これがボク。
『じゃあ、再会を祝して乾杯!』
ケイちゃんの乾杯の合図で野外のバーベキュースペースに集まった一同は、飲み食いを始める。
『おーし!お前ら!飲むぞおっ!!』
鳴門は相変わらずリーダーシップというか、場を仕切るのがうまい。飲み始めて5分と経たないうちに早飲み大会に場が変わった。
『はあ、肉美味しっ!』
成島花梨は周りに女子を囲み、肉をつまんでいる。
『成島さん、よりキレイになったよねえ!』
『何食べたらそんなキレイになれるのお?』
『ええ?そんなことないよお。うふふ。』
『あー、ご当地ビール飲みてえ。』
『神宮寺さん、このビールご当地ものらしいわよ?』
『うーん、なんだかちげえんだよなあ。』
神宮寺は男女グループに囲まれながら、物足りなさそうにビールを飲んでいる。
僕も本来ならこの場に居たかった。
あんなことがなければ、不自由なく飲み食いできたのだ。僕もこのクラスの一員として、友達に囲まれていたはずなのだ。
『大丈夫よ、鹿島。』
『ナルちゃん。悔しいよ。』
『鹿島・・・・。』
『僕はたしかに彼らと友達だったんだ。あんなことがなければ、、、』
『鹿島、キミは勘違いしているよ。キミと彼らの関係はそんな優しいものじゃあ・・・。』
『ナルちゃんはいつも否定するよね。確かにいじめは僕の環境を変えてしまったけど、そうじゃない時期だって、あったんだ!!』
僕は動かない目をキッとナルちゃんに向ける。
『・・・ごめん、鹿島。』
『いや、いいんだ。友達だった時期はあったけど、首吊り事件後はもう復讐の対象としてしか見てないよ。でも、幸せな時代は確かにあった。クラスの一員だった時はあったんだよ。』
『鹿島・・・。』
『ナルちゃんも、食べてきなよ。ほら、僕こんな体だからさ。』
ナルちゃんは涙をポロポロ流し始めた。
『ごめんね、鹿島。私が不甲斐ないばかりに・・・・。』
『今はさ、復讐を完遂することだよ。幸せな思い出を抱きしめたいからさ。いじめた奴らがそれを阻害してるだけ、ただそれだけだからね。』
『じゃあ。行ってくるよ。』
『うん、武運を祈るよ。』
ナルちゃんは緑の缶を握りパーティー会場へ戻っていった。
ナルちゃんを見送る。
そう。僕には幸せな時代があったのだ。友達としてみんなと接することができた時期もあったのだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
『うぃ、飲みすぎたなあ。』
部屋飲みに切り替わり、かつてのクラスメイトの大半がブッ潰れた最中。
『夜中2時か・・・・。』
そんな時間に、少し夜風に当たりたく外に出る。
満点の星空だ。酔いが覚めていれば最高の気分で過ごせたのだろう。
『ん?』
辺りは真っ暗だが、野外のバーベキュー会場がまだうっすらとあかりがついている。
誰かいるのだろうか。
『はあ。中途半端な時間に目覚めちゃったし。ちょっと飲み直すかね。』
ざっざっと、砂浜を踏む。誰かがいる。
『うむーあれは。』
さらに近づく。ざっざっと、砂浜を踏む。
『ふむ、神宮寺か?』
砂の音が聞こえるくらいの音なのに、こちらを振り向かない。
『おーい、じんぐーーーー』
そこには腹を鞠のように膨らませながらも、緑色の缶ビールを飲み続けている神宮寺がいた。
『オエッオエエエエッ!!』
あたりには吐き散らかされたビールで満ちている。胃液も混じっているのか酸っぱい匂いが充満している。
『ははっ、あほお、美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い!!!』
目が虚になりながらも無心でビールを飲み続けている。
『じ、神宮寺・・・・。』
『あれえ?ビールないービールないよーああ!ナルト!ナルちゃんじゃーん。ビールちょーらいよお!ビール!ビール!さっきくれたじゃん!ビールだよおおおお!!!』
まるで餌をねだる、犬のように舌を出して近づいてくる。
『誰か!誰か、神宮寺が!神宮寺が!』
屈みながら、迫ってくる神宮寺。
胸元がだらしなく見えている。双丘が2つ。
心臓が高鳴る。
(いや、これはこれで。)
『なあ、神宮寺?ビール欲しいか?』
『ビール!ビール!ビール!』
『そうかあ。じゃあビールあげるよ。』
『ビール!どこおっ!』
『僕の部屋に来いよ。うーんと、酔わせてやるから。』
僕は真島のような下衆ではないと思っていたけども、今ならあいつの気持ちはよくわかるな。
神宮寺の手を引いて部屋に連れ込んだ。




