国際映画祭のレッドカーペット
冬の夜気を切り裂くように、フラッシュの光が瞬く。
場所は、とある国際映画祭のレッドカーペット。
そこに――
* 映画『夜の虹を渡る人』主演:青柳光子
* 映画『星霜のリボン』主演:柳川優子
双子の姉妹が、腕を組んでゆっくりと姿を現した。
ドレスは、光子が深い群青色のロングドレス。
夜の虹を思わせる、胸元から裾にかけてうっすらと光のグラデーション。
優子は、ワインレッドに近いボルドーのドレス。
星霜を重ねてきたリボンが胸元で結ばれているような、シンプルで大人っぽいデザイン。
二人が並ぶと、
「夜の虹」と「星霜のリボン」が、現実世界に立っているみたいだった。
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レッドカーペット上 ― 双子の小声トーク
光子(小声)
「優子、ドレス踏まんごとね? ここでコケたら一生ネタやけん」
優子
「うちらの場合、コケた瞬間“場内スタンディングオベーション”になりそうやけどね」
ふたりがクスッと笑うと、
カメラのフラッシュが一段と強く光った。
司会者
「さあ、日本から“笑いと感動の双子女優”の登場です!
映画『夜の虹を渡る人』主演・青柳光子さん、
『星霜のリボン』主演・柳川優子さんです!」
会場のざわめきが一気に大きくなる。
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インタビュー:まずはあらすじ
レッドカーペット中央のインタビューポイントに立ち、
マイクが二人に向けられる。
● 光子に質問:『夜の虹を渡る人』とは?
インタビュアー
「まずは青柳さん。
『夜の虹を渡る人』、どんな物語か、簡単に教えていただけますか?」
光子
「はい。この映画は、
**大切な人を失って、生きる意味を見失った女性・凪**が、
再び“生きたい”と願うまでの物語です。
彼女は夜の港町で、
同じように心に傷を抱えた男性と出会います。
喪失、罪悪感、自分を責める気持ち。
そういう“暗い夜”を抱えたふたりが、
少しずつお互いの心に触れていく中で、
“夜の空にも虹はかかる”という希望を見つけていく――
そんな話です」
インタビュアー
「タイトルの“夜の虹”は、
まさに彼女の再生を象徴しているんですね」
光子
「はい。
目には見えないけれど、
“確かにそこにある希望”みたいなものを
虹として描きたいなと思いました」
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● 優子に質問:『星霜のリボン』とは?
インタビュアー
「続いて柳川さん。
『星霜のリボン』のあらすじを教えてください」
優子
「この作品は、
**時間に置き去りにされ続けた女性・瑠璃**の物語です。
彼女は十代のころから、
“家族の事情”とか“仕事”とか、
いろんな理由で自分の恋や夢をいつも後回しにしてきました。
気が付けば、心のどこかで
“私は選ばれない側の人間なんだ”って思ってしまっていて。
そんな彼女の前に、
過去に大きな喪失を抱えた男性が現れます。
ふたりはお互いに“傷つくのが怖い”からこそ、
不器用に距離を取ろうとするんですけど……
少しずつ結ばれていく想いが、
一本のリボンみたいに過去と未来を結んでいく。
そういうラブストーリーです」
インタビュアー
「“星霜”というタイトルも美しいですね」
優子
「ふふ、漢字だけ見ると難しそうですけど、
長い年月を表す言葉なんです。
“時間をかけて、やっと結べた想い”を
描いてみたいなと思いました」
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濡れ場への挑戦 ― 心構えを語る
会場の空気が少し真剣になる。
インタビュアー
「お二人とも、今作で“かなり繊細なラブシーン”に挑んでおられます。
その時の心構え、どのようなものだったのでしょうか?」
● 光子:体ではなく“魂”を映す
光子
「そうですね……
私が一番怖かったのは、
“自分がどう見られるか”ということでした。
でも、監督やスタッフと話していく中で、
このシーンは“セクシーさ”を見せるためじゃなく、
凪が初めて『自分は生きていていい』と思える瞬間を
表現するものなんだと理解しました。
だから、
“綺麗に見せよう”じゃなくて、
“醜いところも含めて、全部さらけ出そう”と
決めて挑みました。
怖かったですけど……
あの瞬間、私はたしかに凪として、
生きたいって、心から泣いていました」
