3.決闘(レイン視点)
またもや不定期………
リアルが忙しいのもあり余計に遅筆です。
放課後、ボク達は魔法訓練場に居た。
朝に決めたカレイド伯爵令息とルーク様の決闘を執り行うためだ。
さて、ここまでは予定通り…問題はカレイド伯爵令息がどの程度の強さで、ルーク様がどこまでやれるのか…だなぁ……
あのカレイド伯爵令息、口も頭も悪いが腕は確からしいし。
その2人は、魔法訓練場の真ん中に向かい合って立ち、間にはフェイ様が審判役で立っている。
ボク達は観客席代わりに監視室から様子を見ていた。
…反対側には愚殿下と自称ヒロインが居るな。
流石にあれだけ騒いでたら気付くか…にしても昨日の今日でよく見にこれたな?
図太い………
「えー、2人ともご存知かと思うけど、僕が次期魔王、魔王候補のフェンネルだ。」
「よろしくお願い致します。」
「ケッ。精々公平にやってくれよ?
この腑抜けがお前の知り合い側の人間だからって贔屓したら許さねぇぞ。」
「はははっ!
候補とは言え魔王である僕にそんな物言いを出来る人間なんて珍しいね♪
安心したまえ!これでも魔王!公平なジャッジをするとも!!」
「は?なんで嬉しそうなんだよ……やっぱ魔族ってのは気味わりぃな……
「……。」
(はぁ………魔王殿下がフェンネル様でなければ笑いながら斬られていてもおかしくないのですがねぇ………
まったく、本当になんなのでしょうか、この厚顔無恥なる愚か者は。
ですが実力は本物…気合いを入れねば……!)
ったく、カレイド伯爵令息は魔王殿下にまで噛み付くのか。
本当に呆れるほど馬鹿野郎だな………
フェイ様はまったく気にしてないどころか楽しそうだから良いけど。
そのフェイ様がルールをのべていく。
あぁ、ちなみにこの監視室には魔法訓練場の音声が全て聞こえているから3人の会話もしっかり聞こえているんだ。
「今回はこの僕が審判役だから、2人とも死ぬ事は無い。
安心して死合をしてくれたまえ。
今回はルークさんが【退魔騎士】なのも考慮して魔導具の使用もありだ。
そうでないと彼が武器を使えないしね!
おっと!なら模擬武器でいいじゃないかって?
ははは……退魔騎士舐めてんのか?
って事で紫水晶の棒を使いたまえルークくん!!」
「はい、ありがとうございます。」
「ケッ、さっそく依怙贔屓か?」
「まぁまぁ♪君も魔導具を使えるんだよ?
……その、大事そうに着けている指輪もね?」
「!?」
「僕はソレが何なのか知ってる。
…知ってて見逃してやるって言ってんだ、むしろ感謝しろ。
ソレは、使い方によっちゃあ本気の退魔騎士にも勝てるだろうからね。」
「…ケッ。」
指輪…?なんの事だ?
しかし、フェイ様がそう言うとあのカレイド伯爵令息は素直に大人しくなったし、なにやら怪しいな……
「あぁ、ただし、回復アイテムの使用は禁止だ。
試合が長引いてもつまらないしね!
アイテムなんぞ!使ってんじゃねぇぇぇぇッ!!」
なんか、心底楽しそうだなフェイ様。
そんなフェイ様は右手を上げた。
「ーでは、次期魔王フェンネルの名において宣言する!
いざ尋常に…勝負ッ!!」
「「っ!」」
始まった!
フェイ様が手を振り下ろすと同時に、2人の騎士は剣を打ち付けた!!
は、速いな………見切れなかったぞ?
流石現職騎士様…対するあの馬鹿も中々だな。
「っ。はぁっ!」
「ハッ。
やっぱり腑抜けか。」
「安い挑発ですね。」
何やら言い合いをしながらも高速で繰り返される打ち合い。
ルーク様の斬撃…いや棒だから打撃か…?は途中で軌道を変えたり突きを混ぜたりを変幻自在に織り交ぜながら攻める。
対するカレイド伯爵令息は身体能力を活かして攻撃をいなしながら的確に急所を狙って力強い一撃を入れようとする。
「小賢しい戦い方は力に自信が無いからか?
