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6-7.歓迎

「これ」



私は恒例のコミュ障を発揮しながら、

受付で冒険者カードを提示していた。


この世界の冒険者のランクは

A~Gランクと、最高のSランクが存在する。


「Sランクの・・・アルカちゃん?

アルカちゃんなの?本当に!?」


「うん」


私の冒険者カードを見た受付嬢は返事を聞くなり、

私に抱きついてきた。


ノアちゃんがすごい顔で驚いてる。



私がどうしようかと手をわちゃわちゃしていると、

何事かとこちらに意識を向ける冒険者達。


「皆!アルカちゃんが来たわよ!

やっと帰ってきたのよ!」


「アルカの嬢ちゃんが!?」


冒険者達は口々に驚きと歓迎の言葉を私に伝えながら迫ってくる。


「驚いたな!あのチンチクリンの嬢ちゃんが

こんな美人さんになるなんて!全然気付かなかったぜ!

確かによく見ると面影があるな!」



その時ギルド内にいた職員と冒険者達殆ど全員に囲まれて、

私は何も言えずにされるがままになる。


「相変わらず嬢ちゃんは無口だな!」



ちょっと予想はしてたけど、

思ってた以上に囲まれてしまい、パニクる私。


ノアちゃん助けて!!!


ノアちゃんに助けを求めようとするも、

既にノアちゃんは側にいなかった。

速くも状況を察して、壁際に退避していたようだ。


ノアちゃんの薄情者!


視線で訴えかけるも、何も言わずに首を横に振るノアちゃん。


耐えて下さい。いい機会です。


そんな事を言っているような気がする!

被害妄想かもしれんけど!



「何事だ!騒がしい!」


奥からこのギルドのギルド長である女性が現れた。

ややこしいからギルド長さんとしておこう。


名前?私が聞いてるわけ無いじゃん。

名乗られたかもしれないけど、

呼んだこともないのに何年も覚えてないわ。



「ギルド長!アルカちゃんです!

アルカちゃんが帰ってきたんです!」


「アルカだと?

おお!本当にアルカじゃないか!

お前、なんで何年も帰ってこなかったんだ!

ちょっとこっち来い!」


私はギルド長さんに引きずられて奥に連行される。



「ギルド長!横暴です!

アルカちゃんを取らないで下さい!」


「うるさい!後で返してやる!

まずはこっちが先だ!」



完全にお気に入りの玩具扱いだ。

全然嬉しくない。



いつの間にか私の横を歩くノアちゃん。

恨めしげな目で見てもどこ吹く風だ。

ちくせう。



「お前は?」


ギルド長さんがノアちゃんに問う。



「アルカのおりです」


ノアちゃん!?

そんな風に思ってたの!?



「なるほど。親しいようだな

こいつより、お前と話した方が速いかもしれん」



「なにかアルカにやらせたい事でもあるんですか?」



「いや、別にそうでもないんだが、

アルカのこれまでの事を聞いておきたくてな」


「なんせこの町にはいないSランク冒険者だ。

Sランクだけあっていろいろ情報は届いているが、

直接本人からも聞いておきたい」


「それに、昔散々世話してやったのに、

薄情なことに他所の国で冒険者やってやがった件についても

詳しく聞きたいところだな」



「じゃあ、私は出しゃばらないほうが良いですね。

私がアルカと一緒にいるようになったのはまだ一年にも満たないので」



「ほう?いや、お前の事も聞きたいな。

お前ノアだろ?世界中のギルドで

お前の事もアルカの情報と一緒に出回ってるぞ。

なんてったって魔王を倒した冒険者だ。」


「あと、一応言っておくとアルカの証言って時点で

私達もあの話の真偽なんか疑っちゃいない。安心しろ」



「・・・そうですか」


ノアちゃんは冷静な顔を保っているけど、

いつも通り尻尾が嬉しさを隠せていないゾ!

私が信用されてるのがそんなに嬉しかったのかな?かな?


私の視線に気付いたノアちゃんが冷たい目を向けてきた。

ごめんなさい。

からかうつもりは無いからそんな顔しないで・・・



そうして辿り着いた部屋のソファに放り込まれて、

話が始まる。



気分は証言台に立たされる被告人だ。


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