帰る場所と、近づく夢
第38話「帰る場所と、近づく夢」
春から初夏へと季節が移る頃。
光子と優子の妊娠は、五ヶ月を迎えていた。
つわりの波は少しずつ落ち着き、
身体は“安定期”へと入っていく。
⸻
ある朝。
食卓に並ぶ料理の量が、明らかに増えていた。
美鈴
「……あんたたち、食べる量増えたね」
光子
「うん。お腹すく」
優子
「めっちゃお腹すく」
結音
「昨日まで“食べられん”って言ってたのに」
陽翔
「急に強くなった」
灯乃
「たべるー!」
燈真
「ぼくもー!」
⸻
光子は、酢の物をぱくぱく食べる。
光子
「今は酸っぱいの+普通のごはんもいける」
優子は、少し辛めの料理を口に運ぶ。
優子
「うちは辛いの+ごはん。これ最強」
美香
「食欲戻ってよかったね」
優子
「ほんとに。食べられるってありがたい」
光子
「命のためにもね」
⸻
その頃――
遠く離れた場所で。
⸻
ドバイ。
卓球の決勝戦。
ラリーが続く。
一球一球が重い。
⸻
拓実の目は、ぶれていなかった。
最後の一球。
相手の強打を、冷静に返す。
角度。タイミング。
そして――
決まる。
⸻
会場に歓声が響く。
⸻
実況
「柳川拓実、優勝!!」
⸻
拓実は、ラケットを握ったまま、小さく息を吐いた。
そして空を見上げる。
⸻
マレーシア。
テニスの決勝戦。
暑さと緊張の中。
翼は、静かに構えていた。
⸻
サーブ。
強い一球。
相手が返す。
ラリー。
そして――
決定打。
⸻
実況
「青柳翼、優勝!!」
⸻
翼はラケットを握りしめたまま、ゆっくりと拳を握る。
⸻
二人とも、確実に近づいていた。
⸻
オリンピック代表。
⸻
その知らせは、日本にもすぐ届いた。
⸻
博多本部。
優子がスマホを見て、声を上げる。
優子
「拓実、優勝しとる!!」
光子
「翼も!!」
美香
「すごい……二人とも」
結音
「やったー!」
陽翔
「さすが!」
灯乃
「やったー!」
燈真
「やったー!」
⸻
優子は、思わずお腹に手を当てる。
優子
「聞いた? お父さん、勝ったよ」
光子も同じように。
光子
「すごいね……ほんとに」
⸻
それから数日後。
⸻
福岡空港。
帰国ロビー。
人の流れの中で、二人の姿が見える。
⸻
拓実。
翼。
⸻
少し焼けた顔。
でも、表情は柔らかい。
⸻
今回は、無理をしない範囲で、光子と優子も迎えに来ていた。
椅子に座りながら、静かに待っている。
⸻
目が合う。
その瞬間、距離が一気に縮まる。
⸻
まず、優子と拓実。
言葉は出ない。
ただ――
優子が立ち上がり、そっと抱きしめる。
⸻
優子
「……おかえり」
拓実
「ただいま」
⸻
少しだけ強く抱きしめる。
でも、お腹を気遣う優しさで。
⸻
優子
「おめでとう」
拓実
「ありがとう」
⸻
次に、光子と翼。
光子はゆっくり歩いて近づく。
⸻
光子
「……おかえり」
翼
「ただいま」
⸻
そのまま、そっと抱きしめる。
静かに、でも確かに。
⸻
光子
「すごかったよ」
翼
「見とった?」
光子
「もちろん」
⸻
一瞬、目が合う。
⸻
光子
「……おめでとう」
翼
「ありがとう」
⸻
子どもたちも駆け寄る。
陽翔
「お父さん!」
燈真
「おとうしゃん!」
結音
「優勝やろ!」
灯乃
「すごいー!」
⸻
拓実と翼は、それぞれ子どもたちを抱き上げる。
⸻
その光景は、試合の勝利とはまた違う、
もう一つの“帰る場所”だった。
⸻
美鈴が少し離れたところで見ている。
美鈴
「よう頑張ったね」
美香
「ほんとに」
⸻
優子は、拓実の腕にそっと触れる。
優子
「代表、見えてきたね」
拓実
「うん。ここからが勝負」
⸻
光子も、翼を見て言う。
光子
「あと一歩やね」
翼
「必ず取る」
⸻