そんな小手先の技術でー
ガァァン!!
「グッ!?」
「俺様の攻撃を!」
ガキィィン!
「くっ!?」
「受け止めれるかァァァ!!」
パキィィ…ン…!
「えっ…!?」
「兄ちゃんの武器が…!」
ーは?
嘘だろ……?
紫水晶の棒は、本職の騎士が主力武器で使う物だし、なにより魔導具造りの名手、ウルフェン公爵家お手製だ。
生半可な剣より余程頑丈に出来ているんだぞ?
それが試合開始早々破壊されるなんてそんなのありなのか!?
しかし、それが現実だ。
だけれど、ルーク様はまだ諦めちゃいない。
武器を失ったルーク様は素手で戦う事になり、一気に不利になるけれど、だ。
それに、ルーク様はその柄だけになった物をそのまま持っていた。
「ギャハハハハッ!ざまぁねぇな腑抜け騎士!!
そのまま腕を切り落として完全に引導を渡してやらァッ!!」
「………!」
(今の紫水晶を破壊した一撃……もしや……?)
………いくらなんでも、呆気なさすぎるだろ………?
ルーク様が、そこまで弱いと言うのか………?
まさか、ルーク様の武器が破壊された原因は、最初に魔王殿下が言っていた指輪か……?
しかし、ボクが考察している間にも剣は無慈悲に振り下ろされー
「ハァッ!」
「なっ!?」
ーその斬撃は、剣に受け止められた…!
しかし、その剣も、受け止めた一撃で粉砕される。
「なんだ今のは!?」
「態々説明等致しませんよ。」
更に、ルーク様はその柄だけになった剣を構わず振り抜く。
「!?」
(この手応え…!)
「なるほど?
では、浄化してさしあげましょう!」
「グッ…!」
…?
ルーク様が柄だけになった剣を振るった途端に、カレイド伯爵令息の動きが鈍くなった……?
「…今の実体の無い刃。
闇属性魔法剣技の『アストラルブレイド』、でしたわね。」
「えっ、分かるのですかエリィ。」
まさかのエリィから厨二っぽい発言が出るとは……
イマジンブレイド的な?
※闇属性持ちには魔力の塊であるアストラルブレイドが普通に見えています
「分かりますわよ。何しろ、闇属性魔法を使う者が悪霊に対して放つ基本の魔法剣技ですもの。」
「魔法剣技…なるほどね…
魔力が弱いボクみたいなタイプがメインで使う魔法だね。
正確には魔法と魔術の中間…になるのかな。
"それは一時的に剣に魔力を纏わす事で発動する【魔技】"
ただ、ルーク様やエリィみたいに魔力が高いと剣そのものを生成する魔法になるのだけれど。
そんなルーク様の今の魔技…悪霊を斬った……?
更にルーク様はいつの間にか生成した剣を振るっていた。
「まぁ…魔力の多いルーク様も地属性の【砂鉄の剣】を当然使えますわよね…。」
「なるほど…
さっき相手の剣を受け止めた時に使ったのも魔技だった訳だ。
つまり…ここではルーク様に武器破壊が意味を成さない……
魔法訓練場は建物自体は魔法に耐える為に立派につくってあるけれど、地面はむき出しの土だし。
そうなると砂鉄なんて無尽蔵にあるし、そもそも砕かれた剣に使われていた砂鉄をそのまま使えるからね。
あれ……?でも、それならー
「…エリィ、では何故ルーク様は最初から物理防御である地属性魔法障壁を展開しなかったのでしょうか。
…もしや、何かを知っていて試した…とかですか。」
「そうですわね、恐らくあの指輪…カレイド伯爵令息の指輪は【悪霊に関する何か】、があると思いますわ。」
「つまり、さっきのアストラルブレイドは……
「悪霊を斬りましたわね。
私には見えましたもの。」
「……。」
…嘘だろ…ここに来てエリィにまさかの霊視持ち設定…?
