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Another Dimension Story  作者: Taro
第一章
10/32

作戦開始

――― …どれ程の力を、オレは自由に操れるのだろう… ―――


 朝食を終えると、ミネルヴァはリサの意識に語りかけ彼女を目覚めさせた。目覚めたリサは昨晩練ってくれた今後の戦略についてオレたちに説明をしてくれた。「数は戦力」という言葉があるように、まず最初は、戦力を確保しなければ何も事が進まないとのだった。今のオレたちの状況を例えて言うなら、兵を率いる優秀な武将はいるが、兵隊がいないという事だ。


 そこでリサが提案したのは、首都『メイガダーヌ』を攻略し、一気にルーシアン帝国の戦力を取り込むという作戦だ。ルーシアン帝国はこの世界の三大勢力の一つではあるが、国王は暗殺され、オレたちがアドルフを倒したことにより宰相も不在である。つまり、今のルーシアン帝国には統制をとる者がいない。国内に残る戦力は大きいが、それは烏合の衆であり本来の戦力は発揮できないと考えられる。そして、もうひとつ、幸いなことにリサはルーシアン帝国の王族である。これを利用して一気に国を乗っ取るという計画だ。


 オレたちは首都『メイガダーヌ』へ行くことになった。ただ、ヨーコと双子の姉のカレンはこの地に残ることになった。この拠点を守る役目もあるようだが、何か別の任務を与えられたらしい。


 ログハウスの外に出てふと思った。いくつかの疑問が出てきたのだ。

 

 まずエカチェリーナの事だ。オレの知っているヴァンパイアのイメージは、陽の光、十字架、にんにく、銀の武器、流水など、他にも苦手とされているものがある。しかし、彼女は今、昼間なのにオレたちと普通に外にいる。オレは気になったので直接本人に聞いてみた。


「フフフ、何か変な本でも読まれたのかしら? 

 そう言えば… 、ミウも昔同じような事を言っていましたわよ。」


 彼女は笑いながら言った。苦手とかそういうレベルではなく全く問題が無いようだ… 軽くあしらわれた感があった… 。ちなみに、地下室で彼女が眠ったふりをしていた時に使った棺桶というのは、ミウが昔、ヴァンパイアは棺桶の方が眠りやすいと何かの本を読んで思ったらしく、エカチェリーナにプレゼントしたものだそうだ。エカチェリーナは、久しぶりに帰ってくる我が娘を喜ばせようとしてあの棺桶の中にいたという… 。

 もう一つ彼女に対しての疑問があった。今朝、地下の寝室でエカチェリーナと会った時から背中の羽が無くなっていたということだ。それについても聞いてみると、自由に収納できるそうだ… 、なんでもありだな… 。

 

 最後にもう一つ思った疑問。それは、どのようにして『メイガダーヌ』へ行くか という事だ。オレが最初にこの森から出ようとして歩いた一本道。結構な距離を歩いたはずだが何もなく、その先が何処に繋がっているのかもわからないままだ。そして、オレには見えていたがリサには見えていなかった。そんな疑問を抱きながらエカチェリーナたちがどうするのかを見ていた。


