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「ですから、違うんです!!」
「イシード様には魔法について教えてもらっていたんですっーー!!なにもやましいことはしておりませんってばー……」
「「そうですよねイシードさまーーー!!」」
遠くの方で正座をさせられ覇気のないイシードに声を張り上げ同意を求める。首がとれてしまうのではないかというぐらい激しく上下させ頷いている。
「お兄様たちが思っているような関係ではありません!だからもう解放してくださいよぉぉぉぉ。」
『……では先ほどの……大……好きだと言う言葉はどう説明するのだ。』
レオナルドが静かな怒りを溢れさせながら二人に問う。
「……あれは、イシード様が魔法に関わること全てが大好きだ!と言う意味です。決して私に対してではありません。変な所で防音魔法を解除してしまうから……」
アリシアは““お兄様が悪い””とクリストファーにジト目で訴えた。
イシードもアリシアの反論に同意すると言わんばかりに、更に激しく頷いていた。
『『……そもそも、やましいことが無ければ防音魔法を掛ける必要はないだろう!こそこそ、こそこそと怪しまれる行動をした二人が悪い!』』
クリストファーがアリシアとイシードに怒りの含んだ瞳を向ける。
「(ブチッ!)……もう!!お兄様は過保護過ぎる!何もないと言っているでしょう!私だって同世代のお友達が欲しいの!!いつも…いつも仲の良い子ができれば邪魔ばかりして!
もう私は14なのよ!成人を迎えた女性として扱ってください!
もし私に好きな人が出来たら、恋人が出来たら、結婚したい相手が出来たらどうするのですか?それも反対して引き離そうと画策するのですか?
そんなことをいつまでも続けるのなら……お兄様のことは嫌いになります!そして絶交です!!家を出でひっそりと楽しく暮らしていくことにするんだから!!!」
流石のアリシアも堪忍袋の緒がブチリとキレて捲し立てるように怒りをぶつけた。自由に楽しくがモットーなアリシアはここでハッキリ一発言っておかなければ、これからの生活や交遊関係に支障をきたすのだと本能的に感じた。
クリストファーは妹の初めての反抗と嫌い・絶交と言うワードにショックを受け、周章狼狽していた。動揺する気持ちが押さえられず一点を見つめ独り言が止まらない。
(『…………アリシ……アが私を嫌い……?ぜ……絶……交……?!アリィに……恋人……結婚……いつか仕方がなく……本当はイヤだけど……お嫁に出したとても妹である事実と血の繋がりは一生消えることはなんだよ……。でも……アリシアに縁を切ると言われてしまったら……会いたくないと拒絶されたら……耐えられない!……私の全ての妹に捨てられてしまったら……そんなの無理!嫌だ……!!』)
『……わかった。アリシアの言うことを信じるよ。だからこれからもずっと一緒に……絶交だなんて恐ろしいことは言わないで……ねっ?ごめんね……アリィ、許してくれる?』
先ほどまでの怒りは消え失せ、弱った子犬のように““捨てないで””と訴えていた。あの美しい目にはうっすら涙が滲んでいるようにみえる。
アリシアはお兄様操縦法をゲットした。
「もう!わかりました!これからは私の意見、行動を尊重してくださいね!王太子殿下もセルカーク殿下もイシード様を解放してあげてください!!そして本来の目的を果たしましょう!」
『『…………』』
『…………………』
二人は無言で頷いた。アリシアからの殿下呼びにこれ以上余計なことを口にしたら嫌われてしまうかもしれない……と頭の中を過ったからだ。
解放されたイシードはアクアジークの側へそそくさと去るとぴったりと後ろに隠れて静かにしていた。お兄ちゃん体質のアクアジークの側は安心なのだろう。そしてあの三人は余程怖かったのだろうと感じた。
自分の身をアクアジークを盾に守っているようにみえた。普段からは想像出来ないイシードの可愛らしい一面にクスッと笑ってしまった。
