表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/689

90話 選択肢

 その記事に映っていたモノは撮影師(フォトグラファー)と呼ばれる魔術師(メイジ)による第三階梯の魔術(ギャルダー)念写(ソート)】によって映し出された写真に近い画像だ。

花園(はなぞの)…………さん?」

「やっぱ(いつき)もそう思うか」

「ほぼ間違いないかと思う」

 記事を見る限りでは意外と適応できている? ようにも見受けられる。ただそれは元の世界に戻れない諦めからの開き直りかもしれない。

「どうする? 迷宮(アトラクション)攻略は一旦放置して会いに行ってみるか?」

 思案していると健司(けんじ)がそう提案してきた。

「僕の一存では決めかねるな」

「休業になっても俺らは生活に困らないし魔導速騎(マギスピーダー)でも買って急いでいけば二週間(二〇日)もあれば往復できるだろう?」


 健司(けんじ)にそう言われて自分が徒歩での移動を前提に考えていたことに思い至った。小型の魔導速騎(マギスピーダー)なら安いモノは金貨一〇枚から購入可能だ。ただ感覚的には小型のスクーターって感じで長距離移動には向かない。迷宮(アトラクション)街でも稀にだが見かける。


 それはゆっくり考えよう。まずは本来の目的を達成せねば!

「話が脱線してしまったので戻そう。中見せてもらっていいかい?」

 そうそう僕は健司(けんじ)が買った、この目の前にそびえる魔導騎士輸送機マギキャバリエ・クラディアントを見に来たのだよ。



 ▲△▲△▲△▲△▲△▲



「…………」


「おかえりなさいませ、ごしゅじんさま」

 扉を開けてまず目に入ったのはタレ犬耳に尻尾の黒いワンピースに婦人用仕事着(ピナフォア)を纏い深々とお辞儀をする亜人(ラトゥル)族の少女だった。


健司(けんじ)…………これは何?」

 そう問わずにはいられなかった。

 それに対して健司(けんじ)手信号(ハンドサイン)で待てと合図する。

「ピナ。すまないがお客さんだ。お茶を用意して」

 そう犬耳少女に指示を出す。よく見れば首輪(チョーカー)があり契約奴隷コントラクト・スクラブ労働奴隷(ラボロー・スクラブ)なのだろうか?

「はい。ごしゅじんさま」

 そう言うと軽やかに奥へと引っ込んでいった。



 一階部分がLDKの構成になっており、更に貨物室への通路やら納戸、風呂、トイレ、使用人室があるらしい。取りあえず居間(リビング)のソファーに座り込み出された中原(セントルム)産の紅茶とやらで喉を潤す。


「この魔導騎士輸送機マギキャバリエ・クラディアントを買ったときにヴァルザスさんに留守番を常駐しておいた方がいいと言われて雇ったのさ」

 信用面においては奴隷(スクラブ)と言っても契約(コントラクト)なら契約外の事は命令する権利もないので相手も契約内容を吟味できる。だが、先ほどの少女は10歳くらいにしか見えなかったが、まさか言葉巧みにだまして契約とかしてないよな?

 僕の疑惑の視線に気が付いたのか健司(けんじ)は慌てて弁明を始めた。

「ピナはヴァルザスさん立会いの下で契約したから変な内容は盛り込んでないさ」

 ここで言う変な内容とは性的隷属の事だろう。隼人(はやと)違って健司(けんじ)胸部装甲おっぱいが重厚な年上の色っぽい女性にしか興味がない。

 家事全般と買出しと留守番だけが彼女の契約内容だ。ここに泊まり込みも解約内容に入る。


「あれ? 通いじゃないんだ?」

 契約奴隷コントラクト・スクラブ、僕らの感覚では社畜とでも言うべきか、基本的には自宅から通うのが基本だ。

亜人(ラトゥル)族だから市民権はないし、ピナは元々が私生児で人狩り(トゥル・キャザー)に捕らえられていたのを買い取ったんだよ」

 奴隷商人(スクラブ・ディーラー)に売られる前に買い取って契約したとの事。給与を支払い自分の給与で自分を買い取れば自由民になれる。公娼(トレド)と同じ規約(ルール)だそうだ。


亜人(ラトゥル)族は耳が頭頂部付近にあり脳の容積を圧迫してる関係で頭が大変お悪いと聞いたけど?」

 だが返ってきた答えは意外なものだった。

公用交易語(トレディア)は会話に支障はないだろ。読み書きはひらがなに相当する言語(パラブラズ)は問題ない。暗算は得意じゃないが四則演算程度は出来る。あの歳でだぞ」

 一〇歳と聞いたが、それなら凄いのか?

「ただヴァルザスさんに言わせるとあれが限界らしい。これ以上の進歩はほぼ絶望的だという事だ。だが、魔導機器(マギテック)の扱いもできるし召使枠として置く分にはなんも問題ない」

 そう話を締めくくった。


 話は拠点(キャンプ)をここに移さないかという事、花園(はなぞの)さんについて、セシリーについても話した。


 僕らがここを離れる場合はセシリーはついてこない確率が高いとの事だ。彼女は育った孤児院に縛られており稼ぎの大半を孤児院の運営資金にと献金しているのだ。教会が運営する孤児院と聞くと信者の布施というか寄進で運営かと思ったが、市民権のない私生児たちに施すとは何事かと大口の信者たちが騒いだ結果、孤児院の運営は独自運営となっており、孤児院を出た者は多かれ少なかれ残っている弟妹たちの為に自分の稼ぎから献金しているのが伝統らしい。


「だけど、セシリーの献金額は結構な金額だろう? 金額からしても、もう十分義理は果たしたのでは?」

「俺の見立てでは彼女は家庭を持つまでは払い続けるだろうな」

 こういう時の健司(けんじ)の見立ては結構当たる。僕らの一党(パーティ)から聖職者(クレリック)が抜けるとかいう問題より、彼女がここに残った場合は問題も多い。

 若くて美人の聖職者(クレリック)ってだけで引く手あまただろうが、同時に女性冒険者(エーベンターリア)への性的暴行も多いと聞く。最も被害者はの多くの女性冒険者(エーベンターリア)は開き直って楽しむかってなるそうだが…………。


 実際一党(パーティ)の増員を行ったときもセシリー目当てで加入希望してきたものも多いだけになぁ…………。


「僕らって冒険者(エーベンターリア)の知り合いほとんどいないんだよね…………」

「序盤で恐れられて、その後は迷宮(アトラクション)に籠りっぱなしだからな」

 参ったねと二人して嘆く。


 拠点を健司(けんじ)の所有する魔導騎士輸送機マギキャバリエ・クラディアントに移す話は相談してくるという事で今日は暇することにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