 エカチェリーナは短い魔法詠唱を始めた。詠唱が終わると前方の地面に向けて手を翳した。地面には円形の闇が現れ、その中から大きな二頭の馬が駆る馬車が現れた。

「バリちゃん、クーちゃん、元気にしてた? 」

 ミウが二頭の馬を撫でながら言った。どうやらこの二頭の馬の名前らしい。ミウが言うには二頭とも凄い馬だそうだ。


 オレたちは馬車に乗り込んだ。馬車は凄いスピードで森を駆け抜けていく。確かに普通の馬ではなさそうだ… 。

「そう言えば、リサには一本道が見えていなかったと出会ったとき言ってなかった? 」

「ええ、あの時は見えなかったのですが、なぜか今は見えます。」

 リサがそう答えるとミウが言った。

「この道が見えるのは、第七階位魔法以上を使うことができる魔力を持つ人だけなんだよ! ミウも小さい頃は見えなかったもん! 」

「私もミウさんの眷属になるまでは見えませんでした。」

 カノンが小さい声で言った。

「ということは、リサとカノンは第七階位魔法を使える程強力な魔力を持っているという事か? 」

「カノンはミウの眷属ですから高い魔力を持っています。

 リサに関しては、リサ自身というよりもミネルヴァの影響でしょう。

 フーガ様と口づけをするまでは、まだミネルヴァは不安定な状態で覚醒していませんでしたから… 。」

 エカチェリーナがそう言うとリサはその時のことを思い出したようで顔を赤くして黙り込んでしまった。


 そんな会話をしているうちに目的地に着いたようで馬車は止まった。オレたちが外に出たあと、エカチェリーナが再び二、三秒の魔法詠唱を終えると馬車は闇に消えていった。まぁ… 、四次元ポケットみたいなもんだな… って便利か! など思ったが、もはやそんなことはどうでも良くなってきた… この世界はなんでもありだ…


 オレたちの目の前には、もの凄く高い塀に囲まれた巨大な要塞みたいなものが見えていた。おまけに周りには堀があり、容易に攻め込むことができないようになっている。城塞都市ってやつか… 。


「てか、寒っ!! 」

「だって冬だからねー、

 なんで暖かい格好してこなかったの? 風牙くん。 」

 

 ミウは薄着のオレにそう言った。この世界に来てから春の森のイメージが強すぎた。てか、ミウさん… 、そもそも今この世界が冬でこんな寒いなんて情報もらってないんですけど… 。こんなことなら薄着してくるんじゃなかったな… まぁ、この世界でオレは他に服持ってないけど… 。


「あの、良かったらコレ使って下さい。」

 カノンはオレにマフラーを渡してくれた。なんて優しい子なんだ! オレは小さな感動をしていた。だが、きっとカノンも寒いはずだ。気持ちだけ受け取ってマフラーはカノンに返すことにした。


 城壁の上には何人かの兵士がいる。その兵士のうちの一人が聞いてきた。

「あんたたちは何者だ? 」

「私は王族リサ・マナロフです。参謀総長ユリアナを呼んでください。」

 …

 しばらくすると城門が開き、堀に架かっている橋の上を一人の女性が歩いてきた。城壁の上にいる兵士達はいつでも矢を放つことができる状態でこちらを警戒している。橋を渡り終えこちら側まで来た女性は、リサの顔を確認すると跪いた。

「リサ様、生きておられたのですね…。」

 挨拶も早々にリサは事の経緯をユリアナに説明した。

 …

「なるほど… それで国王の死体が発見された上に、宰相も戻ってこなかったわけですね… 。

 事情はある程度わかりましたが、先の大戦と長引く過剰な富国強兵策に、多くの国民は疲れてしまっています。

 この国の参謀総長として申し上げますと、リサ様の王位継承はともかく、世界を相手に宣戦布告をしている『伝説の魔神』の属国になるというのは賛成致しかねます。」

 

「確かにあなたの国を想う気持ちはわかります。

 ですが、国王が死んでしまったことが他国に発覚するのは時間の問題。

 しかも宰相が不在となれば、こちらが望まなくとも他国は侵略してくるでしょう。

 その時に軍の指揮を執り国を守れる人物がいるのですか? 

 ユリアナ、あなたにこの国を守る事ができるのですか? 

 私が王位に就くことで、少なくとも現状よりは三大勢力の均衡は維持することができます。

 そして宰相が不在の今、他国への牽制を考えるのであれば、『伝説の魔神』や『大魔道士』の属国という形をとった方が今までよりも遥かに効果があります。

 そうなると周辺他国は、簡単にはこの国へ攻め込んでは来ないはずです。」


「……… 

 そこにいる男性が『伝説の魔神』ですか? 