厨二なエリィも可愛いな。
※霊視は闇属性持ちの基本スキルです
「あ、あの、レイン…?
何故このタイミングで私の頭を撫でるんですの…?
う、嬉しくはありますけど………
「あ、ごめんなさい。
エリィが可愛くてつい………
「…今凄く失礼な事を考えていましたわよね?」
「いえいえ、(厨二みたいで)可愛いと思っていただけですよ。」
「わぅ~…こんな時でもイチャイチャするんですねお2人は……
「うふふ♪ブレませんねお2人は♪」
「…ちょっと…羨ましい……
はっはっはっ、存分にうらやましがってくれたまえ。
…うん、フェイ様がボクとすぐ仲良くなったのって
中身が同類だからなんだろうなぁ………
ほらぁ…アルカ様がボクを見る目がバカやってる時のフェイ様を見る優しい目になってるし……
…いや、ボクがフェイ様の影響を受けたのかな。
※元々の気質もあります
と、何だかふんわりしてきた監視室とは別に、魔法訓練場での決闘はルーク様有利で進んでいく。
「ふっ、はっ。
なるほど、やはり、貴方の力はッ!」
「グッゥゥ!!
ルセェッ!死ねやっ!!」
「甘いっ!」
カレイド伯爵令息が"小手先の技術"と評したルーク様の的確かつ最小の斬撃は確実に彼を追い詰めていく。
反対に、力任せなカレイド伯爵令息の攻撃にさっきまでの力強さは無く、ルーク様は受け流したり避けたりを余裕を持ってこなし、更に要所要所に【アストラルブレイド】を入れているのか左手を振るう動作が入る。
エリィ曰く、『手刀でも"刃"判定を出せればアストラルブレイドは発動しますわ。』らしい。
「クソッ!避けんな!」
「…貴方は、戦場でも、そんな事をー
おっ、そろそろ決着かな?
油断はしてないとは思うけれど、余裕綽々、と言った顔(恐らく挑発)でカレイド伯爵令息の攻撃を避けるルーク様。
避けながらも騎士道を語ってる(多分これも挑発)様は師匠みたいでさえあるなぁ…
「ー敵に言えますか?」
「グゥゥ…!クソッ!クソォッ!!」
「はぁ………やはり、貴方は口だけの様ですね……貴方にルゥは……私の可愛いルゥは相応しくないっ!」
そう言いながら、トドメとばかりにすれ違いざまの斬撃を浴びせたルーク様は、更に油断なく剣を構えて反撃に備えた。
「クソ…が………
しかし、相手は力が抜けた様に地面に倒れ伏した。
うん、どう見ても決着だろう。
「カレイド伯爵令息、意識不明。
勝者!ダーレム侯爵令息!!」
「ありがとうございました。
魔王殿下もお疲れ様でした、私事に巻き込んでしまい、申し訳ございません。」
「ははは、気にしないでくれたまえルーク殿。」
(ダーレム侯爵家の退魔騎士の武器が無くなった時の戦い方、なんて面白いものが見れたからね。)
※魔王殿下であるフェイには闇属性が無くてもアストラルブレイドが見えています
『ーレイズデット!アタックプラス!ガーディアンズソウル!アクセラレート!』
「フェイッ!」
「兄ちゃんっ!!」
「(!)魔王殿下!」
「了解!」
!?
アイツ……!
決着が着いた、と言うタイミングで突如響いた声。
それと同時にカレイド伯爵が立ち上がりフェイ様とルーク様に斬りかかってきた!
しかも、いつの間にか訓練場に居た愚殿下もだ!
「「させないよっ!!」」
「「グガッ!?」」
しかし、そんな奴等の奇襲は、転移であらわれた現れたアルカ様と、監視室の窓枠(ガラスは無く吹き抜けになっている)から飛び降りてきたルゥさんによって防がれる。
……ルゥさん、見た目通り身体能力高いな。
ここ、3階分位の高さがあるんだけど。
そして、アルカ様は…………
「今回ばかりは…ちょっと怒るよ……?』
そう言ってニッコリと微笑んだアルカ様は背中で交差して浮かぶ2本の剣を携えた状態になっていた………
うわぁ………これって確か、アルカ様の【精霊武具】の1部じゃないのか?
