03-05.白猫少女の気持ち
私たちは一通りの挨拶回りを終えて、自宅に戻ってきた。
一通りとはいえ、私自身はギルドとドワーフ爺さんの店だけだけど。
ノアちゃんは、いつの間にか町の人たちとも仲良くなっており、ノアちゃんについて回ることになった。
なんか私よりこの町に馴染んでる!
行く先々で「久しぶり」「どこいってたの?」と挨拶されるノアちゃん。きっと食料や消耗品の買い出しの時に仲良くなったのだろう。いつの間にか町の人気者になっていた。
私だけのノアちゃんだったのに!
ともあれ、ノアちゃんが楽しくやっている事は素直に嬉しいものだ。
買い出しといえば、今後は家事も分担していこう。
ノアちゃんが来た時についつい任せてしまったが、私はノアちゃんを奴隷として扱いたいわけじゃない。実際、とっくに奴隷契約自体は解除してある。
今までノアちゃんの優しさに甘えてきてしまった。せっかく家族が増えるのだから皆でやっていくとしよう。
そんな話をノアちゃんにしたら猛反対されてしまった。
「アルカ! 私は好きでやってるんです! 取らないでください!」
「う~ん。でもね。人数も増えたし、家族は助け合って生きていくものよ? 一人に全て任せるのは良くないと思うの」
「それは……でも」
「ノア! 私にもやらせて! 私もちゃんと家族になりたいの!」
「うん……」
「じゃあ、こうしましょう♪ ノアちゃんを我が家の家事の責任者に任命します♪ だから私たちにお手伝いさせて♪ その時はノアちゃんの差配でやるから♪」
「……わかりました。それで構いません。但し! アルカはいっぱいやっちゃダメですよ! アルカのお陰で私たちは生きているんです! 少しは恩返しさせてください!」
ノアちゃん……良い子やぁ……。
うるっときちまったぜ……。
歳のせいかしら?
まだそんなんじゃないやい!
日本だったらまだJDだもん!
「わかったわ♪ 交渉成立ね♪」
交渉ってちょっと変かしら♪ ふふ♪
「それとね、ノアちゃん。あとセレネもね。一つだけ約束して欲しいのだけど、私への恩なんか気にせずにやりたいことを優先してね。いつか大きくなったら好きなように生きて良いんだから。今はまだ一人で生きていくのは難しいから、私と一緒にいましょうね。その間は私も二人にいっぱい頼っちゃうからね♪」
「大きくなったら一緒にいてくれないの?」
ノアちゃんを動揺させてしまった。口調が変わってる。
「もちろん、ノアちゃんがいたいと思う間は、一緒にいてくれて良いのよ。私もそれは嬉しいし。でもね、そういう選択肢もあるって知っておいて欲しいの。この事は今すぐに考えなくて良いから、ただ覚えておいて欲しいなって」
「わかりました。でもずっと一緒にいますからね!」
「ありがとう。そう言ってくれて嬉しいわ」
私はノアちゃんとセレネを纏めて抱きしめた。
「今のは全部セレネも同じ事だからね。私はセレネと一緒にいることも嬉しいの」
「はい!」
私とノアちゃんのやり取りをハラハラと聞いていたセレネに念押しすると、いい返事が返ってきた。
セレネはまだノアちゃんに引っ張られていたり、どうして良いかわからず固まってしまう事が多い。
だから、もう少し慣れてからでいいから、いつか自分のやりたいことをやってくれると嬉しいな。
それでセレネからの我儘も聞けると、私はきっと嬉しいだろう。
その日は、三人で買い出しに行き、料理や家事をして仲良く過ごした。
そんな日々がまた暫くは続いた。
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私はこれからやらなければいけない事を整理した。
その一、私自身が強くなる。
その二、聖女の力の使い方を見つける。
その三、勇者の力を高める。
その四、魔王眷属一行の行方を追い、倒す。
ここまでは必須事項だ。
その五、他の聖女候補を探す。
これについてはギルド長に頼んである。
セレネ以外にノアちゃんがいるのだから、きっと他にもいることだろう。
その候補たちが魔王復活に利用されてしまえば、セレネを守っているだけでは足りないかもしれない。
問題は、聖女の判別方法がわからない事だ。
一先ず、後手に回る手段ではあるが、行方不明の少女が増えている場所はないか調べてもらっている。
敵の口ぶりでは魔王復活には何らかの条件が必要なはず。
「今宵は条件が揃う千載一遇のチャンス」と奴はいったのだ。特定の期間のみ条件が揃うのなら、次は失敗しないために、入念な準備をすることだろう。
仮に聖女候補を拉致して回るなら尻尾を掴めるかもしれないと考えたのだ。
まあ、敵が転移を使えるならばあまり意味はないかもしれない。この件が無くたって、行方不明の少女などいくらでもいるだろうし。
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私は強くなるために二つの目標を定めた。
一つは転移魔法の習得。もう一つは魔力の燃費改善。
私は一先ず、転移魔法について調べてみる事にした。
エルドス枢機卿一行は最後に忽然と姿を消した。仮にあれが転移魔法ならば、この世界にも存在する事になる。
習得できれば様々な使い道が思い浮かぶ。
単純に逃げるのが容易になるだろう。
相手も使える以上、絶対ではないかもしれないが、逃げ先を知る手段がわからなければ、これほど有効な手段は存在しない。
そして何より、他の技術を習得するためにも役立つ筈だ。世界中を転移して回れるなら、様々な地で調査が出来る。
敵を探すのもずっと楽になるはずだ。
魔法の研究をしている所なら心当たりが無いでもない。
ギルドを通せば協力依頼を取り付けられるだろう。