 リサ様の仰っしゃる事は納得できましたが、こちらも一国を託す側です。

 その相手が本当に一国を委ねるに値する方なのかどうか? その実力を知る権利があると思います。

 『伝説の魔神』も『大魔導師』も伝説の域を超えてはおりませんからね。

 私を納得させるだけの力を見せては頂けないでしょうか? 」


「風牙様… 」

 リサは心配そうにオレを見つめた。ここでオレが挙動不審になってはせっかくの計画が台無しだ… 。


「ああ、わかった… 」

 オレは冷静にそう答えた。


(が、しかーし! そんなもんどうやって証明するんだよ! 

 あ! そうだ! 

 おーい! ゼロ~! 前にやった大爆発のやり方教えてくれない?? )


「もちろん構いませんよ。で、何を爆発させるんですか?」


(そうだな… あっちにある森とか??? 

 ちょっと遠いけど… 大丈夫?? )


「見える範囲なら遠くても大丈夫ですよ、マスター。

 やり方ですけど、基本的には『リヒト』と同じです。

 威力が強い分両手を使いますけどね。

 まず両手の手の平を森に向けてください。

 で、爆発をイメージして『エクスプロージョン』って言うの!

 簡単でしょ! それじゃ! 」


(相変わらずザックリな説明だな… 

 まぁいいや。ありがとう、ゼロ。)


 …

 

「ユリアナさん、あっちの森って誰も人は住んでいませんよね? 」

「はぁ… 、多分… 、

 村もないので、誰も住んでいないと思いますが… 

 それが一体どうしたというのですか? 」

 

「そうですか、それじゃ、やってみますね… 」

『エクスプロージョン』 

 オレがそう言うと両手の先にあった森は大爆発を起こした。


「なっ!!!!! 

 …… そ、そんなことって……… 」


 余りにも不条理な力を見せつけられたユリアナは驚きの余りに微動だにしない。ユリアナだけではなく、城壁にいた兵士たちも呆然と立ち尽くしている。しばらくして我に返ったユリアナはオレたちを城塞都市の中へ案内してくれた。


 城壁の中は大きな街だった。ミウたちの話に聞いていたように文明は中世ヨーロッパのような感じで建物もなんとなくお洒落な感じがする。オレがいた世界と異なるのは、人々の髪や目の色が多種多様であるということだ。エカチェリーナの紫っぽい髪や、ミウのピンク色の髪は魔族の影響かと思っていたが、どうやらそうでは無さそうだ。あと一つ違和感を覚えるものがある。それは服装だ。オレがいた世界、それもオレがいた時代の服装とほとんど変わらない。この街を日本でイメージするなら、テーマパークに観光客がたくさんいる状態、というのがわかりやすいかと思う。てか、アドルフがスーツを着ていた理由がわかったわ… 。


 しばらくユリアナに付いて街の中心部まで行くと立派な建物が見えた。あれがこの国の王宮だそうだ。さすがに首都ということだけはある。オレたちは王宮の中に案内された。てか… 、なんか緊張してきた… 。オレたちはリサの勧めで大浴場で疲れを癒すように勧められた。そう言われてみれば、久々の風呂のような気がする。オレたちが風呂でリラックスしている間、リサとユリアナは別室で今後の施策をお互いに詰めているようだった。


 風呂から上がると使用人に控え室のような場所に案内された。そこにはエカチェリーナとミウ、カノンもいた。お風呂楽しかったねーとミウとカノンは話している。確かに普通の広さの風呂ではなかったからな… 、ちびっ子にとってはテンション上がること間違いなしだっただろう… 。程なくして、話を終えたであろうリサとユリアナが部屋に入ってきた。


「私がルーシアン帝国の王位を継承すること、そして、この国がフーガ様の属国になることが決定致しました。国民への公表は時期を待つことになっていますが、とりあえずの計画は成功です。」


