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19話目です。
お父様、お母様の所へ……挨拶をし会場を去る。部屋へ戻ろうと廊下を歩いていると……今日は精霊たちの姿が見えないことに気付く。
《精霊ちゃん逹いないなー!色んな人がいて賑やか過ぎるからかな。私も忙しくて森に行けなかったしな。》
毎日のように神秘の森に通っていたアリシア。精霊逹と戯れると癒される。
《まだ時間早いし少しなら寄っても大丈夫だよね》
「神秘の森に少しだけ寄りたいの。」
後ろを歩く護衛2人に声を掛ける。
『暗くなってきたので危ないのでは。』
「外部の方が入れる場所ではないから大丈夫よ。」
『わかりました。姫様が神秘の森へ行かれることをお伝えして参りますので、少々お待ちください。』
近くにいた護衛に声を掛け、お父様たちに報告してくれることになった。
夜の庭園は初めて。様々な花が月明かりに照らされていてとても美しい。花を見ながらゆっくりと神秘の森を目指す。
《夜の庭園がこんなに綺麗だなんて知らなかった。》
花の観賞を楽しみながら歩いていると……
“ うっ!!バタン・バタン…… ”
《えっ。何?何の音?》
振り返ると先程までアリシアのうしろに付いていた護衛2人が意識なく倒れていた。
「どうしたの!大丈夫!」
《いったい何が起こったの……》
倒れている護衛2人に駆け寄ろうとすると……3つの黒い影がアリシアに近づいてきた。
「だ……だれなの……」
恐怖で体が震えているのがわかった。
王宮に務める騎士たちの剣の腕も魔法も上級者以上じゃないとなれない。そんな人たちを一瞬で倒した。
《この人たちはただ者ではない……》
距離を取り後退りながら、相手を確認する。
『これは、これはアリシア姫様!御会いできるとは……なんて私は運が良いのでしょう!』
「「あなたは誰なの……」」
『先程御会いしたではありませんか。アルフレッド殿下のお友逹ですよ。』
「この場所は限られた人しか入れないはずよ。門番に止められなかったのかしら……」
『あぁ。あの門番ですか。少しの間眠ってもらっていますよ。』
『代わりに別の者がしっかり御守りしてますから……安心してくださいね!』
「何が目的なのかしら?」
『わたしはただ……姫様とお話させていただきたかったのですよ。』
『あの会場で何度も私に向かって微笑んでくれたではありませんか。』
《は?私がいつあんたに微笑んだんだよー》
「微笑んだ記憶はありませんが?勘違いではありませんか?」
『そんなはずはないよ。アリシア!!』
《馴れ馴れしくアリシア呼びするなー!》
『私と39回目が合い、その度に恋人の如く美しく、愛らしく微笑みかけてくれただろう。』
《39回って……恋人って……そもそも特定の人に向けて微笑んでないし……この人めちゃくちゃヤバイ人なんじゃ……》
《勘違い野郎がいます!通報してくださーい!》
「いいえ。そのようなことはありませんでした。」
「私はあなたが何処の誰なのか……お名前すら知らないのよ。」
「それに私はまだ9歳ですよ。」
「恋人なんて……あり得ません!!」
『恥ずかしがらなくてもいいんだよ。6歳の年の差なんて気にならないよ。君は9歳とは思えないくらい容姿も中身も大人びているし……』
『愛があれば関係ないよ。』
『こんなにも美しく聡明な方と相思相愛なんて……私は幸せ者だね。』
『愛しいアリィ♡永遠に一緒にいようね!』
『愛しているよ!!』
《なんなのこの人ー!!ストーカー?!》
《全然話聞いてないし!》
《愛なんてあるわけないよー!!》
《アリィ呼びになってるし!気持ち悪いよーこの人ヤバい人だ!》
《ここにいたら危険!》とアリシアの本能が言っている。
《何とかして逃げなくては……》
神秘の森まで行けば結界が張ってあってこの人逹は入れない。
《あそこまで走って逃げよう。》
護衛のお兄さんたち後で助けを呼ぶからねー!
アリシアは覚えたての風の魔法を使い突風を起こす。
男達は一瞬怯む……その隙に神秘の森へ走りはじめた。
『『逃げたぞ!捕まえろ!!』』
変態野郎の叫ぶ声がする……
捕まったら最後………なにをさせられるんだか……
《もうやだ……この世界変な人多すぎるよ……日本に帰りたーい!穏やかに暮らしたいだけなのにー!》
《誰か助けてー!!》
毎回“助けてー!”て言ってるような気がする……