3-6.訓練
「魔法大学への紹介状?
教師にでもなるのか?授業なんて出来ないだろ。」
「違うわよ!転移魔法と魔力の運用効率の研究について聞きたいの!
しかもなんで出来ないって断言してるのよ!」
「アルカが人前で喋れるわけないからですね。」
「!?」
ノアちゃんが横からフレンドリーファイアしてきた。
ノアちゃん酷い・・・
「ノア大丈夫!アルカは普段は喋れなくても、やれば出来る!」
セレネが援護射撃をしてきた。
もうやめて二人共。私の心はもう!
「三人よればとは言うが・・・」
「うっさいわね!良いから頼んだわよ。出来るわよね?」
「まあ、手配はしておこう。」
私はギルド長に依頼して、
ノアちゃんとセレネを引き連れ退室する。
「セレネはギルド登録しないのですか?」
「まだ無理かな。冒険者になれる技量が無いから。
ノアちゃんは最初から動けたから特別なのよ。」
「早く強くなるね!」
「最近はノアちゃんと一緒に鍛錬してるもんね。
きっとすぐに強くなれるわ。」
「うん!」
「アルカ・・・それは・・・」
「どうしたの?ノアちゃん。」
「その・・・セレネはちょっとばかり運動能力に問題が・・・」
「え!?」
「ノア・・・そっか。やっぱりそうなんだ・・・」
「ノアちゃんがそこまで言うほどか・・・
魔法も頑張ってみる?
正直あまり素質は無さそうなんだけど・・・」
「アルカまで!?二人共酷い・・・」
「大丈夫よ!セレネには聖女の力があるわ!」
「そうです!近接が私、遠距離がアルカ、補助にセレネでちょうどいいです!」
「でも、ノアにも聖女の才能があるって・・・」
「「うぐっ」」
「やっぱり、私はいらない子なんだー!」
「「泣かないでセレネ!そんな事思ってないから!」」
「ふふ、二人共息ぴったり」
「「嘘泣き!?」」
「ぷっふふふ」
そのままセレネはしばらく笑っていた。
落ち込んでなくてなによりだ。
「私は聖女の力を使えるように頑張る!
まだ良くわかってないけど、神様を信じてみる。」
「それはそれとして、最低限動けるようになりたいから、
これからも宜しくね。ノア」
「はい!」
「お!アルカ!戻ってたのか!殺るか!」
「やらないわよ!アホクレア!」
「クレアさん!私と訓練をしてくれませんか!
すぐに強くなりたいんです!」
「!?正気ノアちゃん!」
「おういいぜ!ノアは絶対に強くなる!
早く強くなってもらわなきゃな!」
「ノアちゃんに怪我させたら絶対に許さないわよ!」
「わーってるよ。お前私を何だと思ってるんだ。」
「蛮族?」
「喧嘩なら買うぞ?」
「売らないわよ!あんたの相手なんて必要に駆られなきゃしないわよ!」
「なんだ残念。」
「でも、勇者の力の検証はさせてもらうわよ。
どの攻撃なら通るのか調べなきゃいけないんだから。」
「いつでもこい!」
「いくつか調査が済んだら来るわ。その時は頼んだわよ。」
「おう!」
ノアちゃんとクレアはギルドの訓練場に向かっていった。
まあ、流石のクレアでもおかしな事はしないだろう。
「ノアちゃん!夕飯までには帰ってきてね~!」
「は~い!」
「じゃあ、行こうかセレネ。」
「うん!そうだ、アルカ。帰ったら力の使い方一緒に練習しよう?」
「もちろん。セレネも頑張ってるものね。」
「えへへ」
照れ笑いセレネ可愛い。
珍しく私はセレネと二人きりで過ごした。
セレネはやはりまだ力を使えてはいない。
なにか取っ掛かりを見つけられたら良いのだけど。
魔法を使っている感覚を元にセレネに力の使い方をアドバイスしていく。
魔法とは完全に別物だから、参考になるかは疑問だが、
一つ一つ試していくしか無い。
「アルカ!ありがとう」
結局、進展は無かったけど、
付きっきりで教えた事をとても喜んでくれた。
それからしばらく、セレネはずっとニコニコして過ごし、
私は帰ってきたノアちゃんに問い詰められるのだった。
「二人だけで何してたんですか!
私がいない間に何か良いことしてたんですか!」
ヤキモチノアちゃん可愛い。
「そんなんじゃないです!」