5-6.vs眷属②
私はセレネ達の元を離れて前に出る。
今度は私が攻撃の主役になって、
クレアとノアちゃんは私に攻撃が届かないよう、
敵の攻撃を切り捨てていく。
私は圧縮した炎の刃を放って攻撃していく。
セレネの結界すら切り裂くまで育て上げた、
炎の刃は魔王の衣をも切り裂いていく。
「やはり君の力は素晴らしい!
欲しい!!その力、何としても!!」
炎の刃に切り刻まれながら、
エルドス枢機卿は笑みすら浮かべている。
完全に私をターゲットにしたようだ。
もうクレアにすら注意を払っていないように見える。
大きな傷口が増える度に、闇の触手が増えていき、
敵の手数もどんどん増えていく。
(いつまで増えるのよ!!)
枢機卿はもう殆ど、人の形を留めていない。
闇の触手の塊とかしても、私を付け狙っている。
迫ってくる触手をクレアとノアちゃんが次々に切り裂いていくが、
触手は切断面から際限無く伸びてくる。
私も転移門を併用して数を減らそうとするがキリが無い。
またも戦況が硬直してしまう。
本体をいくら切り刻んでも倒れる気配もなく、
すぐに膨れ上がっていく。
一撃で全て焼き払わなければ、
いつまでも終わりそうにない。
かと言って、まだ奥の手である杖の力を使うのは早い。
あれを使ってしまったら次がない。
「クレア!ノアちゃん!時間稼ぎお願い!」
「おう!」「はい!」
私は、一旦攻撃の手を止めて、
爆撃魔法を準備する。
炎の刃と同じようにどんどん圧縮していく。
「セレネ!」
「はい!」
私の意図を察したセレネがクレアとノアちゃんの
ところまで届く結界を貼って触手を食い止める。
クレアとノアちゃんも結界を見て私の後ろに向かって駆けていく。
私は限界まで圧縮した爆撃魔法を触手の中心部めがけて放つ。
転移門を全員を守るように前面に展開して衝撃に備える。
次の瞬間、触手の中心に命中した爆撃魔法で建物ごと周囲一体が吹き飛んだ。
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「やりすぎだ馬鹿野郎!」
クレアに怒鳴られた。
触手の塊はどこにも見当たらない。
枢機卿は消し飛んでしまったのだろうか。
転移門で守られた私達側以外の建物の壁も天井も消し飛び、
奥には光の球体が見える。
「あれが魔王の封印ね」
「なんかヒビが入ってるんだけど・・・」
セレネ相変わらず目が良いわね。
まだ少し距離があるのに、
あんな光ってる物の表面のヒビまで見えるなんて。
とか言ってる場合じゃない!
え!?
魔王の封印って聖女の血が無いと解けないんじゃなかったの?
あ~
今まで散々力ずくで神の力を突破してきたのだ。
封印だって例外じゃないだろう。
ただでさえ、殆ど封印は解けかけていたのだ。
無理もない。
「皆!ごめん!やっちゃった!」
「「「「アルカ!」」」」
私達は急いで、封印の元に近づく。
近くに来てわかったが、
ヒビは徐々に広がっており、
隙間から闇が溢れ出している。
「セレネ!封印かけ直せる?」
「やってみるけど・・・」
セレネが封印に力を注いでいくと、
ヒビの広がりが少し遅くなる。
「ごめん。無理そう」
セレネは汗をかきながら、
必死に力を注いでいくが、
どうやら抑えきれないようだ。
「セレネ!もう良いから距離を取って備えて!」
「うん!」
セレネは素直に封印のかけ直しを諦めて、
私達と一緒に魔王の封印から距離を取る。
「どうせなら魔王とも戦いたかったんだ。
ちょうどいいぜ!」
クレアが剣を構えて私達の前に出る。
「懸念事項は全て取り除くべきだろう。
まあ、この結果も悪くはないとも」
グリアは魔王の封印を注視しながら、
セレネの背後に回る。
「今度こそ役にたってみせるよ!」
セレネは全員を囲うように結界を貼る。
「アルカには後で話があります。
だから、絶対に生きて帰りますよ!」
ノアちゃんは私の前に出て、
私を守る為に備える。
「今度こそ最後だ!皆頑張ろう!」
私は、初撃を加える為に、
先ほどのように圧縮爆撃魔法を準備する。
遂に封印が砕け散り、中から闇が溢れ出す。