大きな醜い鳥Ⅳ
店のドアが開き三人の人物が入ってきた、彼らは真っ直ぐ店の隅の一角で賑やかかに話すカナタ達の元に歩き始めた。
最初彼らに気付いたのはカナタとアリサ、その三人を見て先ほどの賑やかな表情が曇る。
「こんばんは、皆さん」
三人の先頭に居た人物、ミチタカはカナタ達に挨拶をした。
「よぉ」
「こんばんは!皆さん」
ドレッドとメイは返事を返したが残り三人は挨拶より彼らがここに来た理由を知りたい気持ちで一杯だった。
「それでどうなったのよ」
まっさきに質問したのはイース、酒も入り普段以上に言葉が鋭くなったと思われる。
「今ちゃんと話ますよ」
ミチタカと彼と共に入ってきたシータ、シンシの三人はカナタ達の隣の席に座り店員に飲み物を適当に注文してから話始めた。
「まず結果から言うと青い鳥は分裂しました」
カナタ達は無言、ただし予想の範囲内でありそこまで驚きはしなかった。
「コウヘイは皆を説得しようとしましたが彼の考え方に誰も同調しなかったことので結局彼が抜けることになりました」
「それは本人が抜けると言ったの?」
「まぁ、そのですね…」
「元々コウヘイを嫌う人はいたんだよ」
イースの質問に答え辛く口ごもったミチタカの代わりにシータが答えた。
「どちらかというと私もあまり好きじゃなかった、私自身が青い鳥に入ったのが遅かったこともあるんだけどね」
「コウヘイはいい奴なんですけどね、ちょっと我儘というか」
シータとミチタカは青い鳥内でのコウヘイの立場をカナタ達に説明する。
「正直カナちゃん達と旅を一緒にするってことに一番反対すると考えてたのはコウヘイだったんだよ、でも本人は否定もせず正直怪しかったけど」
「じゃあなんでコウヘイさんは今になってあんなことを言ったのでしょうか?」
「私達が仲良くなったからしかないかな、でも私達だけじゃない、皆さんを青い鳥に招きたいと思っていたギルメンは他に沢山いましたから」
アリサの質問にシータが答え彼女の傍にいたシンシも彼女の答えに頷いた。
「コウヘイ自身はその後謝りましたが数人を除いて彼を許す人はいませんでした、分裂の話にすり替わったのはその後です」
飲み物で一度口の渇きを癒したミチタカは再度喋り始めた。
「話し合いでコウヘイへの対応が決まった後とあるメンバーが脱退したいと言いだしました、別のギルドから誘われているということを伝えれなかったそうですがこの機会にと。他のギルドから誘われていた者が多数いたこと、ただ単に青い鳥から抜けたがっていた者がいたことなどその後も個人個人で話始めた者が出て結局分裂、今考えればほぼ解散ですね、そうなってしまいました」
そう言ってミチタカは苦笑いをした、シータも残念そうな顔をしそんな二人を見るカナタは自分が無理を言って同行させてほしいと顧願したことを悔いた。
「…ごめんミッチー、僕が悪いんだよね。あんな無理なこと言わなかったら」
「カナちゃんは悪くないよ、まぁこんな辺境で解散になるのは焦ったけどね。今思えば皆表面上で仲良くしてただけなんだなぁってさ。仲がいいと思ってたけどそうじゃないってことしか後悔してないよ」
ははは、とミチタカは笑いカナタはどんな表情をしようか迷う。
「それでこれから青い鳥はどうすんのよ?」
イースはミチタカに尋ねた、分裂というよりほぼ解散になるのであれば少人数もしくはソロプレイヤーになるということだ。
「全員で三十名ほどでしたが半数近くはりんごさんが新しくギルドを立ち上げることになりそこでやっていくそうです、コウヘイを含めた五人は一つのグループとして、その他の十人ほどはそれぞれ思惑があるということでどこにも属していません」
「ミッチー達はどうするの?」
「そこでお願いなんだけどさ、僕達をカナちゃんのグループに入れてくれないかな?」
「いいわよ」
ミチタカが大まかに説明した後カナタへ入団希望であることを伝えるとカナタの代わりにイースが即答した。
「え、えとカナタさんいいんですか?」
「シータ、私の答えじゃ納得できないの?」
「そうじゃないです!でもリーダーはカナタさんだと聞いていたので…」
思わぬ人物からの返答に困惑するシータだったがその顔は嬉しそうだった。
「勿論オッケーだよ、それにミッチーとシータさんとシンシさんに来てほしいとみんな思ってたからさ」
カナタの答えにミチタカとシータは大喜びをしそんな二人を見てアリサとメイも喜んだ。ドレッドとイースも言葉に表さないものの顔にははっきりと歓迎の気持ちが表れていた。
「ワタシモイイノデスカ!?」
「あんたはメイに聞いてみたら?」
シンシは確認の為メイの方を向く、メイはシンシの顔を見て「勿論!」と笑顔で答えた。
メイの言葉を聞いてシンシは動かなくなった、それを見たメンバー達は不審に思ったがシータは彼の状態を理解しているようだ。
「あんた泣いてんの?」
「ハイ」
FF14おもしろい




