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その者、”異端”につき。  作者: 月乃あかり
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先輩と、


「ただいま戻りまし…たぁ!?」


地に足が完全に着く前に、先輩にタックルされた。


「すっっげーーー!!まじ凄いよおまえー!」


俺を地面に押さえ込み、上で興奮するのは…えぇとさっき5年生だって指差されてた人の中に居たわ。


まるでペットを扱うように俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でてくる。

その間も「凄い」やら「最高!」「頭いい!」やら…ここまでくると恥ずかしい。



「あ…あの、こっちのほうにも魔法陣書かないと…」

「おぉ、ごめんごめん!」

「いえ…どこか良い場所ありますか?」


「こっちだ、さっき皆で作った」



イケメン先輩がタックルした先輩を剥がすと苦笑いしながら手を差し出してきた。

俺もそれに応えて手を握ると、立ち上がって同じ様に笑う。

歩き出すイケメン先輩に着いていくと、草むらの中に入って壁側の方に止まる。

と、少しの違和感に気付く。



「あ、疎外魔法かけましたね?」

「…よくわかったなー、周りから見てもわからないように視界疎外の掛けたんだ。ここに頼む」


「はい!"物質化"」



空気を掴むようにクッと握り緩めると、中からチョークが現れる。

それを改めて握り直すと地面に魔法陣を書いていく。

さっき公園に書いたのと同じもの。…内容は少しだけ違うものがあるが。


ちなみにコレ、キールに教えてもらった応用的オリジナル魔法陣。

消えないようにちょくちょく消去防止な作業もしながら着々と魔法陣を書き進める。


途中でふと思い出したんだが、



「えっとー…発動スペルは何が良いですか?」

「そんなのもあったねー!ちょっと待ってて!…みんなぁー!?」



いつの間にか横にいたらしいタックル…先輩が、他の人達に聞きに行きにその空間から出ていく。



「あの先輩、元気ですね…」

「おそらく元気をとったら何も残らないような奴だよ…」

「そ、そこまでいう…」


もうにぎやか通り越して騒がしいんだけどね…

なんてしみじみと言うもんだから思わず笑ってしまった俺。

俺につられて先輩も笑った。


その間ガリガリと地面に書き続ける俺を、イケメン先輩はジッと見ながら話す。

気にしないように書くが、実際凄く気になってたり…


な、なんなの…


「聞いてきたけど何でも良いってー!」

「………了解です。(一番困る…) じゃあ、んー…簡単にレリーズで」


「あれ、それって解放?」

「はリリーズです。少しもじっただけだけの方が覚えやすいかなと」



この方がもし魔法陣がばれても消される事はない。

それにキールのつくった魔法陣は応用だし、組み込んだ中に移動以外のも入れたから、解錠はそう簡単には出来ない。…筈。


―てかそもそもこの類のはスペル発動にしちゃえばスペルがわからないと難易度かなり高くなるしね。



「よし、と。これで近くの公園の林の中に出れると思います」

「あぁ、ありがとな」



ポンと自然と頭に手を置かれる。

…なんだか、少し落ち着くのは何故だろう


そんな(一方的な)雰囲気を壊すべくか続いてタックル先輩から抱きしめられて、

ちょっと、いや、かなり苦しい。



「本当ありがとうねぇ、一年生くん~すっごく助かったぁ~」



なんか先輩に見えない懐きよう…


犬だ、大型犬に見える

尻尾がうっすら…見えなくもない…?


なんだかそれはそれで良いかなと放置して、そのまま外へ出ていく。

外には他の先輩達がキラキラとした目で俺を見て、そしてお礼を言われた。

スペルと注意事項を説明して、更に喜ばれたもんだから純粋に嬉しい。



「じゃあ、行ってくるわー!」

「おう!」

「いってら~」



ほとんどの先輩たちは外に出たが、イケメン先輩とタックル先輩は残ったまま。

そして何故か俺を挟むように座る二人。


タックル先輩はニコニコと人懐っこい顔で俺に質問を問い掛けて来る。



「凄いねー、一年生なのに色々出来るんだねぇ」

「はぁ、まぁ…」

「家庭教師とかいたの?」

「はぁ、多分…」

「なんで他人事?あとどれくらい魔法使えるのー?」



次々とされる質問。

それにはつい似たような返事ばかりしてしまう。

先輩と俺の会話を聞いてかイケメン先輩が口を開いた。


「そんなに突っ込んで聞くなよ、ロロ。今更だけど一年、名前は?

 俺は見た感じわかると思うんだけど、国外から来た、タカナシ=ルカだ」

「僕はロナウリ-=ロベルト、ロロって呼んでねー!こっちはタカちゃんでもルカちゃんでも」

「…タカちゃんてロロ先輩しか言わないですよね」

「タカちゃんの敬語キモーイ!」

「殴るぞ」

「わは」


「…………」



なんかお笑いを見去られてる気分になる二人だなぁ。

ちょっと、ちょっとだけキールと俺みたいと思いながら、良い友達なんだなと雰囲気でわかった。



「そういえば、君の名前は?」

「ぁ、えぇと、…セラン=レンジェーナです」



途端、二人の笑い声はピタリとやんだ。

胸の中が一気にヒヤッとした。


あぁ、ホラ。

さっきまでの穏やかな雰囲気、ぶち壊し。


二人の笑顔が固まる。見開かれたその目に俺が映る。


あぁ、俺ってそんな存在なんだと、思い、知らされる。



「お前が……レンジェーナ…?」

「え…でも君、今まで魔法…」

「そう、ですね…」

「噂だと、守護聖霊も居ないって…」



あ、やっぱり全部知れ渡ってるのね。


あとで自分の情報収集もしなきゃだなぁ、今後の為にも。

自分の立ち振る舞い様とかも知らなきゃいけない。


とりあえず、笑って返してみる。



「い、居なくても、出来るっぽいですよ?

俺魔法使えないって思ってたから解明好きになった訳ですし」



魔石のことも、知ってるんだろうな


反応を見てみると、二人とも納得したようで。

まぁ…ルカ先輩はちょっと眉間にシワ寄せてるけど、ロロ先輩はもとの笑顔に戻ってる。

って


……………あれ?


「あの…二人共、怖いとか、気持ち悪いとか、ならないんですか?」



今まで(といっても主に幼少期だが)これ以外の反応は無かったから



「ん?なんでぇ?」

「だ、だって俺……」


"異端"の…


「別に良いじゃん!いい子だし、可愛いし」

「…か……かわ……?」



ロロ先輩は満面の笑み。

つい顔がカッと赤くなるが、先輩に笑われる。だって初めて面と向かって言われた言葉だ。

照れかなんか色々な感情が込み上がってきて、きゅっと胸が締め付けられる。



「…てことはお前、クラスに友達居ない系だろ?」

「はぁ…まぁ…」

「じゃあ、俺ら友達一号と二号だね!ぁ、ちなみに俺一号!」

「え…」



俺は目を見開く。

ドクン、ドクンと胸が高鳴る。


い、良いの…?



「お、俺なんかが、友達で、いいの……?」



友達。

…友達?


どんな表情をしていたんだろう。ルカ先輩は俺を見るとプッと笑って。



「―…決まってんじゃん!」

「よろしくね!」



俺より少し大きな手が、二つ頭の上に置かれた。

そのままくしゃっと掻き混ぜられて、ぐしゃぐしゃになって


…ちょっと、涙が出そうになったのは内緒だ。


ね、キール、俺、友達ができたよ。


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