気付いたときには走り出していてここを見つけた
この岩の下に水があることに気付くと俺たちは夢中で水を飲んでいた
辺りに目的のものがないかとさがして穴とは反対側の岩の下に白い花が見えた
「見つけた」
その花は雪のように白く所々、薄い赤色になっている
ふと昨日のメアリの、顔が赤くなっているときの事を思い出す
「アイツの頬っぺたもこんな色してたな」
さて、そろそろ帰ろう
帰り道くるときには気付かなかったが地面に大きな獣の足跡があるのに気付く
その足跡は俺の顔より一回り大きい、水源から離れていて雨もしばらく降っていないはずなのに
へこんだ足跡が水溜まりになっている
もしかしたら巨大な化物かと思い、警戒して弓に矢をつがえながら森の出口に急ぐ
呆気ないほど何もなく森を出られた、あれは足跡ではなく
ただの水溜まりだったのだろう
父さんの墓に弓を返す、ありがとう父さん
弓を貸してくれた父さん礼をいい家路につく
「ただいまー」
言い終わると同時にレイナの体当たりをうける
「フゴォ」
音にもならない空気が口からもれる
どうやら我が家では"お帰り"のかわりに体当たりをするのがしきたりなのだろう、何せ毎日なのだから
俺に抱きついたままのレイナが「あったー?」と聞いてくる
さっき摘んできた白い花を見せてやるとキャッキャとはしゃいでいた
危ないから跳び跳ねるのはやめるようにいって頭を撫でてやる
しばらくすると「ただいまー」と言って母さんが帰ってきた
いやな予感がしてレイナを抱き止めようとするが一歩おそかった
気付いたときには走り出してボフンと聞こえた
「母さん!!生きてるか?」
しゃがんでレイナを抱き止める母さんはこれでもかとゆうくらいにレイナの頭をくしゃくしゃにしていた
どうやらあの2つの凶器で衝撃を吸収したようだ
防御にも適しているなんて無敵ではないだろうか?
解放されたレイナが母さんを見上げ
「あのね、誕生日おめでとうー」
と言い笑っていた
「母さん誕生日おめでとう、ハイこれ俺たちから」
俺は母さんに白い花をわたす、それを見て母さんが固まる、そして肩プルプルしてる
俺にはわかるこの後母さんの凶器体当たりからの死の抱擁の即死コンボがくる
と思っていたが現実はちがった、母さんは石のようになり
ただただ涙を流していた
「うわーん!ありがどー!」
「ちょ!母さん鼻水!!」
わんわんと泣く母さんにつられたのかレイナまで泣き出した
ようやく泣き止んだ母さんが
「わたしはこの国1番の幸せ者ね」と言い泣きながら笑う母さんの顔をみて頬が暖かくなる
母さんはよく泣く人だった、俺たちの誕生日や困ってる人を助けた時そして、悪さをした時も。
前に近所の子によく泣く母さんの事や父さんがいない事をからかわれてカッとなった俺はそいつを殴り飛ばしていた
その事をしった母さんはやっぱり泣いていて、叱られた
俺はアイツを殴った事を悪いとは思ってなくて、それでも母さんの悲しそうな顔と、叱られた事、いろんな事思うと心に黒いモヤモヤした物が落ちてきてそれがたまっていくと同時に身体も重くなっていく気がした
モヤモヤしたものがたまりきって口から溢れてだしたとき
それは言葉になっていた。
そのときの母さんの顔が見れなくて、どうしようもなくて
走り出した
物陰でうずくまる俺にメアリが声をかけてきた
モヤモヤしたものは溢れて続けメアリを傷付けた
モヤモヤしたものを吐き出しきったとき自分は取り返しのつかない事をしたのに気付き
謝らなければと思い顔をあげるとメアリはもういなかった
どうやら森のほうに走っていったらしい
そのときの彼女は泣いていたのだとしって走る速度をあげる
足が悲鳴をあげだした頃にメアリを見つけた
ゴメンと謝ってから事情を話すと殴られた、何回も、何回も
身体の内側から針で刺されている感覚がする
痛みに耐えきれず、悲鳴は涙になっていた
お母さんに謝りなさいよといった彼女はまだ泣いていて
弱々しく叩きつける彼女の手をとり、何度も謝り続けた
このときから俺はメアリに頭があがらず
母さんが悲しい顔をしないようにしようと誓った




