49話
先ずバイト・アリゲーターの生息地に向かう。
あの川の先にコモド大蜥蜴か熊が居るらしい。
少し迷う。コモド大蜥蜴の牙には毒が有るし、熊。
大蜥蜴だからバイト・アリゲーターと同じ足元に噛み付いてくる毒持ち。
日本人が最も身近に感じる脅威としての野生生物。
それは俺も同じだ。
野犬も一匹ならナイフ片手に死ぬ気になれば何とか成る。
猪は素直に怖かった。
しかし、熊は恐ろしい。
せめて鎧下の更新してからで無いと踏み切れない。
今日明日はバイト・アリゲーターでLv上げをして、鎧下を変えたらコモド大蜥蜴に移行しよう。
布のズボンで毒の牙は相手にしたくない。
「コモド大蜥蜴の毒って何毒だったかな? 神経毒? 出血毒? 麻痺毒だったかな?」
かなり昔にTVで見ただけの記憶だけに自信が無い。
「まあ、血清が有る訳じゃないし、種類が判っても意味無いか」
明日解毒ポーションと回復ポーションを買い込んで置こう。
そんなあれやこれやと考えながら30分程移動するとコボルトの群生地に差し掛かる。
インベントリからサイズを出して肩に担ぐ。
コボルトの小さなグループが散らばって見える。
いつもと同じ様に群の真ん中をダッシュで駆け抜けてアクティブを稼ぐ。
4、5匹の小さい群が複数集まり、周辺の群までワラワラと群がって来る。
サイズを腰溜めに構えて近寄ってきたコボルトに振り降ろす。
右足を踏み込んで切り払い、柄先端に付いたグリップから逆手で柄を握り直し、右足を退きながら腰を切り返して背後側のコボルト達を凪ぎ払う。
2回3回と繰り返す内に妙に手応えが軽く、同時に武器の走りが速いと感じる。
右足の踏み込み、上体の走り、腰の切り、のタイミングが巧く嵌まったらしい。
軸足の置場所に意識を置いてサイズを振り続ける。
溢れかえっていたコボルトの大群が消え失せ、ドロップアイテムもインベントリに消えていく。
こうして武器の扱いが巧くなる物なのか?
いや、流石に自分でも熟練だとは思わないが、武器の扱い方はこんな数日で身に付く物とは思えない。
何かこの世界の法則が作用してるのかも知れない。
Lv、ステータス、モンスター、アイテム、武器の熟練度。
検証するか、割り切るか。
「いや、検証のしようがないな」
良く分からない事は良く分からない事を覚えておく事にする。
30分も掛からずに群がるコボルトを駆逐して、狩り場に足を進める。
サイズをインベントリに仕舞って代わりに剣を出して腰から下げる。
途中、ネイルボアを含めた雑多なモンスターを処理しながら進んでいく。
既に移動範囲のモンスターは経験値、ドロップアイテムの認識に成っている。
倒せるギリギリのモンスターを必死に倒していくのと、サクサク倒せるモンスターを時間のギリギリまで処理するのとどちらが最終的に得か、だと思う。
ワンヒットワンキルで一番経験値が貰えるモンスターを連続で倒していくのが理想だろう。
今の段階だとバイト・アリゲーターで稼いでいくのがベストと判断する。
暫く歩いて行くと河川が見えてくる。
腰の剣とハルバードを交換してインベントリに収める。
ハルバードを構えて素振りをしてみる。
ゴウゴウと音を立てて、穂先に加重が全て乗るイメージで繰り返し振り続ける。
真下に振り降ろすよりも左下に振り降ろす方が、腰の切りの力が乗る分力強い感じだ。
音も「ゴウゴウ」が「ゴウッゴウッ」に変わる。
ステータスの筋力上昇の影響が出ているのか、ハルバードも昨日より扱いやすい気がする。
斜めに振り降ろす為、踏み込む右足に誤爆しなくて良い安心感も有り、躊躇い無く思い切り攻撃出来るのもプラスだろう。
一息入れて足元の砂利を握って河にバラバラと投げ込む。
何度か繰り返すとBGMが変わる。
バイト・アリゲーターを一匹倒したら複数同時も試してみよう。
河から姿を表したバイト・アリゲーターと距離を合わせてハルバードを振り降ろす。
斧部分を頭に食い込ませるイメージで叩き付ける。
擬音化し難い音を立ててハルバードが砂利まで食い込んだ。
バイト・アリゲーターの頭蓋骨まで砕いて頭部を両断したらしい。
「あ、やり過ぎたか?斧の刃が傷むな、加減しなきゃ」
尤も、俺の目にはバイト・アリゲーターの頭にハルバードが当たってる、としか見えてないが。
自主的にイメージ補整しないといけないのが厄介だ。
面倒で、脳味噌が疲れそうで溜め息が出る。
でも、ドット絵。




