624話 いざ討伐へ①
辞書ファイルを移植したけどタブレットでの入力は地味にめんどい…………。
「承知しました」
「卿は噂通り貴族に向かないな。考えていることが表情に出るようだ。上流社会でそれは致命的だな」
不満たらたらだったのが表情に出ていたらしい。
「ま、タダでとは言わんよ。我らがやりたくないことを強いるのだから宝物庫からなにか出そう。それで良いか?」
続けてそう言ってきたので無言で肯首した。
「では必要なことは外で控えている者に言ってくれ」
そういうと執務机の書類にお目を落とした。用は終わったから退出していいよということである。
執務室を出ると一人の健司並みに背の高い人が控えていた。
「竜司祭のカーラです。何かあれば対応しますので遠慮なくお言いつけください」
室内は結構温かいこともあって薄着である。身につけている装飾品などからそれなりの地位ではないかと。
中性的な顔立ちの男声かと思ったけどどうやら男性のようである。全体的な骨格がそれを表していた。
「時間が惜しいので案内してください」
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馬車に揺られること半刻。幼竜が保護されている建物を遠目に見えるところまでやってきた。
さて、どうやって討伐するか?
【自爆】を付与した対騎兵用長槍で一気に仕留めるか?
建物は石造りの大角山羊の管理する者たちが使う宿泊所で中に閉じ込めているとのことだ。
「高屋様。お願いがあります」
[魔法の鞄]から【自爆】の対騎兵用長槍を取り出して感触を確かめていると唐突に竜司祭のカーラさんがそう言って一歩近づいてきた。
「なんです?」
「どうか討伐を止めてもらえないでしょうか?」
どういうこと?
「王命だよね?」
「たしかに王命です。この地で地竜との共存は不可能です」
それはわかる。大食漢の竜にとって住民は餌である。飛行可能な竜であれば竜騎士の乗騎として飼いならしたのだろう。
共存ができない以上は屠殺しかないという選択だったはずだ。
「空飛ぶ乗り物をお持ちであれば下界に運べませんか?」
え? 獣並の知能の竜をどうやって大人しく運ぶの? 竜って魔法での無力かもかなりの難易度なんだけど? 精神系の魔法もほぼ効かない。毒もほぼ効かない。睡眠系とかも無理。サイズ的に【魔力の縄】で拘束できないことはないけどアレは効果時間は長くない。
そういった内容の説明をすると、
「危険ですが方法があります。竜の習性を利用したものです」
そう言ってこう説明してくれた。竜同士が闘う際に首の後ろにある逆鱗に牙か爪を突き立てると相手に服従を強いることが可能になるという。この逆鱗は巨大な竜の肉体の制御を担当する複数の補助脳への伝達神経が集中した箇所でここを攻撃されると一時的に死に体となる。
そうなった際に主従関係が発生して念話で意思の疎通が可能になるのだとか。
そう言って懐から一振りの古びた湾曲した短曲刀を取り出した。
「これを使えば服従させられます」
竜とか愛玩動物として飼うのはなぁ…………。かと言って野放しにもできないし。
「わかりました」
そう答えて短曲刀を受け取った。対騎兵用長槍を仕舞う。
ま~大蜥蜴サイズならそれほど苦労はしないだろうと高を括っていたら小屋から原初の恐怖心を呼び起こすような咆哮が響く。幼くても竜である。
「まずい! 脱皮が始まったのかも!」
そう言って竜司祭のカーラさんは走り出した。
わすかに遅れて僕も走り出す。
小屋のそばまで近づくと石造りの小屋を破壊して竜がのそりと出てきた。
「遅かった…………」
竜司祭のカーラさんは立ち止まってしまった。
その幼竜から脱皮して幼竜は緑竜で間違いなかった。ただ文献で見たより大きい気がする。
大食漢のためか近くに来ていた僕らを食料と認識したようでもう一度咆哮を上げるとドスドスとが走ってきた。
基本的に男女の違いは骨盤、胸骨、頭蓋骨の形状が異なる。骨盤の違いで男は腰がくびれていない。ぱっと見で肘と腰の位置関係でわかります。他にも肘の向きなどでも判断可能です。まー喉仏でだいたい分かるよねとは思うけど。




