30話
仕事が忙しく、なかなか書けずに居ますが、
最後まで書きます。
ではどうぞ。
かなり苦戦してしまった。
記憶と動物型モンスターの外見をイメージで重ねないとならない。
どこに関節が、血管が、筋肉が有るかで有効打に成るか成らないかが変わる。
もう一度槍で闘ってみて、相性が悪ければ剣で闘う事にする。
実際、相性が悪いのならそれは武器と俺自身の相性、もしくは修行不足でしかない。
慣れて使いこなすしかないのだが。
立ち上がってネイルボアのドロップアイテムと貨幣を拾う。
ネイルボアの毛皮だ。
インベントリに仕舞って、周囲を見回して次のネイルボアを探す。
先の方に黒いドットが見えた。
距離を上手く測れないが多分ネイルボアだろう。
取り合えず、しっかり目視出来る所に向かう。
さっきの戦闘の反省を踏まえて、槍だけでどこまで出来るか検証する。
確か、猪の心臓は左前足の付け根の奥だったはずだ。
まず、すれ違い様にそこを貫けるかの検証だ。
呼吸を整えながらネイルボアに近付く。
アクティブ範囲に入ったらしくいきなり突進してくる。
両手で槍を構えて横に飛び退く。
狙いを定めて足の付け根から数㎝胴体よりの箇所に思いきり力を込めて突き入れる。
ズッと音がすると穂先は完全にネイルボアに埋まる。
心臓に届いたかは不明、と言うか肉を切り裂く感触は判っても、
心臓に刺さったか感触で判る筈がない。
槍を持っていかれない様に引き抜いて様子を見る事にする。
ネイルボアはUターンして再度突進してくる。
「あ、駄目だったか、じゃ次は口の中かな?」
多少突進の勢いは落ちたが、致命傷には程遠いらしい。
突進がギリギリ当たらない様に横にズレつつ、
脚に力を込めて迎え撃つ。
全身に力を込めて穂先をネイルボアの口の中に突き立てる。
勢いに任せて槍が半分潜り込んだ所で手を離す。
ネイルボアは突進の勢いを緩めず数mの所まで走り横倒しに成る。
右腕をさすりながら観察しているとネイルボアはドロップアイテムを残して消えた。
「やっぱり右腕に負担が掛かり過ぎるか」
肩が脱臼しないか不安になる。
槍とドロップを回収する。
肩を回して力を抜いて次のネイルボアを探す。
ある意味一撃必殺だし、片っ端から狩り尽くす事にする。
半日でネイルボアをかなり狩りまくった。
インベントリを見るとネイルボアの肉や毛皮を数えると70匹は狩ったらしい。
レベルも二つ上がった。
所持金も大分貯まった。
やはりランクの高いモンスターのドロップは割りが良い。
ステータスも確認する。
守宮龍人
人族
凶戦士
LV23
HP290/320
MP280/300
筋力87
体力87
俊敏50
知力29
幸運29
ジワジワと強くなっているらしい。
ただ、ネイルボアが複数だったらまだ厳しいものが有る。
ネイルボアの特性として群れを作らないのは有難い。
所持金も銀貨94枚に成った。
順調と言える。
後でネイルボアの次のモンスターの情報を集めないとだ。
明日はまだネイルボアでレベルは上がるだろうし。
ギリギリのレベリングをする意味はない。
しかし、そろそろ剣のグレードアップは考えたい。
昔から武器を長く使うより良い武器に更新するのが好きな質だからだ。
困るのは武器の性能面がステータスや情報として確認出来ない事だ。
と言うか、この世界に鉄、鋼以上の金属が有るか、が問題だ。
現実寄りなら、有るとしてダマスカス鋼か。
ファンタジー寄りならミスリルとかオリハルコンも有りそうだが。
この辺りは武器屋で上手く聞き出すしかない。
さて、そろそろコバルトの補充に向かうとしよう。
ぶっちゃけ、ネイルボアの狩りはあまり楽しくないのだ。
相手の突進に合わせて槍を突き入れるだけだから。
正直飽きた。
スリルやリスクは有るが、どうにも自分から向かって行かないのはやはり違う気がする。
そんな事を考えていると気が付けばコボルトのエリアに着いた。
街までの道のりに居るコボルトを狩りながら戻る。
レベルも上がりコボルトの処理速度はかなり早くなっている。
コバルトもしっかり貯まって、さっさと街に戻るとする。
道々コボルトを狩って居ると遠くにハンターの集団とコボルトの群れが視界に入る。
群れはかなりの数らしく、押されている様に見える。
闘いの邪魔に成らない様に迂回しながら戻るとする。
暫く戦闘を見ながら歩いていると本格的に旗色が悪いらしい。
足を止めて様子を見るとハンターの一人が倒れる。
不味い、かなり不味い状況らしい。
全力で走ってインベントリから槍を装備する。
倒れたハンターに止めをさそうと近寄ったコボルトに槍を投げつける。
投擲した槍は正確にコボルトの頭に突き刺さる。
咆哮を上げて近くのコボルトに斬りつける。
一刀で斬り倒すと次のコボルトにターゲットを移す。
ハンターの一人が俺の乱入に驚きつつ声を挙げる。
「た、助かる、済まない」
大分疲労が溜まって居るらしい。
ハンターのリーダーなのか、一人が返事をすると倒れたハンターを抱えて離れる。
ハンターのグループとコボルトの群れの間に入ると剣を振るう。
コボルトは乱入者の俺に群がってくる。
全力で剣を振るう。
右手側のコボルトを斬り倒すと、正面のコボルトを前蹴りで無理矢理距離を作ってから左手側のコボル
トに突きを入れる。
間合いが狭く成った所でサイズをインベントリから出して処理速度を上げる。
突きを入れた箇所から大量に血を吹き出す。
体勢を崩したままの正面のコボルトを斬り伏せると次々にコボルトを倒していく。
斬りつけ、蹴り倒し、突きを入れる。
返り血を浴びながら全力でコボルトを倒していく。
荒い息を整えながら周囲にコボルトが残って居ないか確認する。
既にコボルトはドロップアイテムになっていた。
立ちこめる血の臭いに顔をしかめて、気を取り直してハンター達に目を向ける。
まだレベル的にそこまで高くないのだろう。
少し離れた所から俺を見ていた。
表情が読めないから判らないから、観察されてるのか、驚かれてるのか判断つかない。
やっぱりこの世界はやりにくい。
今日も思う。
でも、ドット絵!
レベルが順調に上がるとやはり無双したくなりますよね?(笑)