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落語娘・芽衣子


 学校帰りに毎日のように浅草に通ってしまうほど落語が好きだ。年間パスを購入してからもう元は取れているだろう。好きな落語家が10人はいる。真打だけでなく二ツ目や前座さんにも手を出して寝るときは子守唄のように落語CDを聞いてから寝る。

 私が一番好きな落語家、横浜亭渚を初めて見たのは駅の券売所でチケットを拾ったからだ。あの日も春休みを使って平日には行けない昼の部の寄席に行くところだった。チケットには「横浜亭渚 真打昇進記念落語会」と書いてあり開催日は春休みの終わり頃の日曜日になっていた。

 春休み最後の日、拾ったチケットの落語会に向かった。なんでも横浜亭渚さんは横浜出身だそうで山下公園が近いところにあるホールが会場だった。お客のほとんどがおじいさんおばあさんで若い人なんていなかった。こんなことにも慣れた。入場口で師匠らしき人からのお花が飾られていて、大量のチラシをもらって席に着くと隣は20代後半だろうか長い黒髪で全身黒ずくめの服装をした女性だった。

 落語会が始まった。幕が開くと金屏風の前に3人の羽織姿の方がお辞儀をしていた。右側は師匠だろうか、横浜亭渚の名前を口にしている。真ん中は横浜亭渚だろう、20代か30代前半のように見える。左にはもっと若そうな人がいる、弟弟子か。挨拶から始まり、落語家になった経緯を映像とともに紹介していた。それから弟弟子、師匠、横浜亭渚の順に一席ずつ噺を披露している。大きな拍手で締められた。

 その日から毎月の横浜亭渚の落語会に毎回通っている。そのたびに就職する気持ちより落語家になりたい気持ちのほうが強くなっていることに気がついた。


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