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-少年編- 四話

「かなり、遅くなってしまったな・・・」


そう呟きながら家に戻ると、ユウナが俯いてイスに座っていた。


「まだ、起きてたのかい?」

「おかえりなさい。お兄ちゃんはどこに行っていたんです?」

「少し・・・ね。僕はもう眠いから寝ることにするよ。おやすみ」

「あ・・・はい、分かりました・・・。」


この事はユウナには話さない方が良いだろうと、僕は逃げるように部屋に向かった。

いつか話すことにはなるだろうけど、今は良いだろう。そんなことを思っていた。

翌日も朝早くから家を出て修行場に向かった。




―――――――――――――ユウナside―――――――――――――


今日も朝早くからお兄ちゃんが家を出て行きました。

あの日、村が壊された日から「お兄様」ではなく「お兄ちゃん」と呼ぶようになりました。

自分でもちょっと驚いていますが、お兄ちゃんは何も言いません。

そんなことよりも、お兄ちゃんは私に隠し事をしているような気がします。

ここ2ヶ月ほど、毎日朝早く出かけて、夜遅く帰ってきます。

今日も私は学校の授業を受けていました。

お昼休みになり、私のお友達のカレンが声を掛けてきました。


「またぼーっとしてるの?相変わらずなのね?」


カレンとの出会いは1ヶ月前に周りの男の子にからかわれていた所を助けてもらいました。その時にお話をして仲良くなり、今では親友とも呼べるくらいの仲良しです。


「そうですか?」

「あーダメダメ!敬語なんてやめなさいっていつも言ってるでしょ?」

「え、は・・・うん、分かってるつもりなんだけど、癖になってて。」

「あんた・・・まさか、お兄ちゃんにも敬語使ってるの?兄妹なのにおかしいと思うよ?」

「そうかな?」

「そうだよ。」


即答に驚いたけど、カレンが言うなら本当なんだろうと思う。


「今度、ユウナのお兄ちゃんに会わせてくれない?えっと、セツナって言ったっけ?一言言っとかないとダメだわ。ユウナが心配してるって。」

「い、いいよ!そんなことしなくて!!」

「ダーメ。今日会いに行くわ!」

「ダメよ。お兄ちゃんは今日も家に居ないから・・・。」

「そうなの?じゃ、明日学校が休みだから明日にする。」

「いや、その、いつも朝早くから居ないの。朝日が見えるころに出かけてるから。」

「むー・・・絶対何かあるわねぇ・・・よし!今日家に帰ったら寝なさい!早く起きて一緒に後をつけましょ!」

「え!?」

「よし!決まり!」

「私まだ、何も」

「こういうのは、早く方がいいの!絶対そうなの!」


こんな感じにカレンはとても活発で、言った事は曲げずに即実行する。そんな女の子です。

私はお兄ちゃんの迷惑にならないか違う意味で心配になっていた。


―――――――――――――――――――――――――――――――


今日も家を出る。そう、何者よりも強くなるために修行する。

叔母さんに言われた事を思い出す。


「あんた、ギルドの仕事を請けてお金を入れてくれるのは有り難いけど、少しはユウナと遊んであげなよ?ユウナはユウナで結構心配しているんだからね!」

「はい、分かってはいるつもりなんですが・・・」


セツナは、ギルドにて魔物の討伐依頼を請け、修行の成果を確認している。

そういえば、ここ最近ユウナと喋っていないな。いや、今はただ強くなることだけを考えよう。

そのために零が修行をつけてくれているんだ。

さて・・・どうやら、家を出た辺りから誰かにつけられている気がする。


「困ったな・・・どうやらユウナともう1人は誰だろう?友達か?」


町の外に出る前に撒かないと行けないが、撒いたとしても、町の外まで行きそうだったのが怖かった。

仕方なく、左に曲がる。ここは行き止まりの場所だ。


「あれー?ここに曲がったと思うんだけど。」

「確かに曲がってたよ・・・?」

「ああ、そうだな。確かに僕は左に曲がったよ?それよりも、どうしたんだ。何か用か?」

「っ!キャッむぐっ」

「おっと、大声は勘弁な。」

「え?お、お兄ちゃん!?」


慌てて女の子の口を塞ぐ。


「落ち着いたか?全く何をしてるんだか・・・」


そう言いながら女の子を解放した。


「ちょっとあんた!」

「ん?何だい?僕も暇じゃない。用があるならできるだけ早く」

「そうじゃないでしょ!?ユウナが心配してるっていうのにその態度は一体何なの!?」

「ちょ、ちょっとカレン」

「止めないで!あんた、少しはユウナのこと」

「ユウナの事はよく考えている。だからこそ、ユウナと遊んでいられない。」

「意味分からないわ!」

「君は・・・カレンと呼んでいいかな?」

「え、あ、うん。いいわよ?」

「僕達の事情は聞いてるかい?」

「え、まぁその・・・聞いてるわ・・・何て言ったらいいか分からないけど・・・」

「そう・・・。結論から言うと、僕は町の外で修行している。この町は治安も良いし、兵士だって居る。もし、町が襲われても問題はないかもしれない。でも、何の備えもない状態ってのは僕は嫌なんだ。だからギルドの仕事を請けながら修行をしてる。それだけだよ。」

「「・・・・・・・」」

「分かったなら家に戻るんだ。いいね?」

「お兄ちゃん、私も、強くなりたいです!」

「ダメだ。ユウナには学校があるだろう?」

「で、でも!」

『良いではないか。修行中に町に魔物が来たら力を持たぬものはすぐ死ぬことになる。ならば、少しばかり抗う力程度は必要だと我は思うぞ。』

「・・・零か、何を余計な」

『そなたにこれをやる。』

「え?これは・・・杖と本・・・?」


零は1本の杖と数冊の本を渡した。


『それで独学ですれば良い。』

「あ、ありがとうございます!」

『条件として、これ以上、セツナの修行を妨げはせぬようにな。セツナは自ら望んで我と修行をしている。守れぬようならそれは回収する。不満か、セツナ?』

「いや、零が言うなら構わない。」

「ちょっと・・・零って・・・伝説の竜の零なの?」

『セツナ、遅れた分を取り戻す。すぐに来い。』

「分かった。」

「ちょっと聞きなさいよ!!」

『1つ言っておく。そなたは、その杖と本には触れぬでないぞ。資格を持たぬ者が触れれば死ぬことに繋がるからの。では、失礼する。』

「ユウナ、ほっといて悪かった。心配をかけたくなかったんだ。すまない。悪いけど、時間がない。行ってくる」

「い、いってらっしゃい。」


セツナは走って修行場所に向かった。

取り残された2人はというと


「ユウナ・・・まぁ私難しいことわかんないけど、良かったわね。」

「あ、うん、ありがとう。」

「しかし、あの零ってやつムカツクーーー!」

「あ、あはは」




『何も言わぬのだな・・・』

「零が言った事も事実だからだ、修行中にでも襲われたら、場合によっては間に合わなくなる。いくら強くなっても守れなければ意味はない。なら、少しでも対抗できる力がある方がいい。その意見には賛成だ。」

『汝は・・・、まぁ良い、次は槍の扱いの修行をそろそろ行うことにしよう。剣と双剣の技は既に習得済みのようだからの』

「ああ、頼む。」


零は思っていた。セツナは本当に子供に見えない、いつもどこかに遠慮しているように見える。ただ、この修行だけは、セツナの最初で最後の我が儘なのだろう・・・と。


そろそろ戦闘するところが書けそうです。

物語のイメージは大体出来上がっていますが・・・。

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