Somebody to love
「僕はごく普通な家庭で生まれた。
身長も普通、体型も普通、家庭環境も普通(この間親父がこっそり買ったプラモがお袋にバレてボコボコにされてたけど)、だけどたった一つだけ普通じゃない事がある。
それは僕達が[魔族]って事だ。
20年前、勇者ルビウスが魔王を倒して戦争が終わった。この20年で技術や文化は発展し、人々は豊かな生活を享受していた。
しかし人間族と魔族の何千年との怨みを消し去るにはあまりにも短い時間だった。
「んで、今日もオレンジ後頭部にぶつけられたの?」
「いや、さすがに1週間同じ軌道で飛んできたから、身勝手の極意のテーマ流しながらノールックでキャッチしてやりました。」
「で、リアクションは?」
「ぶつけてきやがった果物屋のおじさんは、歯ぎしりしながらウンウン唸ってました。ただ...」
「ただ?」
「近くを通っていた小学生にスマホでその下りを撮られてたんすよね。」
「まじか。で、ロメル君って彼女いるの?」
「いるわけないじゃないですか。顔こんなんだし、ファッションセンスは女の子ウケ悪いし。あと安月給の魔族だし。てか一気に話題変わりすぎじゃないですか。」
そう答えたものの、先輩のフュリさんもこめかみから2本の角が生えている同じ魔族だ。
「まぁ顔は愛嬌ある感じだし良いんじゃない?」
「顔は良くても、この角はない。ってよく言われてたんすよね。角を取る魔法だの、整形だの誰か考えてくれないっすかね?」
そういう僕の角には、おでこから一本だけ角が生えていた。しかもそのせいで、[かくごのじゅんびのすがた]だの、[一生モードが変わらないユニコーン]、嫌になって角を根本で切った時は[チ⚪︎コ教育実習生]とかのあだ名がずっとついていた。
「まぁそういうなって、角って魔族の命ってよく言うじゃん。だから大切にしなよ。」
そういう彼女ももっともだった。なぜなら角は魔族の証でもあり誇りでもあった。
「あとなんかこんな仕事してると、欲しくとも、女性との出会いないんすよね。」
「私は恋愛対象じゃないってか!後輩のくせにナマイキだぞ!なんてね、冗談、冗談。」
「まぁそうですね。」悪い人じゃないんだけどな。
歳いくつかわかんないし、自分の新人歓迎会のときに、手指消毒用アルコールを飲もうとしたのには流石に引いたけど。
「はっきり言いやがって。てか出会い欲しいなら出会い系アプリやりゃ良いじゃん。」
「そうなんですけど。やり方わかんないし、顔晒すのも怖いんすよね。」
「出会いが欲しいなら、とりあえずやれよ。頭のチ〇コのほうも固くなっているし。たまってるんじゃない?」
「アンタ何、魔族の命をチ〇コ扱いしてるんですか!」
ツッコミをすると、始業のアラームが鳴った。
今日の担当はこのトリノ王国の王都の周辺だった。件数自体は多いが、魔法を使えば充分間に合う。
今の僕の仕事は配達業者だ。両親は就職先にも困らないよう大学まで行かせてくれたが、魔族の印象はまだ悪く、就職先を見つけるのにも一苦労だった。
もちろん収入も低いから、理想的な職場とは言えなかった。先輩もこんなだし。
あーあ、いい出会いといい仕事と出会えないかなー。なんてことを考えながら、ペリステラー運輸のロゴが入ったキャップをかぶった。
くそっ。角が邪魔なんだよ。角なければ、大学3年生の時にあんな急に進路を変える必要も、これまで生きてくる上で困ることもなかったはずだ。くそっ。(あと朝、小学生に盗撮された件も)
数時間後—
午前中の配達を早いとこ終わらせ(時間指定したくせに不在の家は再訪するとして)、バンの中でスマホを弄りながら考えを巡らせていた。
