第1話 照らした
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朝。
白石光は目覚ましの音で目を覚ました。
光「……ねむ」
ぼやけた頭のまま体を起こす。
特に変わったことはない、いつもの朝だ。
顔を洗って、適当にパンをかじる。
時計を見ると、まだ少し時間に余裕があった。
光「……ちょっと外出るか」
気まぐれにそう決めて、家を出た。
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外はよく晴れていた。
通学中の学生たち。
仕事へ向かう大人たち。
変わらない街の風景。
なんとなく歩いているうちに、近くのコンビニに入る。
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自動ドアが開く。
「いらっしゃいませー」
店内はいつも通り。
商品棚を眺めながら、適当に飲み物を手に取る。
光「……これでいいか」
レジへ向かう途中、小学生たちの会話が耳に入る。
「今日テストだってー」
「えー、やだー」
笑い声。
どうでもいいような、平和なやりとり。
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会計を済ませて、外に出る。
その瞬間
当たり前だった平和が壊れた。
遠くで、サイレンが鳴った。 最初は気にしなかった。
けれど、音は増えていく。
一つ、二つ、三つ。
光「……多くないか?」
赤色灯がいくつも走り抜けていく。救急車。パトカー。明らかに異常な数。
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周りの人たちもざわつき始める。立ち止まる人。スマホを向ける人。空気が、少しずつ変わっていく。
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「逃げて!!」
突然の叫び声。振り向いた瞬間、人の流れが一気に逆転し。全員が、こちらへ走ってくる。
光「なんだよ……」
その答えは、すぐに現れた。
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建物の影から現れた異形。人の形をしているのに、人ではない。歪んだ体。異様な存在感。
怪人。
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光「うそだろ……」
足が止まる。
目が合った。
次の瞬間、怪人が一気に距離を詰めてくる。
光「っ!」
逃げる。でも、速い。振り上げられる腕。間に合わない、そう思った瞬間。
一人の少女が飛び込み光を庇った。
葵「……大丈夫?」
やわらかい声。目の前に立っていたのは、制服に袖を通しているボブカットの少女だった。肩のあたりで揃えられた髪が、ふわりと揺れる。少しだけ振り返るその表情は、どこか落ち着いていた。
葵「ケガしてない?」
光「え……?」
状況が追いつかない。少女は軽く息をついて、前を向く。
葵「ここは危ないから逃げて。」
彼女はまるで日常の延長みたいな軽さでそう言う。そして腕になぞの機械を装着する。
葵「――発動」
光「…発動?」
光が彼女を包む。ボブの髪がふわりと浮かび上がる。次の瞬間。彼女は姿を変え、距離を詰め、怪人を叩き込む。圧倒的な速度、力。
光「な……」
光はただ、見ていることしかできない。
葵「はぁぁぁぁ!」
少女の声に合わせるように腕にはエネルギーが溜まっていく。
《ブラストインパクト》
怪人は必殺技を食らい消滅した。しかしあらゆる方向から怪人は現れる。
葵「早く逃げて!」
彼女の声が呆然としていた光を現実に戻した。光は声に従い逃げ惑った。
どこに行っても怪人と遭遇する。光は絶望に乗り込まれていた。それでも生きるには逃げるしかない。走る。息が苦しい。足が重い。それでも止まれない。
角を曲がった瞬間。足元で、何かが光った。
光「……なんだ、これ」
拾い上げる。小さな装置。何かは分からないが、光はこれを使わないといけない気がしていた。
光「これってさっきの子が使ってた……」
その時目の前で大爆発が起きる。光は狼狽える。爆炎の中から怪人が現れる。
光「やめてくれぇ!」
なぜか応答もなく、こちらに向かっても来ない。だが目の前にいるのは混乱を起こした張本人。光は恐怖を拭えずにいた。
光「やられる前にやらないと…!」
光の顔が恐怖に染まる。
光「はぁぁぁぁ…」
「あの子は発動って言ってた……なら…!」
光が覚悟を決める。自らの命を守るため。
光「発動!」
光の体がひかりに包まれる。
《バランス》
怪人が突っ込んでくる。反射的に腕を振る。衝撃。怪人が吹っ飛ぶ。
光「は……?」
光は自分がやったことを理解できていなかった。
怪人「そちらから来るならば容赦はしない。」
低く歪んだ声。次の瞬間、地面を蹴る。
光「っ!」
速い。さっきまでとは明らかに違う速度で距離を詰められる。反射的に腕を上げる。衝撃。吹き飛ばされるのは、光の方だった。
光「ぐっ……!」
地面を転がる。痛い。さっきまで感じなかった衝撃が、今ははっきりと体に伝わる。
怪人「未熟……」
ゆっくりと近づいてくる。
光「……なんでだよ……」
立ち上がる。さっきは倒せた。なのに、今は通用しない。
分からない。考えてる暇もない。怪人が再び突っ込んでくる。今度は横に避ける。ギリギリでかわす。
光「はぁっ……!」
勢いのまま拳を振る。当たる。だが、弱い。
怪人「遅い」
カウンター。腹に叩き込まれる一撃。
光「がっ……!」
息が詰まる。そのまま後ろに吹き飛ぶ。視界が揺れる。立てない。
光(なんで……なんで俺はこんなに弱いんだ……)
恐怖が押し寄せる。体が震える。怪人が、止めを刺すために腕を振り上げる。その瞬間。頭の中に、ある光景がよぎる。
「今日テストだってー」
「えー、やだー」
コンビニの小学生。笑っていた。
家族である兄、祖母との思い出。
光「……っ」
歯を食いしばる。
光「……やられるわけには……いかねぇだ ろ……!」
立ち上がる。足は震えている。それでも、前に出る。
怪人「……」
光には怪人がひどく疲労し、限界が近いように見えた。そして光かま突っ込む。怪人は拳を前に出し応戦。しかし光がギリギリでスライディングし回避。すれ違いざまに怪人の腹に全力のパンチを食らわせる。
怪人「……っ!?」
初めて、怪人の体勢が崩れる。
光「いける……!」
光はパンチ、蹴り、がむしゃらに叩き込む。動きは荒い。でも、止まらない。
怪人「調子に――」
反撃。だが、さっきほど当たらない。
光(見える……!)
ほんのわずかだが、戦いに慣れてきた。まるで体が覚えているようだった。
光「……もしかしたら……!」
光「はぁぁぁぁぁ!!」
腕にエネルギーが集まる。
《アルケミアブレイク》
全力で叩き込む。爆発的な衝撃。
怪人「――――ッ!!」
怪人の体が崩れる。光に包まれ、そのまま消滅した。
静寂。
光「……はぁ……はぁ……」
立っているのがやっとだ。手が震えている。
光「……勝った……のか……?」
その時少し遠くから光を見つめる青年がいた。
凛「あれは俺が落とした……」
青年は少し考え込み言った。
凛「もしかすると協力できるかもしれん……泳がせるとするか……」
そういい残し青年は姿を消した。
???「ヴァルゼイン様!」
暗がりの中、一人の怪人が頭を垂れている。
??ら「この戦いで奴らに甚大な被害を与えました。しかし我ら怪人最強のウォリアーが撃破されました。」
わずかな沈黙の後、謎の男が話す。
ヴァルゼイン「ウォリアーを倒しただと?そこまでの実力者が…まぁいい我々の計画は順調に進んでいる。」
光はまだ裏でうごめいている闇を知る由はなかった。そして光はこれから世界をかけた戦いに巻き込まれることになる。
光は世界を照らし、希望を灯す者
ーーーーー
世界を崩壊へ導く者
どちらになるかはまだ先の話。
第1話「照らした」完




