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アナザーワールドへようこそっ!  作者: mitsuzo
第四章「夏期(サマーシーズン)へようこそっ!」 【069】
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第四章  【090】




  【090】




 フレンダ・ミラージュの『極上ひざ枕』から起き上がると、


「お兄ちゃんっ!」


 シーナがすぐに駆け寄ってきた。


「お兄ちゃん、大丈夫? ケガは?! どこか痛いところとかは?!……」


 普段、焦る様子を見せないシーナがこの時は動揺しまくりながら、矢継ぎ早に話しかけてきた。


「だ、大丈夫、大丈夫。俺はどこも問題ないよ」

「ほ、本当?!」

「本当、本当」

「…………よかった」


 シーナは俺の返答に安心したのか、大きく息を吐いてその場にヘタリと座り込んだ。


「ハヤト! よかった、気がついたか!」

「ジュリア……」

「ハヤト・ニノミヤ。本当に大丈夫なんだな?」

「サラ先生……」


 シーナが駆け寄ったのを皮切りに、皆が俺のところに来て、声を掛けてきてくれた。


……すこし、感動した。


 一通り、皆が声を掛けた後、エックハルト・シュナイデンがゆっくりと近づいて話しかける。


「二ノ宮隼人……お前、もしかして今、会っていたのか?」

「えっ?」

「……神と」

「「「「「「「えっ……??????」」」」」」」


 突然のエックハルト・シュナイデンの言葉に皆の動きが止まる。


「…………ああ」

「「「「「「「…………!!!!!」」」」」」」


 皆、驚きはしたものの、先ほどからの隼人とエックハルト・シュナイデンの会話を聞いていたこともあり、少しは耐性が出来ているようだった。


「では、わたしの言っていることが真実だとわかったろ?」

「ああ……」


 隼人はエックハルト・シュナイデンと話をしながら、チラチラとシーナのほうも見ていた。


「??」


 シーナも隼人の視線に気づいてはいたが、動揺していたこともあり、特に話かけることはなかった。


「そうか、やはり会っていたのか……。では、今、どういう状況かは理解しているのかい?」

「……ああ」

「そう。じゃあ……」

「ああ…………急ごう!」


 隼人は、エックハルト・シュナイデンの存在や、神のことなど共通認識ができたこともあり、意識を失う前とは打って変わってスッキリした顔をしており、それはエックハルト・シュナイデンも同じだった。


……二人だけは。


「説明しなさいよーーーーーーーー!!!!!!!」


 そう、シーナが大声で叫ぶ後ろには、隼人とエックハルト・シュナイデン以外のメンバーが怒りの表情で立っていた。


 しかし、隼人はそんなことを気にするどころか、緊張の顔を浮かべ皆に声を掛ける。


「今、セントリア王国は…………クーデターに会っている」

「「「「「「……えっ?」」」」」」」

「本当だ。だから、わたしは……ここにいる」


 すると、ジュリアがシーナの横に立ち、質問をする。


「おい、ハヤト。今言ったことはどういう意味だ?」

「そのままの意味だよ、ジュリア……今、セントリア王国はセントエレナ修道会の信者の謀略によってクーデターに合っている」


 エックハルト・シュナイデンがジュリアの質問に答える。


「そ、そんな…………まさか…………」

「セ、セントエレナ修道会……そんなバカな」


 フレンダ・ミラージュとベル・コリンズが、エックハルト・シュナイデンの言葉を聞いてショックを受けていた。


「本当だ。今回、セントエレナ修道会のある男が王国に謀反を起こした。その男は、組合ユニオンの人間のほとんどが国を抜けるこの組合実習イベントを狙っていたのさ」

「な、何だと……っ!」

「くっ……卑怯な!?」


 組合ユニオン総隊長ジュリア・フランヴィルと、副隊長エドガー・バスティアーノが呟く。


「そのクーデターを企てたのは…………ガーギル・アーチボルト大司教」

「ガ、ガーギル・アーチボルト大司教…………なるほど、やはりそうだったか」

「ジュリア? 知っていたのですか?」

「いや、そういうことではないが、ウスウスな……。奴は、前からずっと組合ユニオンを毛嫌いしていた男だったんじゃ。それで、よく、組合ユニオンにちょっかい出すことも多かったので、いろいろとちょっかい出されないよう情報収集をしていたのじゃ。そしたら、少しキナ臭いウワサを聞いていてな……」