どうしてこうなった?いやまぁ、原因は分かっているが。
貨物室を見渡すと血まみれのブルーシートの上に魔族の母子が横たわっていた。
幸い?なことに配達する荷物には血液が飛んではいなかった。幸じゃねぇよ。最悪だよ最悪。
それに変な奴らが誰かさんを探そうとこの辺りをウロウロしている。
救急車なんて呼ぼうもんならもっと悪い事態になりそうだ。
とりあえず止血はした。容体もそこまで酷いわけではない。
とはいえ、魔族がちゃんとした治療を受けられるトリノ中央病院まで安全に行けるルートはないか。
だがそんな考えも窓をコンコンと叩く音で中断される事になった。
車のドアを開けると、そこには身長が2メートルほどの武装していた騎士が立っていた。
「ここで今何をしてたんだ?」
ボイスチェンジャー使っているのか、かなり低い声だ。元トリノ王国軍か?とりあえずここはテキトーに流して、車で逃げなければ。
「見れば分かりますよね?」
商用バンを軽く叩きながら言った。
「配達にしてはずいぶんと長いこと停止をしていたな。」
「このあたりマンション多いじゃ…」
「いや、聞き込みをしたがお前は2時間ほど前に、すでに配達を終わってたそうじゃないか。」
そうは言ったが、目がどうしても泳いでしまう。
「一応不在の家とか届けられなかった家ももう一度回ろうとしてまして…」
「今からか?どうやって?魔族の魔法仕様は厳しく制限されている事はわかっているよな?場合によってはこの場で逮捕することも出来るんだぞ。」
まじか...一応、違法ギリ手前のとこでやってはいるが...
目の泳ぎ方も端から見たらクロールくらいになっていると思う。
それに相手メットで顔覆ってるせいで表情が読み取れないんだよクソッタレ。
「いやで…」
「そしてそこのコインパーキングの監視カメラに、お前が魔族の親子を荷物室に連れ込むところが写ってたんだよ。」
ガチかよ...僕の目は多分バタフライに変わってるだろう。
なんであの母子助けちゃったかねぇ。無視してとっとと他の場所に行けば良かったのか?んなわけない。
銃で撃たれたのか、脇腹や足から出血してる状態で助けを呼ばれちゃあねぇ。とはいえ、今の状況がマズいのは変わりないが。マズイといえば昨日夕食で食べた、冷凍庫の隅から出てきた2ヶ月前の野菜炒めだが。
何か戦わずにこの場を離れる手はないか?
魔法→テレポート系覚えていないわ、火とか電撃も出せないから使い物にならないのでパス。
気を逸らす→何となくできそう。
ただどうやって?そこから戦うことになったら?まあ、ミンチになったらキャベツとニラでも混ぜてギョーザの種にでもしてくれや。
「大人しく魔族の親子を引き渡せ。どうせお前とは無関係な人たちだ。」
「分かりましたよ。ただ...」
「ただ?何だ?」
「おい見ろ!エイリアンだ!」
「どこだ?」気が逸れた瞬間に胸の辺りを押して突き飛ばした。
気の逸らし方については突っ込まないで欲しい。多分昨日見たディ〇ニー映画のせいだ。
バンに飛び乗るとすぐエンジンをかけて走り去った。幸い子供の方は軽傷で母親の方も出血も少し収まってきたらしく呼吸も安定してきている。あとはカーチェイスにならなければ無事に病院に連れて行けそうだ。
あのゴツイ騎士に詰められた時はどうなることやらと思ったが。
そういえば、思い返せばアイツは銃を持っていなかった。持っている武装としては背中の大剣だけ、大剣ならあんな小さい傷は間違いなくできないだろう。
ならなんだ、他に狙っているやつがいるのか?