二人の言葉は、力強かった。
でもその裏には――
家族の支えがあった。
⸻
帰り道。
夕方の光の中。
みんなで歩く。
⸻
優子
「今日は、いっぱい食べていいよ」
拓実
「それは嬉しい」
光子
「うちも食べる」
翼
「それが一番安心する」
⸻
笑い声が、また戻ってきた。
⸻
安定期に入った体。
戻ってきた食欲。
そして――
世界で戦い、帰ってきた二人。
⸻
それぞれが少しずつ前に進みながら、
同じ場所に集まる。
⸻
その日の夜。
食卓は、いつもより少しだけにぎやかだった。
第39話「PayPayドーム、謎かけで腹筋崩壊」
2050年初夏。
PayPayドーム。
ホークス対ライオンズの試合前、球団公式応援を担当するファイブピーチ★から、この日は美香、奏太、小春の三人が登場した。
光子と優子は安定期に入り、体調を見ながら自宅から応援。
その分、三人がドームを盛り上げる。
美香
「みなさん、こんにちはー!」
奏太
「今日はホークスの勝利を願って、全力で応援していきます!」
小春
「ただし、光子と優子がいないから静かになると思った方」
三人
「甘いです!」
スタンド、大爆笑。
美香
「二人は今、自宅でしっかり応援しています」
奏太
「お腹の赤ちゃんたちも、たぶん応援しています」
小春
「ただし、胎教にせきちゃん閣下が混ざっている可能性があります」
ベンチのホークス選手たち、すでに笑い始める。
美香
「ではここで、試合前恒例、爆笑発電所式・謎かけ問答!」
奏太
「今日のお題は二つ!」
小春
「一つ目、妊娠!」
美香
「二つ目、せきちゃん閣下!」
球場、ざわつく。
奏太
「組み合わせが危険すぎる!」
小春
「ではまず美香さん!」
美香、マイクを握る。
美香
「妊娠とかけまして、ホークス打線と解きます」
奏太
「その心は?」
美香
「どちらも、これから大きく育つでしょう!」
スタンド拍手。
ホークスベンチ
「おおー!」
小春
「綺麗に来た!」
奏太
「普通にうまい!」
美香
「次、奏太!」
奏太
「せきちゃん閣下とかけまして、ライオンズの強力打線と解きます」
美香
「その心は?」
奏太
「どちらも、油断すると止まらないでしょう!」
ライオンズベンチまで笑う。
小春
「敵味方関係なく刺さった!」
美香
「ライオンズさん、すみません!」
ライオンズの選手がベンチで手を振る。
小春
「じゃあ私いきます」
小春
「妊娠中の光子・優子とかけまして、PayPayドームの満員の応援と解きます」
奏太
「その心は?」
小春
「どちらも、中から熱い命の音が響いています」
一瞬、球場が温かい拍手に包まれる。
美香
「小春、急に泣かせに来た」
奏太
「ずるい」
小春
「でもここで終わりません」
美香
「嫌な予感」
小春
「せきちゃん閣下とかけまして、延長十二回の総力戦と解きます」
奏太
「その心は?」
小春
「どちらも、見てる側の体力が先に尽きます!」
ホークスベンチ、完全崩壊。
選手たちがグラブで顔を隠して笑っている。
美香
「ベンチの腹筋、危険水域です!」
奏太
「まだ試合前です! 温存してください!」
さらに美香が追撃する。
美香
「せきちゃん閣下とかけまして、満塁ホームランと解きます」
小春
「その心は?」
美香
「どちらも、出た瞬間に場内がドッカンです!」
スタンド、大歓声。
奏太
「今日のホームラン、全部ぴよぴよフォルテ打法でお願いします!」
小春
「いや、それ打球がどこ飛ぶか分からんやつ!」
その瞬間、ビジョンに自宅の光子と優子が映る。
優子
「ちょっと待って、せきちゃん閣下を打法にするな!」
光子
「でも、打った瞬間ドッカンは縁起いいね」
優子
「じゃあ今日の合言葉は?」
三人、観客、選手たちが一斉に構える。
