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パート12
「さちのも、もしかしたら将来、フェラーリとか乗るかもしれないしな、HAHAHAHA」
別居している父親、あの男は苦手だ。いわゆるバブル世代で金遣いが荒く、金ピカなあの感じ。寒気がする。頭が良くてナチュラリストな雰囲気のある母とは大違いである。
しかしその父の金でとったMT免許、通称「限定解除」がこんなところで役に立つとは…。目の前の車はフェラーリではなく、軽だが。
あたしはおそるおそる、キーを捻った。エンジンがかからない。全然かからない。なんで?ブレーキ踏んでるのに。
やけくそにクラッチを踏んでみる。
カカカカ、ブオン。
かかった。エンジンがかかった。早速スマホで行き先を高崎にして、USBで、カーステにつなげる。
「♫世界で〜、一番のおひめさま〜」
大音量でボカロが流れる。頭おかしいんじゃないかこの男は。
「ポーン、直進です」
クラッチを踏み、ギアをローに、そして静かにクラッチをつなっ…
どぅん
え、エンストした。エンジンをかけなおしである。
「♫世界で〜、一番のおひめさま〜」
「ああっ、うるさいうるさい!」
「ポーン、直進です」
「うるさーい!」
アクセルをウォンとふかし、荒々しくクラッチを繋ぐと、車は発進した。
「よし!高崎までレッツゴー!」
レッツゴーって…どんな時代の言葉なんだろ。