「そういえば、アンタら保険証だの身元分かるやつある?病院に着いたらとりあえず出さなきゃいけないし。」
2人とも反応がない。どうやら母親は眠ってしまったらしい。
娘の方は口がきけないらしくずっと黙って俯いていた。
「救外に突っ込むか。」
「ちょうど通りかかったところでこの母子を見つけて。どうやら身分証だのなんだの持ってないみたいなんですよ。」
受付の人は分かりましたと言って母親をストレッチャーに載せた。これで自分のできることは終わった。
あと警察にも、スマホで通報もしておいた。
どうやら数分後に、警察特別機動隊のリーダーがこちらへ向かってくるらしい。
そういえば喉が渇いたし、病院の入り口で缶コーラを買ってバンに戻った。
なんでコーラってペットボトルより缶の方がうまいんだろう?なんて考えていると、荷物がまだバンの中に残っていることを思い出した。
『ごめんちょっとトラブった。トリノ中央病院にバン置いてあるからちょっと取りに来て。』とフュリさんにメッセージを送ることにした。
車内でコーラを啜りながら既読を待っていると、ガリガリガリと車を擦る音が聞こえた。
「あの母子はどうした?」
追いかけてきたあのゴツい騎士がそこにいた。
「な、何が狙いなんですか?」
「知るか、あの母子をどこ連れてった?」
「病院に来てるんならその理由も分かりますよね?というか、警察に通報してないとでも思ったんですか?もうすぐ、
警察特殊機動隊が来ますが逃げなくても良いんですか?」
「もう来てんだよ。」そう言って尻ポケットから警察手帳を見せてきた。
そこには、トリノ王国 特殊機動隊 ブラム騎士団 団長オリン•ハークレイオスと書かれていた。
「公務執行妨害で逮捕ですか?」
「それは被害者次第だな。あの母子はどうだ?」
「怪我がまあまあ酷かったんでとりあえず救急外来に入れておきました。で、これから送検ですか?」
「いや、無事ならいい。あの母子が銃で撃たれたと通報があったから来たが。怪我の状況は?」
「母親の方は下腹部と右足に撃たれたあとがありました。でも処置が早かったのか意識はしっかりしてました。子どもの方は特に傷とかもなかったですが、一応診てもらってます。」
「なら良かった。で、あの母子は今からでも軽く話せそうか?」
「多分。もう行って良いですか?」
「いや、もう少し付き合ってもらっても良いか?」
「良いですけど、その格好で院内入るんですか?」オリン団長はまだベ○スダのゲームのような鎧を着ていた。
院内に入ったが、何かがおかしい。娘の姿がどこにもなかった。
「院内に不審な人物はいなかったか?」
オメェだよと突っ込みたくなったが言わない事にした。
裏側にある立体駐車場に彼女を連れた二人組の男がいた。
オリン団長はなんとかするから一瞬でも良いから隙を作れと言っていた。
一体どうすれば。と思ったが、いつも使っていた手を使うことにした。手よりも角を使うが。
額の角を折って片手に持つ。得意の俊足魔法で近づく。
長い棒を持って人の尻にそいつをぶち込む。エッチな妄想でもしたか?僕は残念ながらしていない。直腸下内視鏡の実習を思い出した。その時は大体こんな角度で…
手に持っていた角をサッカーのパントキックの要領でケツの穴に蹴ってぶち込んだ。
「アイエエエェェ!」この世のものとは思えない絶叫が立体駐車場に響き渡った。
片方は娘を引っ張り車に連れ込もうとしたが10メートルほど手前でゴトン!と大きな音が立体駐車場に鳴り響いた。
よく見ると、娘を連れ込もうとしていた車が真っ二つにされていた。ボンネットの上にオリン団長がヤンキー座りをしている。
どうやら退路を断たれて狼狽えているらしい。その隙を狙ってオリン団長はボンネットの上からドロップキックを喰らわせた。
