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ドラゴンリング  作者: 半纏ボク
第二章 トゥーロン・イエール
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ポートブリッジ統合軍作成によるフェアリーリング報告

 長い間、フェアリーリングとは伝説上の存在と思われていた。伝説によれば、フェアリーリングは、なにもない草原に回りよりも濃い茸が輪を形づくって生えている場所のこととなっている。フェアリーリングはフェアリーの住み処につながっていて、一度中に足を踏み込んだ人間は出ることができないと信じられている。それはフェアリーリング自身に不思議な力があり、出ようとする人間を惑わしてしまうからと言われていた。

 しかしながら、現在確認されている情報を総合すると、科学者たちはフェアリーリングこそ、我々の世界ともうひとつの異なる世界の接点となるゲートであると主張している。時空の特異点がむき出しになっている場所というわけである。そこで、便宜上もうひとつの別の世界をティル・ナ・ノーグ、すなわちケルト神話から妖精が暮らす世界の名前をつけることとした。

 現在の地球上の混乱は、フェアリーリングが異質な生き物を大規模に招き入れた結果である。しかしながら、かつての地球上にもフェアリーリングが実在していたはずであるが、過去においてはこれほど大規模に異質な生き物を招き入れたことはなかったはずである。それは事実の不存在の立証を求めることであるため、あくまでも科学的な証明はされていない、伝説からの推測である。

 少なくとも、世界のいかなる土地、あらゆる時代を通じて小人と呼ばれる空想上の生き物の伝説が存在していた。古代ギリシア、エスキモー、北米インディアンなど、想像上の生物としては類を見ない程数多く存在している。それと同じようにフェアリーリングのような茸が輪を形づくって生えている場所についても、世界で数多くが確認されている。しかしながら、茸が輪を形づくっている原因は、コムラサキシメジと呼ばれる菌に含まれる「アザヒポキサンチン」という有機化合物が植物の成長を促進させているためであることが解明されている。「アザヒポキサンチン」により植物が同心円状に広がって増殖していくが、内側は成長を終えて枯れるために植物の輪が形成されるわけである。すなわち、単なる科学現象である。

 そのように考えると、現代のフェアリーリングと伝説上のフェアリーリングとは全く別のものである可能性もある。それゆえに思慮のない一部の人間が、伝説のフェアリーリングに何者かの意志が介在した結果が、現代のフェアリーリングであり、その意思ゆえに現在の混乱を故意に引き起こしたかのように考えるのは、全く根拠のない話である。

 本報告書は、もっと建設的な提言をもって結論としたい。第一に穀物の増産に「アザヒポキサンチン」を利用することを提案する。晴れることのない空となってしまった現在の天候であっても、「アザヒポキサンチン」は天候無視で植物が成長することが確認されている。第二にフェアリーリングができる前の時間に巻き戻すための研究を提案する。科学者はフェアリーリングに関して重大な発見をしている。フェアリーリングの時空の特異点から力場を観測している。我々人類の力だけでは到底に手の届かない時空を制御することのできるかもしれない力場である。我々はすみやかにこの力場の性質を解明し、時空の制御の実用化に向けて研究を行うことを提案するものである。


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