…長剣【ウィンディーネ】と刺突剣【シルフィード】…だったかな。
そしてルゥさんは……
「うぅ〜っ!」
両手から爪を出して威嚇している。
普段は可愛い仔犬、と言った感じの顔が、今は牙を剥き威嚇をしている………ごめん、それでも可愛いな。
ほら、チワワが威嚇しているのを想像してみてよ。
可愛いだろう??
ただし、ルゥさんの場合は獣人だからね。
正直、なんで魔法学園に居るの?って位身体能力はずばぬけている。
具体的には移動速度が早く、拳の一撃は重い、【高速移動する大砲】だ。
…違うね、ルゥさんは魔法学園で身体強化魔法を学んだ事でそうなったんだ。
恐らくだけど、ルゥさんは監視室から飛び出す前に身体強化魔法を自分にかけているはずだ。
「ふっ!わふんっ!うりゃりゃりゃりゃあ〜!」
……うわ、えげつない連撃……あれ、一撃一撃が岩を砕く威力じゃなかったかな。
流石に手加減……してないなあれ。
うわ、鎧がベッコベコだ。
余程カレイド伯爵令息に恨みが溜まってたらしい。
「ははっ!まさに『べっこべこにしてやんよ♪』だね!」
本当に楽しそうですね魔王殿下。
あの、貴方の未来の嫁さんが戦ってますけど??
『あはははは!これはエリーちゃんの分!これはリアちゃんの分!更にこれはわたしの分だぁぁ☆』
…その嫁さんめっちゃめちゃハイテンションじゃないか。
すっごい楽しそうに愚殿下を殴ってる。
…何故か両手に1本ずつ持ってるネギで。
いや、あの、剣は?その背中で交差して浮いてる剣は??
「こっちは『あっるあるにしてあげる♪』かな♪
もちろん僕は既にあっるあるにされますた!」
本当に、ほんっっと〜に楽しそうですね魔王殿下。
てかむしろ輝いてますね。
…と、その魔王殿下はスっと笑みを消した。
その視線の先にはー
「…さてと。
で?またお前か??似非ヒロイン。」
「く…ぅぅ……魔王めぇ…!」
「はぁ………いい加減にしてくれたまえよ…こちとらお前がやらかした事の尻拭いで忙しいんだよ。
…主に精霊神とその旦那が。」
いや待て魔王殿下。
忙しいの部下じゃないか。
と、恐らくこの場にいる魔王殿下とアルカ様以外は思った事だろう。
※アルカ様はトランス中
「とりあえずさぁ……神聖なる決闘に無粋な真似をした報いは受けて頂こうか?」
言うが早いが魔王殿下は自称ヒロインの胸に手刀を突き込んだ。
うわ。心臓モロかな?えげつない…………
やられた自称ヒロインは心臓に急な負荷がかかり悶絶する。
キッッツイお仕置な辺り、魔王殿下の本気を感じた。
「これに懲りたら2度とやるな。良いな?
…まぁ、聞こえちゃいないか……あぁ、ちなみに【過失致死防止空間】は維持したままだから死にはしない。
ともかく、この度の決闘の勝者はルーク殿だ。
約束通り、ルーシー殿はルーク殿の嫁とする。
魔王フェンネルの名において、ここにそう宣言する。」
わぁ、魔王殿下とは言え魔王が宣言した結婚って中々に壮大な事を………
世界そのものに書き込まれるレベルの結婚なんだけどそれ………
まぁ、ルゥさんがまだ学生だからこその【究極の事実婚】にしたのだろうけどさ………
魔 王 殿 下 ち ょ っ と は 後 先 考 え て ?
万が一ルーク様とルゥさんが不仲になったらどうすんの???
のりと勢いで契約で縛るなよ魔王殿下………!
ともかく、これで今回の件は片が付いたのだった。
なんか、書きたいことが書ききれてない感があります。