インタビュアー
「まさに“魂の演技”だったんですね」
光子
「……そう言ってもらえたら、すごく救われます」
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● 優子:弱さを受け入れる覚悟
インタビュアー
「柳川さんはいかがですか?」
優子
「私のほうのラブシーンも、
いわゆる“刺激的なシーン”として撮るんじゃなくて、
瑠璃が初めて、自分の弱さを誰かに預ける瞬間として
描かれました。
正直、“裸になること”よりも、
“誰かに頼る瑠璃”を演じるのが怖かったです。
私は現実世界でも、つい
『私が頑張れば何とかなるけん』って
抱え込みがちなので……」
会場から少し笑い声が漏れて、優子も照れくさそうに笑う。
優子
「でも、家族とか、仲間とか、
支えてくれる人たちがいて。
“役として弱さを出すことは、
女優としての逃げじゃなくて、挑戦なんだよ”って
背中を押してもらいました。
だから撮影当日は、
“ちゃんと傷ついて、ちゃんと甘えよう”
という気持ちで現場に立ちました」
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姉妹ならではの支え合い
インタビュアー
「お互い、先に挑戦した姉・光子さん、
あとから挑んだ妹・優子さん。
姉妹で何か話し合ったことはありますか?」
光子
「優子から“どうしよう”って相談が来たとき、
私が言ったのは一つだけですね。
**“嫌なら全力で断っていい。
でも、やりたいなら全力で支える”**って」
優子
「それ聞いたとき、泣きそうになったもんね」
光子
「うちはさ、
優子が“笑いの相方”ってだけじゃなくて、
同じように過去に傷を抱えて、
そこから一緒に這い上がってきた相棒だから。
優子が次のステージに進もうとするなら、
止めたくない。
ただ、“無理はするな”ってだけ」
優子
「……この人ね、こういうとこが
ずるいくらいカッコいいっちゃんね」
会場から温かな笑いと拍手が起こる。
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家族への感謝
インタビュアー
「ご家族は、この挑戦をどう受け止めていましたか?」
光子
「翼は、“光子の仕事は光子が決める”って
一番最初に言ってくれました。
それで、すごく楽になりましたね。
子どもたちはまだ内容を詳しくは知りませんけど、
いつか成長したら“お母さんは本気で生きてたんだな”って
笑いながら見てくれたらいいなって思います」
優子
「拓実も、最初は“えっ…”って固まってましたけど(笑)、
“俺は夫として、優子の味方でおる。
でも無理だけはすんなよ”って。
うちも、子どもたちが大きくなったときに、
“お母さん、ちゃんと悩んで、ちゃんと選んだんやね”って
思ってもらえたら嬉しいです」
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“笑い”の人が、なぜここまで真面目に
インタビュアー
「お二人はもともと“笑い”や“音楽”のイメージが強いですが、
なぜここまで、命を削るような“重い役”に挑み続けるのでしょうか?」
光子は少し考えて、ゆっくり口を開いた。
光子
「……私たち、
笑いの裏で、いろんなものを見てきたからだと思います。
いじめ、自死、虐待、災害――
“笑えない現実”がこの世界にはたくさんあって。
それでも、
『それでも生きていこう』
って言える作品を残したいなって思ったんです。
笑いは空気より大事。
でも、笑いを届けるためには、
“涙の重さ”を知っておきたい。
そんな気持ちで、
この二つの映画の仕事を受けました」
優子
「うちも同じかな。
人って、
“笑いながら乗り越える痛み”もあれば、
“ちゃんと泣かなきゃ、前に進めない痛み”もあると思うんです。
ファイブピーチ★とか、爆笑発電所では
前者をずっとやってきたけど、
映画では後者にもちゃんと向き合いたかった。
だから、今日ここに、
姉妹で並べて立っているのが、
とっても不思議で、幸せです」
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最後に、世界中の観客へ
インタビュアー
「最後に、この映画祭を通して世界中の観客に
伝えたいメッセージをお願いします」
光子と優子は、目を合わせて頷き合う。
光子
「誰かを失った人へ。
もう笑えないと思っている人へ。
あなたの夜にも、きっと虹はかかると信じて、