「なるほど、さすが組合ユニオン……情報収集力が相変わらず高いな」

「そんなお世辞はよい。それよりも、もう一つ、気になるウワサもあったんじゃが……」


 そういうと、ジュリアは一度、口を閉ざした。


「ああ、ジュリア。お前のその聞いたという『ウワサ』……本当だ。ガーギル・アーチボルト大司教、奴は…………闇属性の魔法士だ」

「「「「「「えっ!!!!」」」」」」


 隼人、エックハルト・シュナイデン、エドガー・バスティアーノ以外の皆がジュリアの言葉に反応する。


「や、闇属性の魔法って存在してないんじゃないの?!」


 シーナがアイリに質問する。


「う、うん。こ、これまで一度も『闇属性の魔法士』の存在なんて……確認されていないよ」

「ふっ、子猫ちゃん達……それは違うぞ」

「「せ、生徒会長……!!」」


 シーナとアイリの間に、ヴィクトリア・クライフィールドが割って入り、説明を始めた。


「公式には『闇属性の魔法士』は存在どころか痕跡も無いことになっている。だが、真実は……違う。その『痕跡』はずっと昔からあった」

「ま、まさか……!」


 アイリがヴィクトリア・クライフィールドの言葉に驚く。


「本当のことだ。まあ、『存在』自体が一度も確認されていないのは事実。だからこそ、わたしは、今回『ガーギル・アーチボルト大司教』には興味があるのさ」

「ま、まさか……! そんな話、私は聞いたことありません!」


 ヴィクトリア・クライフィールドの言葉にサラ・スカーレットが反応した。


「本当です。しかし、その事は一般市民には隠されています。知っているのは、ごく一部の『名門貴族』の者くらいです、サラ先生」

「……そ、そんな!?」


 サラ・スカーレットがヴィクトリア・クライフィールドの言葉に驚く。


「ウソおっしゃい! ヴィクトリア・クライフィールド!」

「…………ミラージュ家の娘」


 フレンダがヴィクトリア・クライフィールドに咬みつく。


「そんなの、わたくしの家では聞いたことございませんわ! ウソを付かないでください、クライフィールド生徒会長!」

「ふっ……ウソではない。お前だけが知らないだけだ。これは、貴族の……いや、『名門貴族』の当主か側近であれば誰もが知っている真実だ」

「な、なんで、そんなのあなたが……」

「忘れたのか? わたしはクライフィールド家『次期当主』候補の一人だぞ? そのくらいの情報、当然、把握している。まあ、いくら名門貴族の者でもこの情報を知っているのはごくわずかな人間だけだ。妻や子供にその情報が降りてくることは無い」

「……くっ!」


 フレンダは、ヴィクトリア・クライフィールドの言葉に歯軋りした。


「むっ? 怒っているのか? すまない、何かひどい事を言ったかな?……許してくれ、ミラージュ家の娘」


 ヴィクトリア・クライフィールドにとって、先ほどのフレンダへの説明は普通にしゃべっているという認識しかなく、相手のプライドを逆撫でしているなんて露とも思っていなかった。そんな『天然』のヴィクトリア・クライフィールドのことはよく知っているフレンダ・ミラージュでも、『天然だからこそ』のヴィクトリア・クライフィールドの言葉に、プライドを抉り掻きまわされたのは言うまでも無い。


「おい、そこ! 今は、そんなことをしている場合ではない……慎め!」


 ジュリアが、にらみ合っている二人に(というよりも、フレンダが一方的に敵意をむき出しているのだが)、厳しく言い放つ。


「ははっ! も、申し訳ございません……ジュリア様!」

「も、申し訳ございません……」

「うむ」


 ジュリアは、二人を戒めたその厳しい表情のまま、隼人に向かって歩き出した。


「隼人、お前もその話は知っていたのか?」

「ああ、神様から直接聞いた。エックハルト・シュナイデンの言っていることは……すべて真実だ」

「じゃあ、『闇属性の魔法士』……『ガーギル・アーチボルト大司教』……それらも全部……」

「ああ、本当だ」

「そうか。隼人がそう言うのなら信じよう。なんせ、わらわは…………お主の彼女なのだから、のっ!」

「う、うわっ?!」


 そう言うと、ジュリアは隼人に腕を絡めてきた。


「ジュリア! あなた、生徒に言っていることと自分のやっていることに矛盾あり過ぎです! あなたこそ、慎みなさい!」


 サラは、そんなジュリアの行為に瞬時に反応。すぐに、隼人からジュリアをひっぺかえして注意した。


「む~……サラのいじわる~」

「当然の対処です!」

「「「「…………」」」」


 周りの者たちでは、いろいろと突っ込もうにも突っ込めないジュリア総隊長に対し、的確なツッコミと対処(隼人から引き離した行為)をしたサラ・スカーレットに皆が羨望の眼差しを向けたのは言うまでも無かった。







  「更新あとがき」




おはようございます。


何だか最近、冷えますね、


mitsuzoです。



更新しました~。



ジュリア・フランヴィルの『隼人独占体制』。


ピクピクしている周りを尻目に目下継続中。


……ていうか、そんなことよりも、今はもっと大事な事があるでしょ!?ww



というわけで、本日も読んでいただき、ありがとうございました。


<(_ _)>( ̄∇ ̄)

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