大きな醜い鳥Ⅲ
宿屋から少し離れたところに小さな喫茶店があった。しかし店内には店員以外おらずカナタ達にとっては好都合だとも言える。
店員に五名だと伝え店の店の隅を希望する、四人席に椅子を一つ追加してもらいカナタ達は話し合いを始めた、内容は青い鳥との付き合い方とこれからの旅についてだ。
「以上でよろしかったでしょうか?」
女性店員の一言に無言で頷くと彼女は「ごゆっくりどうぞ」と一礼し下がって行った。
カナタとドレッドはコーヒーに似た飲み物を注文し昼食を兼ねている女性メンバーは各々違うメニューを注文していた。
「んでどうするよ」
「どうしましょうか」
ドレッドの質問にカナタは素直に答える、昨晩から気持ちは決まっていない。
「私は五人で一度アプシルに戻ることを提案するわ」
パスタのようなものをフォークで巻き取りながらイースは自分の意見を言う。
「青い鳥のギルマスが言った以上私たちにはここで離れるか王都まで黙って従うしかないわ、でもまだこれから先長いのに一緒に居たところでいつ協力してくれなくなるかはわからないし」
「私も賛成です、非常識だと思います」
イースに同調したのはメイ、運ばれてきた食事に箸もつけずその顔は怒っている。
「俺は青い鳥の話し合いが終わってから考えればいいんじゃねーかと思うけど」
「悠長ね、もしかしたら今頃出発してるかもしれないのに」
「それはねーな、もしそうならミチタカはまずこっちに来るだろ、そうだろリーダー」
ドレッドに言葉にカナタは「うん」と答える、小さい頃からずっと一緒だった、ミチタカは必ず僕らの味方をしてくれる。カナタはそう自分に言い聞かせた。
「それにシータさんとシンシさんも来てくれると思いますよ!」
アリサは何故か自身満々でそんな彼女を見るシータは「気楽なものね」と言いたそうな表情で食事を進める。
「…でも本当に来て下さるでしょうか」
メイは自信なさそうに答える。
「あんたがいる以上あの変態はくるでしょ」
イースは当たり前のことをいうように返事する、それを聞いたメイは表情を変えたが複雑な表情に変わりはなかった。
その後は特に意見もでなかった為、青い鳥の話し合いが終わるまで待つことになり喫茶店で随分長い昼食を終えた後は消耗品や装備品など買い物を行うことになった。
「夕方にあの店でね、あんまり遅くなるんじゃないわよ」
イースはそういうとドレッドとメイを連れてカナタとアリサに背を向けて歩いて行った。
「それじゃあ僕らもいきますか」
カナタはアリサにそう言い歩き出す、アリサはもの凄く緊張した顔でカナタの後ろを歩き始めた。
(イースさんは、もう…!)
昨晩の女子会で秘めていた気持ちを吐き出さされてしまったアリサ、イースが「町は広いし二手にわかれた方が効率的ね」と言ったことも現在の状況を作り出す為の作戦に過ぎずそんなことを頼んでいないアリサにとっては有難迷惑と言える。
コウヘイの一件があったことでこの気持ちは怒りに抑えつけられていたものの今となっては何も抑制するものも邪魔するものもない、何より目の前を歩く気になる男性と二人きりという状況は嫌でも自分の気持ちと向き合うことになるのだ。
(ちょっと前まではこんなに…)
彼女の気持ちは考えれば考えるほど大きく深く心が揺さぶられていく、この気持ちを言ってしまえば楽になるのかもしれないが彼女にはその勇気はまだない。
時折目当ての店に立ち寄りながら買い物をするカナタと悩めるアリサを三人の人物が見ていたことなど当の本人達は気付いていなかった。
「お疲れ様です」
昼食を食べた喫茶店で待っていたカナタとアリサ、イース達が戻ってきたのはカナタ達よりも少し遅れてからだった。
「ごめんね、あんまり目当てのもの買えなかったわ」
「僕達も必要なものは全部見つけられませんでした」
それじゃあまた明日買いにいかなきゃね、そう笑顔で話すイースの傍でメイは申し訳ない気持ちで一杯だった。彼らが約束通り買い物をしていたのに自分達は…。
「メニュー決まったか?」
「へ?あ、すいません!ちょっと待ってください」
ドレッドに言われ自分だけメニューが決まっていないことに気付いたメイはすぐにメニュー表から適当に選んだ。
「あんなこと気にする必要もねーよ」
ドレッドはメイに話した、カナタとアリサは意味が分かっていなくイースはワインのようなものを飲みながら「そうよ、あんなこと」とドレッドに同調する。
「そうですよね」
メイは苦笑しそれを見たドレッドもフッと笑いグラスに口を付けた。
「何かあったんですか?」
「何もないわよ」
「教えてくださいよー!」
「本当何もないのよ、私を信じれないの?」
喫茶店の隅の席で賑やかに話す彼女らの声は今から入店しようとしている人物にも聞こえていた。
ふふんふんふーん




