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――――そこには無数の墓標が存在していた。
大地を染める夕の光が、その墓標の名を一つ一つ、影に沈めていく。
刻まれているのは、彼女のかつての同胞と――
過去に礎となった、先達の名。
彼女は、そうした果てまで伸びる鎮魂の中で。
まるで家族であるかのように、三つ集まって並ぶ墓標の前に立っていた。
「……じゃあ、行ってくるね」
黒髪を靡かせながら、彼女は。
その墓標たちに、花を手向ける。
そして彼女は、黒い翼のように見える外套を纏い。
右手に、身の丈ほどある一振りの【刀】を携えて。
――――背後の空に広がる闇へと、飛び立った。
やがてその身に、虹のように輝く炎を纏って。
流星となり、空を切り開く。
人の営みを見下ろして。
雲を切り裂いて。
海も越えて。
駆けて、駆けて――――
闇の果てに待つ異形の群れ。
それが守る【門】を見据え。
彼女は――――
ジュウナナ【じゅうなな】
ただ一人の永遠。
世界の観測者。
可能性の護り手。
――――終録語典