この映画をつくりました」
優子
「そして、
“自分なんか愛されない”って
心のどこかで決めつけてしまった人へ。
ゆっくりでいいけん、
自分の弱さを誰かに預けてみてもいいんじゃないかなって。
そんな想いをこめて、
『星霜のリボン』を届けます」
光子
「笑ってくれてもいいし、
泣きたいときにそっと見てくれてもいい。
観た人の心のどこかに、
ちいさな灯りが残ったら……
それが、私たちにとって一番のご褒美です」
優子
「そして、エンドロールで“笑いの仕事”を知った人は、
ぜひ爆笑発電所にも遊びに来てください。
泣いたあと、全力で笑わせますけん!」
会場が大きな拍手と笑いに包まれた。
スポットライトの中、
**“喪失と再生”と“甘く切ない恋”**を演じきった双子は、
少しだけ誇らしげに、そしてどこか照れくさそうに微笑む。
この瞬間――
音楽・笑い・スポーツ・ヒューマンドラマと
ありとあらゆるフィールドを駆け抜けてきた
M&Yの二人が、
“女優としても世界のレッドカーペットに立つ存在”になった
ことを、誰もがはっきりと感じる夜だった。
公開初日。
都内のシネコンは、朝からポスターとスタンディの前で写真を撮るお客さんでごった返していた。
* 『夜の虹を渡る人』
* 『星霜のリボン』
同日公開。
まさか、双子で主演映画が同じ日に封切りされるなんて――と、ファンもマスコミもざわざわだ。
この日は、昼に光子、夕方に優子、夜に二作品合同の舞台挨拶という豪華スケジュールになっていた。
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① 昼の回『夜の虹を渡る人』舞台挨拶(光子)
スクリーンの前にずらりと並ぶキャスト陣。
真ん中にマイクを持つ光子が立つ。
光子
「皆さん、本日は『夜の虹を渡る人』初日にお越しいただき、ほんとにありがとうございます」
客席「(拍手)」
司会
「まずは青柳さんから、この作品の“ここを見てほしい”というポイントをお願いします」
光子
「はい。
この映画は、物語全体が“静かに波打っている”ような作品です。
派手なアクションや、わかりやすいカタルシスよりも、
人の心がちょっとずつほどけていく瞬間を丁寧に描いてます。
なので、ぜひ見てほしいのは――
大きなセリフよりも、“沈黙の時間”です」
客席が、少しどよめく。
光子
「凪って、心を閉ざしてるからこそ、
何も言えずに黙ってしまうシーンが多いんですけど、
その沈黙の中で、
“この時、この人は何を飲み込んでるんだろう?”って
考えながら見てもらえたら、すごく嬉しいです。
あと、個人的には……
港の防波堤で朝焼けを見るシーンがあります。
あそこで、凪が一瞬だけ笑うんですけど、
そこはぜひ、見逃さないでほしいです」
司会
「濡れ場を含めたラブシーンについては、いかがですか?」
光子
「ラブシーンは、
“心のバリアが一枚ずつ剥がれていく瞬間”として撮っていただきました。
だから、色っぽさというより、
**“怖さ”と“救われたい気持ち”**が見えるといいなと思って演じました。
もし、見ていて苦しくなったら、
それはきっと、どこかで凪に自分を重ねてくれているからだと思うので……
その分、ラスト近くの“ある選択”まで、
一緒に見届けてもらえたら嬉しいです」
客席から、小さく鼻をすする音が聞こえた。
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② 夕方の回『星霜のリボン』舞台挨拶(優子)
今度は別スクリーン。
『星霜のリボン』のエンドロールが終わり、
場内が明るくなると、拍手に迎えられて優子たちが登壇する。
優子
「皆さん、最後まで観てくれてありがとうございます。
柳川優子です」
客席「(拍手+一部すすり泣き)」
司会
「かなり涙ぐんでいるお客さまも多いですね。
柳川さん、この作品の“ここを見てほしい”ポイントを教えてください」
優子
「この映画は、
“選ばれなかった側の人間”だと自分で決めつけてきた人が、
もう一度、“自分の人生を選び直す”話だと思ってます。
なので見てほしいのは――
とにかく、瑠璃の“目”です」
客席「おお〜」という空気。
優子
「脚本を読んだとき、
“この子は、笑い方を忘れてしまった人だな”って思ったんです。
でも物語が進むにつれて、
ふっと口角が上がったり、
視線が少しだけ相手の方に向いたり、
ほんの小さな変化が積み重なっていく。
だからもし、2回目3回目観てくださる方がいたら、
“このカットとあのカットで、瑠璃の目、変わってない?”