 リサが作戦の成功を伝えた後、エカチェリーナが口を開いた。


「それは良いのですが…

 なぜあなたたちの様な強力な力を持つ者たちが、この国をアドルフの小僧なんかの好きにさせておいたのですか? 」


 オレたちはエカチェリーナが誰に対して言っているのかわからなかったが、壁際に立っていた使用人のうち四人がエカチェリーナの前に出てきた。


「うまく人間に化けていたつもりですが気づかれましたか…。 

 後ほどタイミングをみて、ご挨拶に伺おうとは思っておりましたが… 」


 そう言うと、四人の使用人はエカチェリーナの前に跪いた。


「もともと、この世界の半分以上はエカチェリーナ様のものです。

 あなた様以外の支配者など誰がなろうと興味がございません。

 もしあなた様が再びこの世界を支配するご意思があるのでしたら、我ら闇の四天王、再びあなた様のために尽力致す所存でございます。」

 

「世界を支配しようとは考えているが、それは我自身ではなくフーガ様の為だ。」


「… お言葉ですが… 

 あの悪夢が再現するのではないかと… 」 

 そう言った使用人をエカチェリーナは鋭い目で睨みつけた。


「… 差し出がましかったようです、何卒ご容赦を… 」

 …

 …

「理由はどうあれ、この世界を支配するご意志があるということで我々は受け取ってよろしいのですね。

 ならば、我ら闇の四天王は再びエカチェリーナ様に忠誠を誓うことを、ここにお約束致します。」


 小さくため息をつき、エカチェリーナは言った。

「まぁ、我らの邪魔をしなければそれでよい。

 好きにしろ… 。」


「御意」

 そう言うと、四人の使用人は突然その場から姿を消してしまった。


 オレを含め、エカチェリーナ以外の全員は何のことかさっぱりわからない様子で、四人の使用人が突然消えてしまったことに驚いていた。


 ………


 ……


「リサ、あとの段取りはお願いします。

 私たちはフーガ様たちと街を見てきますから… 。

 ミウ、カノン、外に行きますよ。」

 

 沈黙を破るようにエカチェリーナはそう言うと、半ば強引にオレの左腕を組んできて部屋の外に連れ出そうとした。「あ! はーい! 」とミウは返事してついてきた。カノンも慌てた様子でオレたちの後ろを追いかけてきた。リサとユリアナ達は、外に出ていくオレたちを未だに呆然と見送っていたのだった。


 外に出ると夕方になっていた。首都というだけあって街は賑わっている。ミウは、あれも食べたいこれも食べたい、あれも欲しいこれも欲しいなど大はしゃぎだ。反対にカノンは何も言わないが、とてもわかりやすい。欲しいものがあると、じーっとみているのだ。エカチェリーナはミウとカノンに、好きなものを好きなだけ買い与えていた。


 エカチェリーナはふとオレにこう尋ねてきた。

「… 何も聞かないのですね… 」

 彼女の表情は少し曇っているように感じた。


「… 言いたくなさそうだったから… 

 … もし言いたくなったら、いつでも聞くよ… 

 … 別に今、無理に話さなくてもいいと思うよ… 」


 少しの間沈黙が続いた。時間が経つのは早く、もう辺りは暗くなっていた。ふとミウとカノンに目をやると二人組の男達に絡まれていた。


「お嬢ちゃん、ちゃんと前見て歩かないと… 俺の服にジュースかかっちまったじゃねぇか? 」

「あー、弁償だな、弁償! 」

「すみません… 、すみません… 」

「謝ることないよ! カノンは悪くないのだ! 」

「何ぉ? このガキがぁ? 」


「おいおい、あんたら何してんだ?? オレの娘に何か用か? 」


「娘??? 

 あぁ~、この子達のお兄さんですかぁ? 

 ちょっと見てくださいよ~ コレ! 

 この服高かったんですよね~ 。

 お兄さん弁償してくださいよ~」


「風牙くん! 弁償なんてする必要ないのだ! こいつらが悪いのだ! 」


「うちの娘もそう言ってるんだし、自業自得じゃないのか? 