美香
「せーの!」
全員
「ぴよぴよフォルテ!」
小春
「PayPayドームで言わせた!」
奏太
「もう戻れません!」
ホークスの選手たちは笑いすぎて、試合前の円陣で肩を震わせていた。
そして美香が締める。
美香
「妊娠も、試合も、人生も、焦らず一球ずつ!」
奏太
「今日も全力で!」
小春
「ホークス勝利へ!」
三人
「安全運行……じゃなくて、全力応援でまいります!」
スタンド、大拍手。
その日のPayPayドームには、試合開始前からすでに勝利したような熱気と、腹筋崩壊級の笑いが渦巻いていた。
第40話「5回終了、来るなと思ったら来た」
試合は中盤、5回終了。
スコアボードが切り替わり、
おなじみのインターバル演出――のはずだった。
場内アナウンス
「ここで、特別映像をお届けします!」
美香(MC)
「え、特別?」
奏太
「この流れ、嫌な予感しかしない」
小春
「しかも“特別”って言い方が一番危ないやつ」
観客席でもざわつきが広がる。
「まさか…」
「来る?」
「来るよね…」
⸻
次の瞬間。
ドカン。
ビジョンいっぱいに現れたのは――
せきちゃん閣下の顔(超アップ)
⸻
場内
「うわあああああああああ!!」
美香
「来たあああああ!!」
奏太
「やっぱり来た!!」
小春
「最悪のタイミングで来た!!」
⸻
せきちゃん閣下、ドヤ顔。
せきちゃん閣下
「どうも、園児たちのスターです」
スタンド
「出たあああ!!」
⸻
せきちゃん閣下、横向きになる。
せきちゃん閣下
「さて、今日は特別に見せよう」
奏太
「見せるな」
小春
「やめとけ」
⸻
せきちゃん閣下
「俺のこのお腹……」
一瞬の間。
⸻
せきちゃん閣下
「きれいやろ?」
⸻
0秒。
⸻
ビジョン横に小さく現れる、せいちゃん姫(乱入)
⸻
せいちゃん姫
「違うわ〜!!」
⸻
場内、一瞬止まってから――
大爆発。
⸻
せいちゃん姫
「あんたのはメタボや!!」
⸻
ホークスベンチ
「ブフッ!!」
ライオンズベンチ
「無理無理無理!!」
⸻
せいちゃん姫、止まらない。
せいちゃん姫
「光子さん優子さんと一緒にすな!!」
⸻
スタンド
「それなあああああ!!」
⸻
コメント演出(ビジョン風テロップ)
「命の記録と脂肪の記録w」
「比較対象が間違いw」
「粟穂の蓄積やめろw」
⸻
せきちゃん閣下
「なぜだ! せきちゃんにもロマンが!」
せいちゃん姫
「あるのはカロリーや!!」
⸻
選手たち、完全崩壊。
ホークスの主砲、ベンチで腹を抱えてうずくまる。
ライオンズの捕手、マスクで顔を隠して震える。
⸻
奏太(MC)
「選手の皆さん! 試合中です!!」
小春
「腹筋のウォーミングアップじゃないです!!」
美香
「いやでもこれは耐えられん!」
⸻
せきちゃん閣下、まだ続ける。
せきちゃん閣下
「せきちゃんも公式に――」
せいちゃん姫
「投稿すな!!」
⸻
つんっ(効果音つき)
⸻
せきちゃん閣下
「なぁ〜!! PayPayドームで叩かれるとは思わんかった〜!!」
⸻
観客席、さらに爆発。
⸻
美香
「本日の結論!」
奏太
「妊婦のお腹は!」
小春
「命の美しさ!」
三人
「せきちゃん閣下のお腹は!」
せいちゃん姫
「メタボ!!」
⸻
全員
「それやあああああ!!」
⸻
その瞬間、ドーム全体が揺れるほどの笑い。
⸻
場内アナウンス(少し笑いをこらえながら)
「……以上、特別映像でした」
⸻
試合再開。
しかし――
⸻
実況席
「えー……選手たち、まだ笑ってますね……」
解説
「これは集中戻すの大変ですよ……」
⸻
ホークスの投手、マウンドで深呼吸。
しかし小さくつぶやく。
投手
「メタボ……」
⸻
キャッチャー
「やめろ今それ言うな!!」
⸻