って、細かいところを見ていただけると嬉しいです」
司会
「ラブシーンについては、どのような気持ちで臨まれましたか?」
優子
「私のラブシーンは、
“甘くてきれいな恋”というより、
**“やっと自分を許せた夜”**っていうイメージでした。
だから、最初から色気を出そうとするんじゃなくて、
“泣きながら誰かに抱きしめてほしいのに、それも言えない人”として
そこに立ちました。
観る人によっては、
“もっとロマンチックなほうがいい”って思うかもしれません。
でもこの映画では、
“もつれたリボンを一本ずつほどいていくような愛情”を
描きたかったので、
その不器用さごと受け止めてもらえたらな、と思います」
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③ 夜の回 ― 二作品合同舞台挨拶
夜、プレミアム回。
『夜の虹を渡る人』と『星霜のリボン』の同日W舞台挨拶。
中央に光子と優子が並び、
両作品の監督と共演陣が左右に並ぶという豪華な絵面だ。
司会
「同じ日に、それぞれ別のラブストーリーで主演を務めたお二人。
改めて、観客の皆さんに“この二本をどう楽しんでほしいか”を
一言ずつお願いします」
● 光子から
光子
「まず、どちらも観てくださった皆さん、本当にありがとうございます。
たぶん、心のエネルギーだいぶ持っていかれたと思います……」
客席(笑)
光子
「『夜の虹を渡る人』は、
**“喪失のあとに、もう一度息を吸うための物語”**です。
大きな悲しみを経験した方、
今まさにしんどさの中にいる方には、
ちょっと重いかもしれない。でも、
“それでも、朝は来るよ”っていうメッセージを
最後にそっと渡せる作品になったと思います。
もしよかったら、
**ラストの“とある一歩”**を、
自分ごととして受け取ってもらえたら嬉しいです」
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● 優子から
優子
「『星霜のリボン』は、
**“時間をかけて好きになっていくことを肯定したい映画”**です。
世の中って、よく
“一目惚れ”とか“運命の出会い”っていう言葉が
目立つじゃないですか。
でも、私たちの現実は、
なんとなく出会って、なんとなく会う回数が増えて、
気づいたら大事になってて、
それでもなお、怖くて一歩踏み出せなかったりする。
そういう “もたもたした恋” を、
ちゃんと映画の中で尊重したかったんです。
だからこの作品では、
瑠璃の“もたつき”や“逃げる癖”も含めて見てほしい。
それを許してあげてほしい。
そう思いながら演じました」
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④ 双子からの“まとめメッセージ”
司会
「では最後に、お二人ご一緒に、一言お願いします」
光子と優子は、ちらっと目を合わせて頷き合う。
光子
「どちらの作品も、
“笑いのM&Y”とはちょっと違う顔をしているかもしれません」
優子
「でも根っこにあるのは、
**“人がもう一度、生きようと思う瞬間を信じたい”**って気持ちです」
光子
「人生には、
お腹抱えて笑う夜もあれば、
声も出ないくらい泣く夜もある。
どっちもちゃんと抱きしめたかったから、
私たちはこの二本に、全力で向き合いました」
優子
「笑いで出会ってくれた人にも、
映画から出会ってくれた人にも、
『あなたの物語も、ここから続いていきますように』
という願いを込めて。
これからも、ステージでもスクリーンでも、
全力で笑わせて、全力で泣かせにいきますけん。
どうぞよろしくお願いします!」
客席「(大きな拍手・歓声)」
光子
「今日は本当にありがとうございました!」
優子
「ありがとうございまーす!」
二人が深々と頭を下げる。
スポットライトがゆっくり落ち、
スクリーンの手前に立つ**“二人の小さな影”**が、
観客の胸の中にもそっと焼き付いていく。
この夜、
笑いの世界から飛び出した双子は、
**女優としても本気で“心を揺らす存在”**になったことを、
舞台挨拶の言葉と表情で、はっきりと刻みつけたのだった。