 むしろ、おまえらに娘のジュース代を返して欲しいくらいだ。」


「はぁ? ガキが調子に乗ってんじゃねぇぞ! 」

 男はオレに殴りかかってきた。


 ど素人のパンチだった。オレはそれを躱して相手の顔面に一発を入れたのだが… 五メートル程吹っ飛んでいってしまった… 。確かになかなかのクリーンヒットだったけど、マジかよ! 今のオレ強すぎじゃね??


「おい! てめぇ、ふざけてんじゃねぇぞぉおお! 」

 そう言って、もう一人の男は凄い剣幕で腰に差していた剣を抜いた。


(マジかぁあああ! 素手の喧嘩ならそこそこ自信あったけど、剣とか反則だろおおお!! 

 ゼロ、なんとかならないのか? )


「お呼びだね、マスター。

 でも、相手はただの人間の雑魚でしょ。

 マスターが戦闘モードに入るだけで十分だよ。

 あと、ものすごく手加減をしてあげないと、相手が雑魚過ぎるからすぐに死んじゃうよ。

 だから気をつけて下さいね。それじゃ! 」


(相変わらず手抜きな説明だな、おい。

 でも、まぁ、おまえの言うことは信用できるようになってきたよ、ゼロ。)


 オレは戦闘モードを意識した。その瞬間、相手の動きがスローモーションになった。というよりも微かには動いているように見えたが、実際には一時停止位に思えるほどだ。オレは相手の顔に軽く一発拳を叩き込み戦闘モードを解除した。するとビデオが再生されたかのごとく相手は吹っ飛んで行った。こんな力があるのか… 。せっかくなんでちょっと試しに… オレはそう思って相手が落とした剣を拾った。剣を親指と人差し指で挟んで戦闘モードに切り替えてから軽く指に力を入れた。すると剣が粉々に砕け散ったのである。なんて馬鹿力なんだ… 。てか、そんなことしてる場合じゃなかった。


「カノン、ミウ、二人とも大丈夫か? 」


「うん、大丈夫!

 もし風牙くんが来なかったら魔法使って、骨も残らないようにするところだったよ! 」

 ミウさん… 、笑顔で恐ろしいこと言ってますよ… 


「あの… 、ありがとうございます… 

 でも、フーガ様に迷惑かけてしまって… 

 せっかく買ってもらったジュースまで台無しにしてしまいました… 

 ごめんなさい… 」

 カノンは泣きそうな顔でいつもの小さい声で言った。


「謝らなくてもいいよ。

 だってカノンは悪くないんでしょ? 

 ジュースなんてまた買えばいいよ。

 それに、もしカノンが悪かったとしても、オレはカノンの味方だ。

 カノンはミウの眷属だろ? 

 つまり、カノンはオレの娘だ。

 だから、迷惑かけたなんて思って欲しくないなぁ。」


 できるだけ優しくそう言って、オレはカノンの前に屈み、頭を撫でてやった。


「あー! カノンいいな~! 

 風牙くん! ミウの頭も撫でて~! 」


 なんだ? この面倒くさい展開は… 。ま、仕方ないか… オレが順番に彼女たちの頭を撫でている様子を見ていたエカチェリーナの表情は少し穏やかになっていた。子供たちの相手が一段落し、オレが立ち上がると同時にエカチェリーナはオレの腕を組んできた。


「… やっぱり、あなたの事を好きでいて良かったと思ってます… 」


 すごく小さな声でエカチェリーナはそう呟いたと思う。しかし、はっきりと聞き取れなかったのでわざと聞き返してみた。

「ん? 何か言った… ? 」


「… いえ… 何も… 

 ………

 … フーガ様は意地悪ですね…。」


 顔を赤らめてそう言った彼女はオレの肩に頭を寄せてきた。オレはそんな彼女をとても可愛いらしいと思いながら、腕を組んだまま王宮に戻ることにした。


とりあえず、オレには尋常ではない身体能力が備わっていることが確認できた。

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