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文芸戦士リテラクリーガー  作者: 秋篠翔也
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忘れられない課題

どうも!

翔也です。

今回のお話は映画ではカットすることになった課題が出るまでのお話です。

脚本の段階でもうカットしたので、出演者にも分からないシーンですネ。

部長、嫌な奴です。はい。

高校の時のバイト先の上司がこんな感じでした。

最悪ダネ。

ってことで、どうぞ!

放課後。

俺はいつものように部室へと向かう。

マスクライダーのゲーム対戦を友人と約束しているのだ。別に部活をしに行くわけではなかった。


「お、翔也! やっと来たか! 早く準備しろ、戦わなければ生き残れないぞ」

「それどっかで聞いたことあるな。今準備するわ」

先に着いていた友人の山下はもう携帯ゲーム機を取り出し、一人でゲームを楽しんでいた。

鞄から携帯ゲーム機を出し、絶対に負けられない戦いが始まろうとしていたその時、この部の絶対的主導権を握る最強の権限者、「部長」が現れた。

知的なメガネはその冷徹な目元を上手く隠し、スラリと伸びた長い背丈はこの世の全てを見下ろしているようだ。

俺たちは急いでゲーム機を隠し、部長の隙を突いて逃げ出す策を練り始める。

「今日部長来るのかよ! 来ないと思ってたから来たのに!」

「知らねぇよ! 俺だって分からなかったんだ! 美優は今日来ないって言ってたぞ」

俺は斜め前の席に座る女子を見る。

彼女は近衛美優。失礼だと思うが、少々親御さんの愛を受けすぎたのか丸い体型をしていらっしゃる。

美優はこちらに気づいたのか、少し俺たちの方を向き、ニタッとその丸い顔に笑みを浮かべた。

「翔也、まただぞ。美優の妄想が始まったようだ」

「違うって何度も言ってんのにな。俺らはノーマルだ」

彼女の妄想の中身? バラの花でいっぱいだよ。

「おいそこ、私が話そうとしてるのに内緒話か? それは今から話す私の話より面白いんだろうな」

部長が気づいたようだ。これ以上はまずいと山下と目で語り、大人しく部長の話を聞くことに。

(また美優が笑ってるぞ)

山下が目線で訴えてくる。少し気になって見ると巨体を震わせながら一人で笑っていた。

「近衛、何がおかしい」

「い、いえいえいえいえいえいえ、な、何も」

「なら黙って聞け」

「は、はははい」

どんだけ挙動不審なんだ。


ようやく部長も話す気になったようで、部員のみんなも自然と部員に注目した。

「さて、明日から夏休みだ。うちの部活では休み中の活動はない。そこでだ、この私が部長になった今年から、長期休みの間に次の小説の大賞に応募する作品を1つ書いてきて欲しい。もちろん、顧問の許可も取ってある。異論は認めん。必ず提出だ。分かったな」

…………は?

「ちょっと待ってください部長! ただでさえバイトで忙しい俺に書いたこともない小説を書けって、殺す気ですか!?」

最初にいを唱えたのは山下だ。

そうだ、理不尽すぎる。俺だって夏休みは忙しい。……ゲームで。

「言ったはずだ。異論は認めん」

「でもこれはちょっと……」

「山下、真面目に部活に来てるやつが言うのならまだ分かるが、ろくに部活にも来ず、本を読まないお前に反論する資格などないと思うが? なぁ、翔也」

「確かに部長の言う通りですが、自分のやりたい放題にやるのも違うと思います」

…………なんて言えるはずもなく。

「ほら、翔也も黙っているし、反対はお前だけだぞ。大人しく書いてこい」

「自分の権力振りかざして偉そうにしやがって」

「何か言ったか山下」

「…………」

山下、俺も同じだ。こりゃ酷い。

「ということで、お前らはもう帰っていいぞ。どうせ部活なんてしないんだ。そんなやつがいたってなんの意味もない。帰って無い頭絞りながら書くんだな」


この腐れ部長、絶対に見返してやる。


負けず嫌いの俺はそんなことを思うのだった。

そしてこの課題が、俺の残りの人生を戦いへと巻き込む『最悪』にして、『最高』の課題となることを、俺はまだ知らなかった。




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