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アルケオン 第二章 「感情の色を探して」  作者: れんP


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勇気の色に触れて

「アルケオン 第二章 感情の色を探して」


彩葉たちの活躍から、十年――。

世界は大きな戦乱もなく、静かな平和を取り戻していた。


日本・大阪府大阪市。

その街に、一人の守護者が存在していた。


イラストから生まれた守護者――ユズ。


絵を描くことを愛する彼女は、

しかしひとつの欠落を抱えていた。


それは――

“色で感情を表現できない”こと。


どれだけ描いても、そこに宿るはずの“想い”が分からない。

色が、ただの色にしか見えないのだ。


そんなある日、ユズは一体の想霊と出会う。


苦しみの上位想霊――

感情体「サファリング」。


感情から生まれる存在である彼女は、

ユズの“欠落”に興味を抱く。


そしてユズもまた、

“感情とは何か”を知るため、彼女と共に歩むことを決める。


タブレット端末を手に、

二人は旅に出る。


喜び、怒り、悲しみ、愛――

さまざまな感情から生まれる“想霊”を探すために。


これは、色を知らない守護者が、

“感情の色”を探し出す物語。


そして――

世界に隠された、新たな異変へと繋がる物語でもあった。

静寂が、公園を包んでいた。


 


先ほどまでの激戦が嘘のように、


 


風だけが静かに吹き抜けていく。


 


 


「……終わった、の」


 


 


カレッジが小さく息を吐く。


 


 


剣を下ろし、少しだけ力を抜いた。


 


 


サファリングは周囲を見渡しながら呟く。


 


 


「……敵の反応、消失」


 


 


プライドも肩をすくめる。


 


 


「厄介だったけど……まぁ、勝ちは勝ちね」


 


 


 


ユズは、まだその場に立ち尽くしていた。


 


 


「……あの人」


 


 


フラットウッズ。


 


 


あの“空虚な感情”。


 


 


 


「何も……なかった……」


 


 


ぽつりと漏らす。


 


 


その声に、カレッジが優しく返した。


 


 


「……でも、ユズは何かを感じたんでしょ?」


 


 


ユズは、少しだけ迷ってから頷く。


 


 


「うん……少しだけ」


 


 


「まだ分からないけど……」


 


 


 


プライドが腕を組む。


 


 


「それでいいのよ」


 


 


「最初から全部分かる方が不自然なんだから」


 


 


 


サファリングが、静かにユズの方を見る。


 


 


「……次、進むべき」


 


 


 


その言葉に、


 


ユズは顔を上げた。


 


 


 


「……うん」


 


 


 


そして——


 


 


カレッジが、ユズに手を差し出した。


 


 


 


「ユズ」


 


 


 


「私のも……見てみる?」


 


 


 


その手は、どこか温かくて。


 


 


まっすぐだった。


 


 


 


ユズの目が少しだけ見開かれる。


 


 


 


「……いいの?」


 


 


 


「うん」


 


 


カレッジは、迷いなく頷いた。


 


 


 


「知りたいんでしょ?“感情”」


 


 


 


 


ユズは、その手を取った。


 


 


 


触れた瞬間——


 


 


 


世界が、沈む。


 


 


 


意識が、深く深く落ちていく。


 


 


 


光が消え、


 


音が消え、


 


 


やがて——


 


 


 


足が、地面に触れた。


 


 


 


 


そこは——


 


 


 


一面に広がる“色”。


 


 


 


暖かく、まっすぐな光。


 


 


 


迷いのない、輝き。


 


 


 


 


「……ここは」


 


 


 


ユズがゆっくりと歩き出す。


 


 


 


その空間は——


 


 


“勇気の色”に満ちていた。


 


 


 


 


中央へと進む。


 


 


 


そこには、


 


 


ひとつの台座があった。


 


 


 


そして——


 


 


 


その上に置かれているのは、


 


 


ひときわ強く輝く宝玉。


 


 


 


 


「……これが」


 


 


 


“感情石”。


 


 


 


 


ユズは、そっと手を伸ばす。


 


 


 


触れた瞬間——


 


 


 


声が、響いた。


 


 


 


 


『——怖くてもいい』


 


 


 


ユズの体が、びくりと震える。


 


 


 


『逃げたくてもいい』


 


 


 


 


優しく、しかし強い声。


 


 


 


 


『それでも、一歩踏み出すこと』


 


 


 


 


『それが——勇気だ』


 


 


 


 


その瞬間。


 


 


 


光が、ユズの中へと流れ込む。


 


 


 


怖いという気持ち。


 


 


 


でも進むという意思。


 


 


 


 


「……これが……」


 


 


 


ユズの瞳に、わずかに光が宿る。


 


 


 


「勇気……」


 


 


 


 


今まで曖昧だったものが、


 


ほんの少しだけ形になる。


 


 


 


 


温かい。


 


 


 


でも、強い。


 


 


 


 


その感覚を胸に刻み——


 


 


 


意識が、浮上する。


 


 


 


 


気づけば——


 


 


公園に戻っていた。


 


 


 


 


「……どうだった?」


 


 


カレッジが少しだけ不安そうに聞く。


 


 


 


ユズは、ゆっくりと頷いた。


 


 


 


「……分かった気がする」


 


 


 


「怖くても……進むこと」


 


 


 


「それが勇気なんだね」


 


 


 


カレッジの表情が、少しだけ柔らかくなる。


 


 


 


「うん、それでいいと思う」


 


 


 


 


サファリングが一歩前に出る。


 


 


 


「……次の目的地」


 


 


 


ユズが顔を上げる。


 


 


 


 


「新潟県」


 


 


 


 


短く、しかし確かな言葉。


 


 


 


 


新たな場所。


 


 


新たな感情。


 


 


 


ユズの旅は——


 


 


まだ続いていく。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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