で、どうする?出口はかなり遠く、抱えて逃げるとなると背後から銃で撃たれる可能性もある。だから逃げるとしたら、車の影に隠れながらだな。
「今だ!逃げろ!」
僕は娘を抱き抱えたまま逃げることにした。
2、3台分進んだところだがオリン団長は苦戦しているようだった。それもそうだ、相手は2人。しかも危険な魔法と銃を使っている。
ケツに角を突っ込んだ奴は爆破魔法と拳銃の組み合わせてロケットランチャーよろしくその辺の車を吹き飛ばしていた。もう片方は水操作魔法を使い水でできた大きな腕でオリン団長を殴っていた。
かなりまずい状況だ。と思っていたがオリン団長は腰の盾を展開し、構えながらゆっくり爆破魔法使いの方に近づいていった。
至近距離で爆破魔法を使うのを躊躇したのか、単なる銃撃に切り替えた。だがそれも虚しくしゃがみで避けられた。
オリン団長は大剣の峰で強烈な一撃をくらわせ、爆破魔法使いをフロントガラスに突っ込ませた。
「お前もこうなりたくなかったら降参しろ。」
だが水操作魔法使いは返答の代わりかオリン団長をこちらに向かって殴り飛ばしてきた。
「くそっ!おいお前!魔族なら魔法でなんとかしてくれ!」
「悪いけどそれはできないです!そっちこそ市民を守る武装警官なら魔法の1つや2つ覚えていても良くないですか?」
「あー。残念ながら、魔法の才能が私はゼロなんだ。お前こそ、電気魔法だのなんだのあるだろ?」
「スマホの充電くらいしかできないです!」
「マジかよ。使えねぇなあ。」
「イベントとか出かける時は使えます!」
「そんなことはどうでも良いから、何が電気使えそうなものないか?」
「電気ですか、車のバッテリーとか?」
「井戸端会議は終わりか?良いものを見せてやろうか?」
「良いものってなんだ?アブソリュートバッ○マンの新しいフィギュアか?」
「まさか顔だけじゃなく性格もふざけている魔族か?これだ。」
そう言うと水操作魔法使いは近くにあった車ドアをこじ開け、車の中から1人の老婆を引っ張り出してきた。どうやら逃げ遅れたらしい。
「このババアの命が惜しかったらとっととあの娘を寄越せ。」
「ウンコタレ野郎が。オリン団長どうしますか?」
「なんとかする。」
「なんとかってなんです?」
「なんとかは…アレとか?」
「アレって、サンフ○ッチェ広島のFW?」
「違う。あの配線だ。」指差した先には断線したのか火花が飛び散っていた。
「アレで感電させる。あの老女は…任せた。」
そう言うとオリン団長は大剣を投げ出した。
「降参か?」
「そうだ、だから彼女を離せ。」
「いや、その前にあの娘を連れてこい。それからだ。」
「おい、そこの配達員!彼女を連れてこい。」
「渡すんですか?」
「仕方がない。」
そう言うとオリン団長は彼女を連れ、水操作魔法使いの近くに寄った。
「そちらから渡して貰おうか。」
「分かっ−」そう言うとオリン団長は、ノーモーションでタックルをした。上手いこと配線の方に飛んでいきそうだ。
だがまずい。まだ老女の服を掴んだままだ。
考える間もなく体が動いた。俊足魔法で近づき水操作魔法使いの脇腹に空手チョップを食らわせる。
手が離れた瞬間を狙って老女を優しく下す。
だが、空手チョップで軌道がずれたのか、配線から離れていく。それに相手は僕の袖を掴んだらしい。巻き添えにする気か?
だったらそうしてやるよ。
そのまま胸ぐらを掴んで配線のところに押し当てた。
バチッ!
コンセントに針金突っ込んだ時みたいな鋭い痛みが走りそのまま意識がなくなった。
感電死して異世界転生でもしたのか?
目を覚ますと真っ白な空間にいた。でも一瞬で何かに引き込まれるような感覚が走って真っ暗になった。
真っ暗だが目の前には誰かが立っている。顔はよく見えない。
「さっきはありがとうございました!勇者様みたいな立派なヒトになります!」自分からの意思とは別に何故か声が出た。
これは…走馬灯?
