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真っ赤なワンピース・ゆら


今年で学生という職業が終わり、来春からは社会人になる。

まだまだ実感がわかない。


昨年に続き、大好きな京都へ旅することに決めたのは3日前。

今年はおもいっきり京都を楽しもうと思い安い宿を探して去年の倍滞在することにした。


夜行列車で岐阜まで行き、そこから電車に乗り込み京都まで一気に向かう。

京都までの間、おじいさんおばあさんが声をかけてくれて飴玉をひとつくれた。

京都駅に着き、ロッカーに荷物を預けて地下鉄に乗り込み烏丸線と京阪電車を使って出町柳で下りる。

そこからは夢だと思った。

ずっと行きたかった場所、鴨川デルタを見下ろすと嬉しくて思わず笑みがこぼれてしまう。

まずはポン、ポン、と大きな石を渡る。川に落ちることのないようにどきどきしていた。

空を見上げると真っ青な空が広がっていて幸せな気分になった。

30分ほど写真を撮ったり、デルタが舞台の曲を聴いたりして過ごし またね、と別れを告げ京阪電車に乗り込んだ。


祇園四条の駅からバスに乗り清水寺へ行った。

中学生のときに修学旅行で行って以来だった。自由行動の大まかな流れは覚えていたけれど中学生の頃なんて何か感じるものなどあまりなく、どんなことを思ったのかお土産はどこで買ったか、宿はどこに泊まったかなんて覚えておらず、清水坂で横浜にもあるキャラクターのお店が箸屋の奥にあっただとか、清水寺入口の赤い門の前で写真撮ったなあという記憶が甦ったのだった。


まだ滞在の日にちはあったのでゆっくり宿へ行くことにした。

宇治の町屋をそのまま宿にしたところだった。

その宿はゲストハウスといって値段が安い分、部屋は二段ベッドが二つずつ置かれていたりリビングやトイレ、お風呂が共同なところだった。

日本人よりも外国人の客が多くリビングでは色白で鼻の高いイタリア人らしき人がギターを弾きながら歌っていた。


翌日もそのまた翌日も京都の行きたいところや修学旅行で行ったけれど記憶が薄い場所へ行った。

だんだんと記憶が甦ってきた。

けれど余計に15歳のわたし(修学旅行初日の奈良で誕生日を迎えたのだった)に戻りたくなって、15歳のわたしにちゃんと京都を感じなさいと言いたくなった。


滞在5日目の夕方、その日の夜行列車で帰るため お土産で大きくなったカバンを持ち宇治を後にする。

奈良線の電車に乗り込むと目の前はカップルだった。

電車でカップルを見ると嫌な気持ちになることが多いが、そんな気持ちにさせない二人だった。

話をしているけれど何か、もの悲しそうな表情をしていた。

彼女のほうが左手の指輪を触っているのがすごく気になった。

すると彼女がじっとわたしを見つめた。

わたしの真っ赤なワンピースを見ていた。

わたしは彼女から目を反らし彼氏のほうを見ると 見たことのあるような顔だった。

口をぽかーんと開けてちょっとばかみたいな表情をしてそばかすのようにほくろがあった。


この6日間で頭の中を京都で埋め尽くしたせいで忘れていた片思い中の相手に似ていると思った。




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