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エルタニア大陸物語  作者: 岸本ひろあき
エジオム王国編~ピンクブロンド嬢、死ぬ程がんばるっ!
12/22

第一話


――どきどきっ! 転生人生ダイスロールチェーーック!


 その『圧倒的なまでの言霊』を前に、わたしは疑問だとか困惑だとか反発だとか諸々の不信感は吹き飛び、ただあるがままにその声の主の言葉を受け入れた。


――そなたの徳は……31だな。では3d31でダイスロールをするがよい。


 眼前に浮かんでいるダイスに向かって、えいっと念じる。


 コロンコロンコロンっ――18+31+28。クリティカル!


――77……良き良き、なかなかの高ポイントよ。では数値を振り分ける。そなたの身体的特徴ステータスは、健康、恵体、芸達者、頭脳明晰、容姿端麗。出自は裕福な貴族女性。祝福は聖戦とする。またクリティカルが1回あった故、クリティカルボーナスとして生涯に一度だけ人生をやり直せる秘匿の神秘スキル【人生を降り直せダイスロールチャンス!】を授けよう。


 ありがとうございます。


――うむ。では最後に、そなたの天運を決めるダイスロールを。3d20で降るがよい。


 えいっ。

 コロンコロンコロンっ――1+1+2。ファンブル! ファンブル!


――* おおっと! * なんと、ここにきて連続ファンブルと最低値とは。


 え。


――ううむ……ではこうしよう。ファンブルその1……そなたの髪質が強制的に美しいピンクブロンドとなり、傾国悪女のピンクブロンドという謂れなき立場を得る。


 え?


――ファンブルその2……それに伴い、出自が没落する貧乏貴族女性に変更され、地獄もかくやという千辛万苦の人生となる。


 え???


――最低値によるステータスの下方修正……恵体が貧乳へと差し替えられる。


 は???????


――ファンブルの結果発表の時よりも納得いっとらん声だの。だがこれも天運。ではそなたの人生に繁栄があらんことを!




 はああああああああああ!!!??? わたしの巨乳おっぱいを返してよおおおおお!!!!




 ◇ ◆ ◇




 わたしの名はミリア・ロクラント。


 歴史ある裕福なロクラント男爵家の長女として生まれ落ちましたが――

 傾国悪女の再来だと噂が流れた結果、お家を没落させた呪われた忌み子と貴族間で名を馳せておりました。


 忌み子とそしられる原因は、我らがエジオム王国の現国王陛下のご母堂――前王妃とまったく同じ髪質、ピンクブロンドをもって生まれてきたことが原因です。


 今は亡き、名を語ることも憚れる前王妃は、邪神の祝福である魅了の力を使って権力者の座に就くと、無策に愚策に贅沢三昧とやりたい放題をした結果、国を傾けるほど滅茶苦茶にした歴史に残る悪女で……わたしはそれと同じピンクブロンドということでお家ごと忌避されたのです。


 ちなみに我が家と公爵出身の前王妃との間には、爵位の違いも相まって、血の繋がりどころか縁もゆかりも一切ありません。そして更にはピンクブロンドの髪質は女性だけに現れる非常に物珍しい突然変異の髪質で、血筋に関係なく運次第で誰であっても現れます。


 本来であればただ物珍しいだけの髪質なのに、それが地の底までめり込んだ悪女王妃の悪評のせいで、わたしは生まれながらに謂れのないレッテルを張られてしまったのです。


 これがもしお家第一とする家族の元に生まれていたのなら、わたしは産まれてすぐに処分されていたでしょう。


 だけどお父様もお母様も、とても情け深いお人柄でした。

 見捨てるような真似を絶対にしなかったのです。


 エジオム王国がある大陸では太古の昔から、生後間もなくから6才までの間に、お家が奉ずる神様の教会に赴き聖職者から洗礼を受けるという、大陸のほとんどで行われる伝統の儀式があります。


 その場にピンクブロンドの髪を隠すこともなく堂々と、3才になったわたしを連れて行き、洗礼を受けさせたのです。


 我が家が奉じる神は、天秤の商神ダイダリュウス様。そして王家も奉ずる、王国で最も信奉される神様です。

 その神様の洗礼の儀、しかも場所は王都の大聖堂で受けたそうで、沢山の貴族が居合わせたこともあって、わたしの存在は瞬く間に王国中に知れ渡ることになったのです。


 何故そのような目立つところで洗礼を受けさせたのか。

 お父様曰く、我が子に洗礼を受けさせないのは殺すのも同義、ならば受けさせる以外に選択肢などない。そして生きていれば、遅かれ早かれいずれピンクブロンドと知られるのだから、早い目に世間に知らせてお家の行く末を見極めたかったそうです。


 そして我が家はその瞬間に衰退が確定しました。


 今まで懇意にしていた貴族たちも商人たちも軒並み離れ、男爵家に富を齎せていた豊富な鉱山資源も一気に売り上げが悪化し大赤字に転落、寄親からは融資という名の借金を作らされ、結果、寄親に鉱山を買い叩かれて。


 元々、田舎にあった男爵家です。

 鉱山以外にこれといった特産もなく、土地も荒涼として農作物もろくに取れない地とあっては、あっという間に多くの領民が居なくなりました。


 そしてわたしが14才の誕生日を迎える頃には領地すらも寄親に売り払い、王国でも指折りの貧乏男爵家と相成ったのです。


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