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異世界から来た不良召喚術士  作者: 平位太郎
第3章 パーティーメンバー、俺だけ!
31/197

第三十一話 オークの洞窟(2)

名前:沢渡 弘

レベル:12→13

職業 :不良冒険者

力:46→49

知力:16→17

賢明度:35→38

素早さ:42→45

耐久力:50→53

魅力:22→23

MP:53→55

  

・バール          

 攻撃力+9 消費MP8

・ナイフ           

 攻撃力+8 消費MP5

※追加項目のみ表示しています


銀貨8枚、銅貨40枚



 レベル13である。

 某有名RPGでは魔法を全種類覚えるレベルゆえに、マスタークラスなどと呼ばれることもあるレベルだ。


(実際、俺の能力値って今……どんな感じなのかな?)


 倒したオーク2体から短剣等を収拾しつつ、弘は考えてみた。   

 この世界に来た当初と数値比較した場合……ほぼ倍近く強くなっている。


(知力も倍になってるのな。最初、伸びが悪いから気分悪かったが……俺、賢くなってるのかな?)


 賢さと言えば、『賢明度』が別にあるので、知識と賢さは別と言うことなのだろう。

 弘が知るRPGでは魔法習得に必要なのが『知力』で、僧侶魔法の習得に必要なのが『賢明度』だった。


(そうなると、やっぱ俺って魔法使い向きじゃねーってことか。まあ、自分でも向いてるとは思わんけどさ)


 さて、召喚術で新たに加わった2品目のうち、一つがバールである。

 試しに召喚してみたが、黒塗りで長さ1メートルほど……極普通のバールだった。

握って振り回してみると……。

 ブォン! ヴン! ビュ!

 心地よい風切り音が発生する。道具としての使い道もさることながら、武器としても充分に役立つことだろう。


「『おう!“バール”持って来い!』……なぁんてな」 


 とある不良マンガで有名なセリフを言ってみた弘は、ニヤニヤしつつ次の新召喚品に目を向けた。

 ナイフ! 召喚品としては、ついに登場した刃物である。

 バールを消した後で召喚してみたが、こちらは映画で軍人が持っているようなサバイバルナイフであった。刃渡りは20センチほどで、ゴブリンから取り上げた短刀とさほど変わらない気がする。大きな違いとしては、峰側に鋸刃がついていること。


「工具にも使えるってわけか……あ? あ~でも、グリップの中に何か入ってるわけじゃないのな」


 映画に登場するナイフでは、グリップが中空になっていて内部に釣り糸や釣り針、ワイヤーソーなどが入ってるモノがあったと思う。だが、召喚できるナイフにはグリップ内の収納スペースがないので、堅牢制重視ということなのだろう。


「うん。使えそうだ!」


 弘は大きく頷くとナイフを消す。

 思うに、木刀やナイフが召喚できるくらいだから、将来的に日本刀などの新召喚品を期待しても良さそうだ。そうなれば、わざわざ剣を買わなくとも……。


(いや、待てよ? 丸腰でウロウロしてたら変に目立つし、そのつど戦闘で召喚武器を出してたら、それで噂になったりするか?)


 まだある。

 RPGには魔法封じの呪文などが存在するのだが、類するような魔法がこっちの世界にあったとしたら? しかも、召喚術を打ち消すような魔法があったら?

 かなり危険である。


(やっぱ何か、普通の武器を持ち歩いた方がいいのか……)


 ガサッ!


「ん? ……げぇっ!?」


 背後の藪で発生した物音に振り返り、弘は驚愕の声をあげた。

 そこには数頭の狼が居たのである。

 対象物解析が通用しないので、すでに戦闘中ということなのだろう。それゆえ正式名は解らないが、明らかに見た目が犬類と違っている。

 目算で体高が1mほど。体長など2m近いのではないだろうか?

 ぐるるるる! どるるるる!

 はふはふ! がう!

 唸ったり吠えたりと実に騒々しい。


(この狼ども、何しに来たんだ?)


 ジリジリと後ずさりながら弘は考える。

 殺したばかりなのにオークの死臭を感知して、死肉食にでも来たのだろうか?

 だとしたら弘には興味ないはずなのだが……どうにも目つきがおかしい。

 2~3頭はオークの死体を向いてるのに、他の個体が弘をジッと見たままなのであ。


(お、おう……こいつは……)


「やばいぞ!」


 言うなり後方に駆け出す。

 背後でガウ! という吠え声が複数聞こえたが、ジリジリ後退していたおかげか手近な木まで辿り着く。


「う、うおおおおおおっ!」


 絶叫しながら、弘は木の幹を駆け上がった。

 この世界に来て何度か樹上泊をしたせいか、木登りに慣れてしまったようだ。それが幸いし、弘は途中で狼に引きずり下ろされることなく樹上退避に成功したのだった。

 しかしながら、せっかく登った木は思いのほか樹高が低く、狼が諦めてくれない。

 喉を鳴らしながら木の周りをグルグル移動し、中には爪を立てて登ろうとする狼も居る。


「んの野郎、舐めやがって……」


 樹上退避したおかげで落ち着きを取り戻した弘は、アイテム欄からオークより奪い取った手槍を取り出した。

 手槍と言っても、長さは槍頭を含めて2mほどもある。

 これなら樹上からでも狼を攻撃できるはずだ。


「ていっ! ていっ! くぬくぬっ!」


 幹に爪を立てている狼に何度か突き出すと、それが目に入って1頭が悶絶した。

 これを見て残る2頭の吠え声が激しくなる。すると、オークの死体に気を取られていた2頭も、弘の居る木に駆け寄ってきたのである。


「おいおいおいおい! 勘弁してくれよ!」


 槍を持ち樹上で立つ弘は、うんざり顔で怒鳴った。


「俺はな、お前らの相手してる暇なんかねーんだよ!」




 数十分後。


「ぜえぜえ! あー、疲れた! これで終わり? 終わったか?」


 樹上で幹にしがみつく弘は、誰が返事するわけでもないのに問いただしている。


(山ん中でクマに襲われるってな、こういう気分なんだろ~な)


 荒い息の中、チラリと眼下の光景に目を向けてみた。

 木の根元周辺で狼の死体が5体分転がっている。

 槍で突いて2体倒し、さらに他3体に手傷を負わせ……その槍がくわえられ奪われてからは、短弓による攻撃に切り替えて残り3体を倒したのだ。

 こう書くと弘だけで一方的に攻撃したように見えるが、そうではない。

 実は、これら狼と戦っているところへ、洞窟の見張りをしていたはずのオーク2体が飛び込んできたのである。いや、表現的には巻き込まれたと言った方がいい。


(たぶん、仲間を捜しに行かせた2体が戻らないから、それを更に捜しに来たんだろうな……)


 残る狼がオークにも襲いかかったのを見た弘は、隙を見せている者から1体また1体と短弓により倒していったのである。皮肉な話だが、オークのおかげで狼の殲滅がはかどる形となったわけだ。

 これにより、弘はレベル14となっていた。



名前:沢渡 弘

レベル:13→14

職業 :不良冒険者

力:49→53

知力:17→18

賢明度:38→41

素早さ:45→48

耐久力:53→56

魅力:23→24

MP:55→60

  

 

 かなりのペースでレベルアップをしているが、やはりオーク2体、狼にいたっては5頭も倒したのが大きいのだろう。


(このレベルアップ、オークよりも狼が経験値高かったんだろうな。数も多かったし……そういや、何のモンスターだったんだ?)


 対象物解析してみると、判明したモンスター名は……ダイアウルフ。


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