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アルケオン 第二章 「感情の色を探して」  作者: れんP


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描き出す刃、次なる色は好奇の地へ

「アルケオン 第二章 感情の色を探して」


彩葉たちの活躍から、十年――。

世界は大きな戦乱もなく、静かな平和を取り戻していた。


日本・大阪府大阪市。

その街に、一人の守護者が存在していた。


イラストから生まれた守護者――ユズ。


絵を描くことを愛する彼女は、

しかしひとつの欠落を抱えていた。


それは――

“色で感情を表現できない”こと。


どれだけ描いても、そこに宿るはずの“想い”が分からない。

色が、ただの色にしか見えないのだ。


そんなある日、ユズは一体の想霊と出会う。


苦しみの上位想霊――

感情体「サファリング」。


感情から生まれる存在である彼女は、

ユズの“欠落”に興味を抱く。


そしてユズもまた、

“感情とは何か”を知るため、彼女と共に歩むことを決める。


タブレット端末を手に、

二人は旅に出る。


喜び、怒り、悲しみ、愛――

さまざまな感情から生まれる“想霊”を探すために。


これは、色を知らない守護者が、

“感情の色”を探し出す物語。


そして――

世界に隠された、新たな異変へと繋がる物語でもあった。

新潟の海は、夕焼けに染まっていた。


 


静かな波の音の中——


 


ユズは、ゆっくりと息を吐く。


 


 


「……殺意、ちゃんと知れた気がします」


 


 


その声には、


 


どこか確かな実感が宿っていた。


 


 


マーダラスは腕を組み、軽く頷く。


 


 


「そう。ならいい」


 


 


相変わらず淡々としているが、


 


その目はどこか満足げだった。


 


 


 


ユズはふと、


 


ポケットからタブレット端末を取り出す。


 


 


「……ちょっと、いいですか?」


 


 


その場に座り込み、


 


ペンを走らせる。


 


 


画面に描かれていくのは——


 


マーダラスの姿。


 


 


だが、それだけではない。


 


 


背景には、


 


あの空間で見た“殺意の色”。


 


 


黒を帯びた深紅が渦巻き、


 


鋭い刃のような線が走る。


 


 


荒々しく、


 


けれどどこか整った構図。


 


 


 


数分後——


 


 


「……できました」


 


 


ユズは画面をみんなに見せる。


 


 


 


サファリングが覗き込み、


 


小さく呟く。


 


 


「ん……いい」


 


 


 


プライドも目を細める。


 


 


「ただの怖い色じゃないわね」


 


 


「ちゃんと“意味”がある描き方してる」


 


 


 


マーダラスは少しだけ目を見開き、


 


 


「……へぇ」


 


 


それだけ言った。


 


 


だがその一言には、


 


わずかな興味が含まれていた。


 


 


 


ユズは少し照れくさそうに笑う。


 


 


「感じたもの……そのまま描いてみました」


 


 


 


波が打ち寄せる音が、


 


また静かに響く。


 


 


 


しばらくの沈黙の後——


 


 


プライドが口を開いた。


 


 


「で、これからどうするの?」


 


 


 


サファリングがすぐに答える。


 


 


「ん、次」


 


 


 


ユズが顔を上げる。


 


 


「次……ですか?」


 


 


 


サファリングは頷き、


 


 


「次の目的地——福岡」


 


 


 


その言葉に、


 


ユズの目が少しだけ見開かれる。


 


 


 


「福岡……」


 


 


 


プライドが続ける。


 


 


「そこにいるのは——」


 


 


 


一拍置いて、


 


 


「好奇心の上位想霊感情体よ」


 


 


 


ユズは少し考えるように呟く。


 


 


「好奇心……」


 


 


 


未知を求める心。


 


 


新しいものに惹かれる感情。


 


 


 


これまで触れてきた感情とは、


 


また違う色を持っていそうだった。


 


 


 


その時——


 


 


「……なら、私も行く」


 


 


 


マーダラスが言った。


 


 


 


「え?」


 


 


ユズが驚いて振り向く。


 


 


 


マーダラスは肩をすくめる。


 


 


 


「ちょっと興味あるし」


 


 


「それに——」


 


 


 


少しだけ視線を逸らし、


 


 


「退屈だから」


 


 


 


プライドがくすっと笑う。


 


 


 


「素直じゃないわね」


 


 


 


サファリングも頷く。


 


 


 


「ん、同行決定」


 


 


 


ユズは嬉しそうに微笑んだ。


 


 


「よろしくお願いします、マーダラスさん」


 


 


 


「……呼び捨てでいい」


 


 


 


ぶっきらぼうな返事。


 


 


だがその声は、


 


どこか柔らかかった。


 


 


 


 


——数時間後。


 


 


 


駅のホーム。


 


 


夜の空気の中、


 


新幹線が静かに待っている。


 


 


 


ユズたちは乗り込み、


 


席に腰を下ろす。


 


 


 


発車のベル。


 


 


 


そして——


 


 


列車はゆっくりと動き出した。


 


 


 


窓の外に流れる夜景。


 


 


 


ユズはそれを見つめながら、


 


小さく呟く。


 


 


 


「次は……好奇心」


 


 


 


その先に、


 


どんな色が待っているのか。


 


 


 


胸の奥で、


 


新しい感情が芽生え始めていた。


 


 


 


列車は、


 


福岡へ向かって走り続ける。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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