「さぁ!この話は終わりで!進行状況を確認しましょう!」
『『『……あぁ……そうだな……そうしよう!』』』
アリシアは今日1日で10年位年を取ったような気がする……
《あー疲れた……もう帰りたい。早くアモーレ対策を終わらせてモフモフちゃんたちに癒してもらおう。そして甘いものをおなかいっ~ぱい食べよう!その為にはもう少し頑張ろう~と!》
レオナルドがこれからのことを話始めた。
『『それでは皆集まれ。国王陛下からのお許しは得られた。本日の出席者以外にも城に勤める護衛騎士や警備騎士、侍女などが力の影響を受けたと思われる者が多数いる。思っていたより人数が多い。
城に関しては宰相とクリストファーが筆頭となり事態の収集にあたる。
貴族の処理は私とイシード、エリックで。
騎士は近衛、王国騎士団の両団長が対応することになった。
セルカークとアクアジークそしてリカルドであの娘のいる男爵家を訪問し油断させ魔石の情報を集めてこい。特に三人は惑わされることのないよう細心の注意をしながらあたれ。
リカルドには苦しく難しいことかと思うが、怒りを沈めて冷静に行動してくれ。魅力の力が解除されているとあの女に判られてはならない。今は証拠集めに徹して欲しい。頼んだ。では各自……』』
「……あのー。私は?私は何をしたらよろしいでしょうか……」
アリシアは自分に役割が与えられていないことに疑問を感じ、何をしたらいいのか尋ねてみた。
『『アリシアは危険だから留守番だ。』』
「えっ?留守番………?!どうして……」
『『クリストファーから聞いた。あの女は何故かアリシアに対抗心を抱いていると。アリシアに刃を向ける者、殺意を抱くものが出るかもしれない。だからアリシアには全てが終わるまで城で待機してもらうことにした。それにアリシアにはしてもらいたいことがある。』』
「……してもらいたいことですか?」
『『あぁ。』』
『『10日後から始まる学園の対策をアリシアに任せたい。今日の始末にはかなりの時間がかかるとみた。同時進行で対応しなければ間に合わない。
何か策があると言っていたね。適任者はアリシアしかいないんだ。一人で動くには難しいこともあるから、母上と叔父上の協力を戴くことになっている。お二人と共に動いてほしい。頼む。』』
「わかりました。お任せ下さい!」
アリシアは自分のすべきことをしっかりやり遂げなくてはと気持ちを引き締め応えた。
レオナルドはアリシアの様子に頬を緩めると近付いてきた。
拳を胸の前で握り締めているアリシアの手に自分の手を重ねると、
(『『……リア。危ないことや無理はしないでね。城の中は安全だけど……それでも心配だから……決して母上の傍からは離れてはいけなよ……僕が戻るまで……ねっお願いだよ。チュッ。』』)
アリシアの右耳にレオナルドの唇が触れ、優しく囁くように発せられるイケメンボイス。耳元に感じる柔らかい感触。生暖かい吐息。最後にはリップ音が……アリシアはノックアウト寸前だった。恥ずかしさと戸惑いに体を後方に少し下がって距離を離す。
《な……なんということでしょう……今までも距離近くない?って思っていたけど……これは流石にヤバイわ。なんかチュッって聞こえた。私の妄想が深すぎて願望のリップ音出ちゃったのかな……?こんなことされたら世の女性達はイチコロだよね。まー私は寸での所で堪えられたから……大丈夫、問題なし。大丈夫なはずだよねっ……危ない危ない。イケメンスキルまじこわい……》
アリシアは自分自身と格闘しながら堪える。しかし、頭と心は堪えているはずなのだが、自分の顔面と両耳、そして首が真っ赤に染まって目が泳いでいたことには気づかない。
レオナルドはアリシアのその様子を確認すると満足そうに笑顔で元いた場所に踵を返した。
去り際に然り気無く頭をポンポンとしていった。
《くぅーイケメンは何をしてもイケメンだ。女子の憧れ頭をポンポン……乙ゲー最高だね。》
『『さぁ、それぞれの持ち場でしっかり務めてくれ。何かあれば連絡するように。いくぞ!』』
『はっ!!』「はい!」




