01-02.冒険者
私とノアちゃんの二人暮らしが始まった。
ノアちゃんはとっても優秀だ。経験は無かったが、直ぐに家事はマスターした。
そんなある日、ノアちゃんはお願いがあると申し出た。
「アルカ、ダンジョンに行きたいです」
「ダンジョン? いいよ」
ノアちゃんには、要望があれば何でも言ってくれと伝えてある。早速お願いしてくれたらしい。
これは良いところを見せるチャンス!
強さにだけは自信があるのだ!
「どこ行きたい?」
「どこでも大丈夫です。少し動きたいだけですので」
ノアちゃんは強くなるのが好きなようだ。毎日、庭での訓練も欠かさない。今度試合形式で一緒にやってみようかな?
仲良くなれるかもしれない。
ちなみに、私は元々日本人だ。この世界に来た時に目立たないよう、この世界風の名前を名乗ることにした。
以来、アルカと名乗り続けている。
「今日は装備、揃えよう」
「いいんですか!?」
「うん。行こう」
ノアちゃんのテンションが上がる。武器とかも好きなのだろうか。この体格だとまだナイフくらいしか扱えないかな。
ノアちゃんを引き連れて馴染みの店に向かった。
「珍しい客が来たな」
ドワーフのお爺さんが出迎えてくれた。
「この子の装備を一式見繕って欲しいの」
今までノアちゃんと話す時と違う流暢な喋り方に、ノアちゃんが目を丸くした。
「普通に喋れたんですね」
グサッときた。
「ああ。こいつ、慣れてないとまともに喋れんからな。最初は面倒な客が来たと思っとったもんだ」
追い打ちがきた。
そうか、そう思われていたのかぁ……。
「あんま変なこと言わないでよ」
「そんな事気にしとらんで、早く慣れてやらにゃあ可愛そうだろうが」
おっしゃるとおりです。
この爺さんとはこの世界に来た頃からの付き合いだ。私はこの世界に来た時にこの町で冒険者になった。世界中を旅したけど、結局戻ってきてしまった。なんだかんだお世話になった人が一番多いこの町は居心地が良い。
そういえば、ノアちゃんの冒険者登録もしておかなくちゃだ。ギルド行きたくないな。ギルド長留守だといいなぁ。
会ったらきっと、依頼を押し付けられるだろうなぁ……。
憂鬱になっている間に、ノアちゃんは爺さんと装備を選び始めた。
ノアちゃんに合う防具も一揃いありそうだ。幼い少女に合わせられる物まであるとは流石だ。この爺さん意地悪だけど腕は確かだ。
「なんでこんなひらひらのまであるの? 爺さんの趣味?」
「なわけなかろうが。需要があるから用意してるに決まっとる」
相変わらず器用なもんだ。しかも地味にセンスが良い。この髭面からは想像もつかない。
「お前さんも昔は似たようなもん付けとったじゃろうが」
そういえばそうでしたね。もうそんなの似合う年齢じゃない。転移してきた時はまだ学生だったもの。
ノアちゃんの装備選びが終わり、ギルドに行くことになった。
「アルカ、早く慣れてくださいね?」
「頑張る」
「試しに目を合わせて名前を呼んでみてください。練習あるのみです!」
ノアちゃんが私を見上げてくる。
うっ可愛い! そんな目で見つめないで!
気恥ずかしくなって直ぐに視線を逸らす。
「ダメですよ。もうちょっと頑張ってください。慣れですよ慣れ!」
ノアちゃんは私の顔を両手で挟んで無理やり向けさせる。ノアちゃんの手、柔らかいなぁ
あっ無理……。
私は逃げ出した。
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「やっと顔出したな! 待っていたぞアルカ! お前にやってもらいたい依頼がたんまりあるんだ!」
ギルドに着くなり、ギルド長に捕まった。
「嫌よ何も聞きたくない。今は忙しいの」
「何が忙しいだ。どうせまた引き籠もってただけだろうが。ところでその子はどうした? 弟子でも取ったのか?」
「違うわ友達よ。今日はこの子の冒険者登録をしにきたの」
「こんな事言ってるが、本当かお嬢ちゃん? 無理やり連れて来られたりしてないよな?」
「アルカの言うとおりです。私がお願いして来ました」
「そうか! アルカの連れってんなら問題ないだろ♪」
ノアちゃんはギルド長に連れられて受付に向かう。
ギルド長自ら引率とは。VIPかな?
ノアちゃんたちの方から笑い声が聞こえてくる。
なんかもう既に盛り上がってるんだけど。何あのコミュニケーション能力。
私は混ざる気にならず、壁に寄って遠巻きに眺めることにした。
しばらく待っていると、登録の終わったノアちゃんが戻って来た。
「アルカ! 依頼受けましょう! アルカの戦っているところを見てみたいです!」
しまった!?
ギルド長になにか吹き込まれてる!?
こんな事ならさっき割り込んでおけばよかった……。
ちくしょう……。あっさり見逃してくれたと思ったのに。最初からこっちが狙いだったか……。
ノアちゃんにキラキラした目で見上げられ、断りきれなくなった私は依頼を受ける事にした。
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