「礼はいい、それと僕みたいな奴にはなるな。そんなことに期待しているわけじゃない。」
「でも…」
「だけど、君がこれから背負う未来には期待している。」
「じゃあなんで勇者様は戦っているの?」
「君達が背負う未来を今、創っているだけだ。」
「僕が今からできることは?」
「無い。けど、僕に何かあったら、僕のあとしまつをお願いしたい。」
「待って!あとしまつって何をすれば!?」
気づくと目の前にいた青年は看護師のおばさんになっていた。てかこの看護師さん尿道カテーテル入れるの上手いな。僕の大学の実習ではこんな上手くいかなかった。
カーテンで仕切られた部屋を見回してみると、人工呼吸器やらシリンジポンプ、T-6○パワーアーマーやらがあった。
どうやら僕はICUに入れられているらしい。
ん?T-6○パワーアーマー?
「起きたか。体の痺れはどうだ?」T-6○パワーアーマーが言った。
「まあ、所々ファニーボーンになったみたいになってますが、なんとかって感じです。ところであの母子とおばあちゃんは無事?」
「まあ無事だが、怪我人が一人だけ出た。」
「誰です?」
「お前。」
「自分以外が無事ならいいですけど、じゃあとっとと治療費払って配達に...」
「社畜か?」
「そうですよ。奨学金返さなきゃなんないし。」
そう言って立ち上がったが、オリン団長は初めてうろたえた様子を見せていた。
「ああ…汚ったねぇ!女子にんなもん見せんな!」
どうやら下半身の角を見られてしまったらしい。てかこいつ女子かよ。
そりゃそうだ。さっきまで看護師さんに尿道カテーテル入れられてんだからな。てかパンツどこだ?
とりあえず女子に見られてるのは恥ずかしいので布団を掛けて中で尿道カテーテルを抜くことにした。
「何日くらい気を失ってたんですか?ぐッ…!」
入ってるものを引き抜きながら言った。ってか痛った。
「数時間ってところか。」
「なら、さっさと配達に行かなきゃ。」
「だから社畜か?」
「そうですよ。公務員のアンタには分かんないだろうけど。こっちにも生活あるんで!」
「ならなんであの母子を助けた?お前の生活にあの母子は関係ないだろ。そこまでやる理由は?」
「自分のせいで誰か不幸になったり、それを思い出して毎日夜な夜な苦しむくらいなら、やるだけやって苦しみたいんですよ。それに常に何かやってないと落ち着かないんですよ!」
「それただのADHDだろ。」
数時間後、検査が終わり電気による神経障害が残っていないことが分かった。
病院内のコンビニでお腹を満たせるものを探してると、POSAカードが目に入った。
朝のフュリ先輩の言葉が頭をよぎる。
出会い系やったとて、下の角を見られる以上に恥ずかしいことはあるわけないし。
病室に着く頃には出会い系のプロフィール設定を終えていた。
そのままベッドに横たわると、そのまま意識を失った。
日付が変わるか変わらないかのところで、出会い系の通知音で目が覚めた。
なんで我々のリーダーはあの母子を狙っているんだ?
それについては分からないが確実に分かることがある。
俺らが失敗したこと、そして失敗の責任を取らされるということだ。
急いでこのトリノ王国を−
何かに足が引っかかった。相方も同じように倒れていた。
「魔法か?一体どこから?」
「気をつけ−」相方の首があらぬ方向に向いていた。
「オイ!しっかー」何者かに背中を触られた。
振り向くとフードを被った人物が人混みの中に入っていった。
追いかけようとしたが、触られた箇所が熱い。いや全身が熱くなっていた。
痛みに悶えながら、何故あんな仕事をやることにしたのか深く後悔をした。
金払いも良く、簡単な仕事だと思っていた。ただ魔族の母子を誘拐すれば良いだけ。
たとえ安くてももっと何か、誰かのためになれる仕事があったはずだ。
だが、その後悔に現実は答えなかった。




