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パート11

「入れ替わり?」


「そう、朝目覚めたら、川崎の自宅じゃなくて、こんなところ…高崎の女子高生になっていたってことなんだよ」


「さっち、確かに朝のメッセージは変だった。なんだかギャルギャルしていて。キャラじゃないというか…、ということはあんた、つまり、元の男!」


「ふじふじです」


「そう、そのふじふじとやらは、ギャルギャルした中年ってことなの!?」


「いや、なんというか、完全に入れ替わっているわけでもなく、例えばテューバなんて吹いたこともないんだけど、さっき聴いてみてもらった通り」


「さちのの能力はそのままってことね」


「そう、ただ、思い入れとかそういうのは全くないんだ。だから

難解なものは全部覚えていなくて、欠けた感じになっているんだ」


「あんた、あの曲、苦手だって言ってたもんね」


「言ったのは、元のさちのだけど、そうだったのか」


「しかしなぜ今までなんの関わりもないもの同士が入れ替わりなんて、なんの因果もないのに」


不思議である、高崎なんて車で通過したことがあるぐらいで、しかも二十年以上も前に。降りたことすらない。音楽は少しやっていたけど、管楽器なんてのもない。


「今頃、入れ替わったさちのはどうしてるのかしら」


「きっとおっさんの顔見て卒倒してるんじゃ」


マー君は中身がさちのではなくオッサンだとわかると、急に冷たくなった。


「失礼な、これでも若作りな方だったんだぞ!」

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