観客席でも。
「ぴよぴよフォルテ打法くる?」
「いやメタボ打法やろw」
⸻
美香(MC)
「さあ! 気持ち切り替えて!」
奏太
「ここからは真剣勝負!」
小春
「笑いすぎ注意で応援お願いします!」
⸻
そしてその日、記録に残った。
⸻
「5回終了時、全員の腹筋が一度崩壊した試合」
⸻
なお、
試合後のヒーローインタビューで選手はこう言った。
⸻
「途中で笑いこらえるのが一番きつかったです」
第41話「7回終了、子育て理論という名の暴風」
試合は終盤へ。
7回終了。ラッキーセブン。
本来なら応援歌がドームを包み、
風船が舞う――はずの時間。
だが、この日のPayPayドームは違った。
⸻
場内アナウンス
「続いて、特別コーナーです」
美香(MC)
「……いや、もう嫌な予感しかしない」
奏太
「5回であれやったのに?」
小春
「“特別”って言葉、今日は危険ワードや」
⸻
ビジョンが暗転。
一瞬の静寂。
⸻
ドン。
⸻
再び現れる、せきちゃん閣下。
しかも今回は――
なぜか教壇風セット付き。
⸻
せきちゃん閣下
「どうも、子育てのプロです」
⸻
場内
「誰がやあああああ!!」
⸻
せいちゃん姫、即乱入。
せいちゃん姫
「どの口が言うとる!!」
⸻
せきちゃん閣下、まじめな顔。
せきちゃん閣下
「本日は、“せきちゃん閣下の爆笑子育て理論”を伝授する」
奏太
「やめろ」
小春
「今すぐ止めろ」
美香
「でも見たい」
⸻
◆理論その1
せきちゃん閣下
「子育てとは、自由である」
せいちゃん姫
「雑!!」
⸻
せきちゃん閣下
「子どもは自由に育てるべし」
きびまる
「お父ちゃん、自由すぎる」
あわまる
「放置?」
しらゆき
「それは管理不足」
⸻
選手ベンチ
「的確なツッコミやめろwww」
⸻
◆理論その2
せきちゃん閣下
「子どもが泣いたら、歌えばいい」
⸻
一瞬の間。
⸻
せきちゃん閣下
「ぴよぴよフォルテ!」
⸻
場内
「出たあああああ!!」
⸻
せいちゃん姫
「余計泣くわ!!」
⸻
ホークスベンチ
「無理wwwww」
ライオンズベンチ
「腹筋が持たんwww」
⸻
◆理論その3
せきちゃん閣下
「子どもが言うことを聞かない時は」
全員
「?」
⸻
せきちゃん閣下
「もっと言うことを聞かない」
⸻
0秒。
⸻
せいちゃん姫
「逆効果や!!」
⸻
きびまる
「それ親やない」
あわまる
「ただの問題児」
しらゆき
「理論崩壊」
⸻
観客席、完全に耐えきれない。
⸻
◆理論その4(最終奥義)
せきちゃん閣下
「そして一番大事なのは――」
⸻
ドーム、静まり返る。
⸻
せきちゃん閣下
「愛である」
⸻
一瞬、いい話の流れ。
⸻
せきちゃん閣下
「ただし、全員に分配する」
⸻
せいちゃん姫
「だからそれが問題や!!」
⸻
大爆発。
⸻
ホークスの選手、ベンチで崩れ落ちる。
ライオンズの監督、帽子で顔を隠して震える。
⸻
実況席
「えー……試合終盤ですが……」
解説
「完全に腹筋の消耗戦です」
⸻
◆MCまとめ
美香
「えー、本日の子育て理論まとめます」
奏太
「子どもは自由に」
小春
「泣いたら歌って」
美香
「言うこと聞かんかったら親も聞かん」
奏太
「そして愛は分配」
⸻
三人、同時に。
⸻
三人
「絶対参考にしないでください!!」
⸻
せいちゃん姫
「正解や!!」
⸻
◆追撃(止めない)
せきちゃん閣下
「最後に一言」
全員
「やめろ」
⸻
せきちゃん閣下
「ぴよぴよフォルテで子育て!」
⸻
せいちゃん姫
「育つかあああああ!!」
⸻
ドーム、三度目の大崩壊。
⸻
風船が上がるタイミングなのに、
観客は手を叩いて笑っている。
⸻
選手たち、まだ笑いを引きずる。
投手
「……愛は分配……」
