1-3.依頼
ノアちゃんと一緒に依頼のあった場所に来た。
今回の依頼内容はオークの集落の殲滅だ。
年若い乙女二人をなんてとこに送り込むんだあのギルド長!
まあ、殆どの冒険者の手に負えないのはわかるけども。
もうちょっとしたら緊急案件にでもなってたのかな?
ともかく、ノアちゃんに変なものを見せないようさっさと片付けよう。
私は魔法使いだ。
一応近接戦闘もそれなりにできるけど、殆ど遠距離高火力での殲滅が主だ。
何も考えずに集落ごと滅ぼしていいなら楽だけど、囚われてる人とかいるかも知れない。
依頼内容ではそんな事は言ってなかったけど念には念をいれておこう。
まあ、ノアちゃん一人守るくらいなら問題ない。
「偵察に行ってきてもいいですか?」
どうやらノアちゃんは斥候系のようだ。
装備も身軽なものを選んでいる。
獣人のそれも猫であるノアちゃんには向いているのだろう。
私は少し考える。
流石にオークの集落に一人で放り込むのは不安だ。
それもわざわざ私が指名されるくらいだ。
今回のは用心しておいた方が良いだろう。
「ダメ。ノアは今日見学。側にいて。」
「わかりました!」
ノアちゃんのテンションがいつもより高い。
なんでだろう。用心しておこう。
結局、正面突破する事にした。
ノアちゃんにカッコいいところ見せたいしね。
私達が集落の入口に近づくとオークがぞろぞろと出てきた。
近づいたものから風の魔法で切り刻んでいく。
そのまま、集落の奥にあるボスの居場所と思われるところに乗り込んでいく。
どうやら捕まってる人は居ないようだ。
全てのオークを倒し、集落を出た私は集落ごと焼き払う。
他の魔物が再利用しても困るし。
全てが燃え尽きるのを確認して、任務を終える。
「アルカ本当に強かったんですね!凄いです!」
ふふん!もっと褒め給え。
ノアちゃんにキラキラした目で見つめられるのはとってもいい気分だ。
少しサービスしてあげよう。
「ノア模擬戦する?消化不良?」
「いいんですか!」
「いつでもどうぞ」
すかさず距離を詰めてくるノアちゃん。
判断が速い!
でもまだまだ。
ノアちゃんの攻撃を躱して、杖を足にかけて転ばせる。
ノアちゃんは倒れる前に自ら転がって、体勢を立て直す。
流石、猫獣人だな。器用に動くもんだ。
そのまま、ノアちゃんの気が済むまで相手をした。
「まさか一発も当てられないなんて。」
「ノアも良い動き」
「ありがとうございます!」
ノアちゃん良い子やな~
あんなに転がされてたのに嬉しそうにしてる。
心底楽しかったらしい。
本格的に育ててみようかな?
久々にダンジョン巡りをしてみるのも良いかもしれない。
ノアちゃんと二人でなら楽しそうだ。
すこしノアちゃんとの距離が縮まった事を喜びながら帰宅した。
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次の日はまた別の依頼をこなすことになった。
本当にたんまりやらされそう。
ノアちゃんも乗り気だし断りづらいな・・・
ギルド長め!卑劣な真似を!
私はもう家でゴロゴロと、ノアちゃんと一緒に丸くなっていたいんだ!
ノアちゃんだって猫なんだからこたつでも用意すればゴロゴロしてくれるはず!
あれ?いい案かも!
頑張ってこたつ作ってみようかな!
帰ったらドワーフ爺さんのところに相談に行こう。
私は楽しみを見つけ、さっさと依頼を片付けようと張り切るのだった。