キャッチャー
「やめろ今思い出すな!!」
⸻
◆その日の記録
⸻
「7回終了時、子育て理論により全員の腹筋が三度目の崩壊」
⸻
なお、試合後のヒーローインタビュー。
選手はこう語った。
⸻
「正直、集中力より腹筋が持たなかったです」
第42話「ホームラン理論、雑すぎて伝説」
試合は最終盤。
PayPayドームの熱気は最高潮――のはずだった。
しかし。
7回の“子育て理論”で一度崩壊した空気は、
まだ完全には戻っていない。
⸻
場内アナウンス
「……続いて、特別ワンポイント解説です」
美香(MC)
「まだあるの!?」
奏太
「やめてくれ、選手が持たん」
小春
「もうこれ以上は危険や」
⸻
ビジョン、暗転。
⸻
ドン。
⸻
せきちゃん閣下、再登場。
しかも今度は――
バット(おもちゃ)持ってる。
⸻
場内
「うわああああああ!!」
⸻
せきちゃん閣下
「今日は特別に、ホームランの打ち方を教える」
⸻
奏太
「絶対あかんやつ」
小春
「野球界に謝れ」
美香
「でも聞きたい」
⸻
せきちゃん閣下、構える。
せきちゃん閣下
「まず」
全員
「……」
⸻
せきちゃん閣下
「来たボールに」
⸻
一拍。
⸻
せきちゃん閣下
「ビュンとバットを当てて」
⸻
せいちゃん姫
「雑!!」
⸻
観客席
「ビュンwwwww」
⸻
せきちゃん閣下、続ける。
せきちゃん閣下
「次に」
⸻
せきちゃん閣下
「ブンと腰を回して」
⸻
せいちゃん姫
「擬音ばっかりや!!」
⸻
ホークスベンチ
「もう無理wwwww」
ライオンズベンチ
「腹筋やられるwwwww」
⸻
せきちゃん閣下、ドヤ顔。
⸻
せきちゃん閣下
「最後に」
⸻
ドーム、静まる。
⸻
せきちゃん閣下
「あとは適当に走るや」
⸻
0秒。
⸻
せいちゃん姫
「適当やなあああああ!!」
⸻
大爆発。
⸻
観客
「適当に走るなwwwww」
「ホームランの概念壊れたw」
「プロ野球で言うことちゃうw」
⸻
選手たち、完全崩壊。
ホークスの4番、バット持ったまま笑い崩れる。
ライオンズの外野手、膝に手ついて震える。
⸻
実況席
「えー……技術的な解説ではありません……」
解説
「全部感覚論ですね……いや感覚以下ですね……」
⸻
◆MCまとめ
美香
「まとめます!」
奏太
「ビュン!」
小春
「ブン!」
美香
「そして適当に走る!」
⸻
三人同時に。
⸻
三人
「絶対参考にしないでください!!」
⸻
せいちゃん姫
「それが一番大事や!!」
⸻
◆まさかの影響
次の打席。
ホークスの打者、構える。
⸻
小声で。
打者
「……ビュン……ブン……」
⸻
キャッチャー
「やめろ!!」
⸻
ピッチャー、投げる。
打者、スイング。
⸻
カキーン!!
⸻
打球、スタンドへ。
⸻
実況
「入ったああああああ!!ホームラン!!」
⸻
ドーム、歓声と爆笑が同時に巻き起こる。
⸻
ベンチ
「ほんとに打ったああああ!!」
⸻
打者、ベースを回りながら笑っている。
打者
「……適当に走るわ」
⸻
観客
「やめろwwwww」
⸻
◆その日の記録
⸻
「せきちゃん閣下のホームラン理論、なぜか一部で成功」
⸻
試合後インタビュー。
打者
「えー……ビュンとブンでいきました」
⸻
記者
「適当に走ったんですか?」
打者
「そこはちゃんと走りました」
⸻
球場中、再び大爆笑。
⸻
そして最後に、せきちゃん閣下。
⸻
せきちゃん閣下
「野球も、子育ても、人生も――」
⸻
せいちゃん姫
「まとめるな」
⸻
せきちゃん閣下
「ぴよぴよフォルテや!」
⸻
全員
「だから違うわあああああ!!」
⸻
その日、PayPayドームは――
**歴史的に一番“笑いが勝った試合”**として語り継がれることになった。




